団子がとりもつ清い仲
ここ最近で、俺の日課になってる事。
それは、毎日違う菓子を持って、万事屋に茶を飲みに行く事だ。
どう考えたって無駄な出費だってェのに、それでも俺はその行為を止められ無ェ。
そうしたら、あの嬉しそうな笑顔を見られるから…俺ァ毎日せっせと万事屋に菓子を運ぶ。
余計なヤツラにまで喰わせんのは癪だけど、一人にだけ持ってったらアイツ途端に不機嫌になるからねィ…全く我儘で困りまさァ。
俺が優しいのは、トクベツな奴だけだって判ってんのかねィ…?
ま、怒った顔だって可愛いんで見てェんですがね、やっぱ笑った顔が最高だと思うんでさァ。
今日の菓子は、今巷で大人気だって山崎が言ってた甘味処の串団子。
確かアイツ、団子は好きだった筈。
だって団子屋デートなら、俺が誘っても大人しくついてくるし。
…まぁ、むこうはソレがデートだなんて思っちゃいねェだろうけど、それでもあんまり関わりの無ェ俺にとっちゃ、二人でどっか行くなんざデート以外の何もんでも無ェ。
俺ァ打たれ弱いSなんでィ!
はっきり違うなんざ言うんじゃねェよ!!
大量の串団子の包みを持って万事屋を訪れると、いつものように少し困った顔の新八くんが俺を出迎える。
…なんでィ…俺ァ迷惑がられてんのかィ…?
打たれ弱いSだって言ってんだろィ!
好きなコにそんな風にされたらへこむだろィ…
もっと優しく出迎えなせェ!!
「団子は嫌いでしたかねィ?」
それでも大量の包みを見せながら何気無い顔で様子を窺うと、パタパタと手を振った新八くんが慌てて首を振る。
「そんな事無いですよ!お団子は、大好きです!!」
…団子『は』好きって…
やっぱり『俺』はイヤなんですかィ!?
「でも!毎日こんな沢山のお菓子を頂くなんて…そりゃ沖田さんは高給取りだから何でも無い事なのかもしれませんけど!でも悪いですよ…いい加減…」
申し訳なさそうに俯いて、そっと見上げてくるなんざ…
計算か!?
計算してるのかコイツ!?
俺の理性を試してやがるのか!?
「…お前さんが気にする事じゃ無ェよ。俺が喰って欲しくて持ってきてんでィ。」
…新八君に…なんて言えたら俺の気持ちは伝わるんですかねィ…
「あ…あー!そうでしたか…」
ハッとした後、悲しそうな顔で笑いながらポリポリと頭をかく仕草ですら可愛いと思えるなんざ、俺完璧おかしくなってら。
土産を受け取った新八くんが、そのままクルリと向きを変えて万事屋の中に入っていくんで俺も後に着いて行く。
一応、お邪魔しやす、って呟いて。
「沖田さん、神楽ちゃんの事が好きだから…」
ボソリと呟かれた言葉があんまりなモンだったんで、俺ァつい反射的にバズーカを構えちまった。
「何で俺があんなガキに興味を持たなきゃなんねェんでィ。吹き飛ばすぞ眼鏡。」
「すんませんでしたァァァ!」
俺の前に這いつくばった新八くんの姿に、俺の心臓がドキリと跳ねる。
このまま頭を踏みつけたら泣くかねィ、このコ…
思わずドS心が暴走しそうになったんで、さっさとバズーカをしまってソファに陣取る。
と、新八くんは俺に茶を淹れてくれる為に台所へと小走りで向かった。
それを目で追ってると、ジロリと俺を見たチャイナが、はぁ、と大きな溜息を吐いた。
…やっぱりコイツは気にくわねェ…
「又来たのかヨドS。脈なんてナイアル。さっさと諦めて引きこもるヨロシ。」
憎ったらしい顔で鼻糞ほじるメスガキなんざ、無視だ無視。
ふいっと顔を逸らすと、今度はやる気の欠片も感じられない旦那と目が合う。
「マメだよね〜、沖田君は。でも、うちの嫁は渡さないよ?あのコは俺んだから。」
「こないだのデートじゃ、新八くんは旦那の事父上だって言ってやしたけど?」
ムカついたんで俺が反撃してやると、どこぞのヤンキーみたいに俺に顔を近づけて威嚇してくるんで、負けじと旦那を威嚇してやる。
こんぐらいで負ける程、俺の気持ちは弱か無ェんでィ!
「え…!?沖田さん、まさか銀さんだったんですか…!?」
俺の為の茶を淹れてきてくれた新八くんが、俺達を見て立ちつくしてる。
げ…まさか俺と旦那の事誤解したんじゃ…無いよな…?
そんな誤解されたら俺のガラスの心臓は砕けちまうぜ…?
「新八くん…俺ァガキにもオッサンにも興味ありやせん…」
ちゃんと説明しようと俺が立ち上がると、涙目で俺を見つめる新八くん。
そんなツラ…俺が一番好きだって判ってやってんですかィ?
そんなの見せられたら堪んねェよ…
そっと盆のまま茶を受け取って机に置いて、呆然としたままの新八くんに両腕を回してぎゅうと抱きしめる。
そうしたら、一瞬固まった新八くんが俺の腕の中でバタバタと暴れ出す。
「なっ…!おっ…沖田さんっ!!何してんですか!?僕…僕は…」
「俺の前でそんなツラしたら、抱きしめたくなるに決まってんじゃないですか。俺ァ誰の為でもねェ、新八くんの喜ぶ顔が見てェから毎日せっせと菓子持って来てんですぜ?イミ…判りやすか…?」
暴れる体を押さえこんで耳元でそう囁いてやると、バタバタと動いてた新八くんが大人しくなる。
こんなこっぱずかしい事、顔見てなんざ言えねェよ…
もっかいぎゅうと抱きしめると、そろりと俺の背中に回った腕が俺の隊服をぎゅうと握ってくれた。
まさか…
え…?
「イミ…判ってくれてるんですかィ…?はっきり言ってくんないと俺…判りやせん…」
ぎゅうぎゅうと俺にしがみついてくれるってのは…期待して良い、って事ですよねィ…?
「あのな、俺ァ新八くんの事が好…」
「言わせねーアル!」
「ちょ!新ちゃん何やってんの!銀さんは認めませんよ!?浮気なんて許しませ〜ん!!」
俺が決死の覚悟でちゃんと告白しようとしたってェのに、なんてタイミングで邪魔してくるんでィコイツら!
グイグイと両側から引っ張られて俺と新八くんが引き剥がされる瞬間、真っ赤に顔を染めた新八くんが、今迄に俺が見たどんな笑顔より可愛い顔で笑った。
俺に向かって。
「僕だって大好きです、沖田さんの事!」
そんな顔でそんな事言われたら、俺だって赤くなっても仕方無ェよな。
格好悪ィけど、そんなの気にしてる場合じゃ無ェだろ。
「俺!新八くんの事愛してやすから!!」
旦那に羽交い締めされながらも俺がそう言いきると、チャイナに羽交い締めされた新八くんの顔が、もっと赤くなった。
あぁ可愛い!
抱きしめたい!!
「ぼっ…僕だって沖田さんの事、あっ…愛しちゃってますからっ!!」
新八くんの爆弾発言に、俺達を羽交い締めしていた腕が緩む。
だから、俺達は二人の手を逃れて駆け寄って手を繋ぐ。
土産の串団子はテーブルの上に置いて。
固まった奴等も放置して。
「アンタらは振られたヤケ喰いでもしてて下せェ。それ、全部やりやすから。さ、新八くん、俺達は団子屋デートしやしょうぜ!」
「はい!あ、じゃぁ僕出掛けてきますからお団子仲良く食べて下さいね?銀さん神楽ちゃんの分まで食べないで下さいよ?」
じゃぁ行きましょうか、なんて物凄く近くで頬を染めて言ってくれる笑顔にはまだ慣れねェけど。
でも俺はポカポカしだした心が気持ち良くて。
しっかりと新八くんと手を繋いで団子屋にと向かうのだった。
END
キリ番223000でちより様にリクエスト頂きました!
お題『沖新がラブラブならば何でも!!』
でした。
ラブラブになってたら良いのですが…ちょっと不安な感じです。
今回珍しく、万事屋で新八をぎゅうっとして告白する沖田さん、という場面だけ出てきてそこに持ってくのもソコからどう締めるかも浮かばずに…
上手くまとまっていれば良いなぁと思いました。
大変お待たせいたしました!
少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。
この度はリクエスト有難う御座いました!!
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