ひゃー!とか言ってとっしーがモジモジクネクネする…
好き…?
誰が…?
誰を…?
「イヤあの…」
「大丈夫でござるよ、拙者も新八氏の事…スキ…」
「はぁっ!?」
「照れなくても良いでござる☆」
又、変なポーズで僕を指差す。
イヤイヤイヤ、僕がとっしーを好きって…
「何言ってんですかっ!?」
「新八氏が逢う度拙者の方に熱い視線を送ってたのは気付いてたでござるよ!初めは十四郎を見てるのかと思ったけど、瞳の奥の淋しそうな色を見抜いたでござるよ!!大丈夫、僕クラスのヲタクになるとBLもオッケーだから。」
胸を張って言ってくるけど…
そもそもが間違ってるからっ!
「とんだ勘違いですよっ!僕が見てたのは貴方の隣です!!沖田さんです!!」
「へぇ、新八くんは俺の事が好きなんで?」
「違いますって!だから僕は沖田さんが…」
…アレ…?この声…それに、僕の背後から聞こえ…
「…お…きた…さん………?」
ギギギ…と錆びついたような音を立てる勢いで僕がゆっくり振り向くと、そこには満面の笑みを浮かべた沖田さんが居た…
「…沖田先輩…」
今までノリノリだったとっしーが、小さくなって一歩下がる。
あ!ちょっ…とっしー盾にしようと思ったのにっ!!
「知らなかったねェ…そーなんだ。」
ニヤニヤ笑いが怖いよっ…
でも…引かれては…いない…?
「あっ…あのっ…ですね…その…アレは…ソレで…」
言い訳なんか全然浮かばなくって、意味の無い言葉を並べて目をそらすけど…
沖田さんは、ん?と首を傾げたまま、どんどん僕に近付いてくる。
「アレって何でィ?」
意地悪な笑顔もカッコいい…なんて想ってる場合じゃないよね!
僕…これをネタに苛められるのかな…?
びくびくと震えていると、すぐ前まで来た沖田さんに、ぎゅうと抱きしめられる。
なっ…!?
「もっかい…ちゃんと俺に言ってみなせェ。」
凄く近い所でそんな事言われたら…頭がぼーっとしてしまう…
ちゃんと…告白…したら諦めがつく…?
「僕は…っ…沖田さんの事が好きですっ…恋…してますっ…!」
僕が思い切って言うと、もっとぎゅうと抱きしめられる。
「安心しなせェ。俺もお前さんの事が好きでィ…チューとかしたいって意味で。」
「マジ…ですか…?」
「おう、マジでィ。」
「…凄く…嬉しいです…」
僕も沖田さんの背中に腕を回してぎゅうと抱きつくと、幸せが溢れてくる。
夢みたい…
「そっ…そんな…拙者は…」
「勘違いでィ。さっさと消えな。」
沖田さんがそう言うと、とっしーがうわーん、と泣きながら走り去っていく。
やっぱり走るの遅いなぁ…
そう思いながら見送ってたら、ちょっと行った所でこっちに振り返る。
うわ…涙目だよ…すっごい悪い事した気になる…
僕がペコリと頭を下げると、とっしーが又うわーんと泣きながら走り去って行ってしまった。
「…僕…なんか罪悪感が…」
「こればっかりは仕方無いでさァ…」
そっと見上げると、悲しそうな表情の沖田さん。
わ…カッコいい…
なんだかんだ言って、土方さんの事心配してるのかな…優しい所も有るんだ…
ますます好きに…なっちゃう…
ぼおっと沖田さんに見とれていると、だんだん顔が近付いてくる…
え…?もしかして…?
唇に柔らかいものが当たって、ちゅうっと吸われる…
あ…きす…
気持ち良くって夢中で応えていると、ざわざわと音が…って…声…?
って!ここ道端ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?
グイグイと沖田さんを押しのけると、物凄く不満そうな顔で僕を見下ろす。
「なんでィ、恋人になったんだからチューぐらい…」
「場所をわきまえろーっ!!」
ぺしぃっと栗色の頭を叩くと、そのままうずくまってしまう。
もぅ…恥ずかしいよっ…
うずくまったままの沖田さんを置いて、スタスタと歩き去ると後ろからたたっと音がする。
…沖田さん反省してくれたのかな…?
笑顔で振り向こうとすると、いきなり喉元に刀が当てられる…えっ…?
「新八くん俺の事好きだって言ったじゃねぇか…」
「おっ…沖田さんんんんんんんんん!?」
沖田さんってこんな人だったのーっ!?
すぐに刀は外して、ぎゅうと抱きしめられるけど…
ちょっとだけ早まったかなぁ…なんて思ってしまいました…
END
礼
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