………新八ィ………おっけーしてくれたのは、夢だったんですかぃ………?
俺は、バスルームのドアをどんどんと叩いて新八を呼ぶ。

「新八ィー!新八は今日休みになってやすぜー?俺が旦那に交渉してありまさぁ。多分動けなくなるからって!」

「は?何でですか。動けなくなるような何…って!?そうなんですかっ!?ってか、その事銀さんにバラしてあるんですかっ!?」

すっかり身支度を整えた新八が、バスルームから出てきて叫ぶ。
……早いでさぁ………

「俺も実際は知りやせんけど、そうらしいですぜ?」

「そっ…そうなんだ………」

新八の顔に冷や汗が垂れる。

「だから新八ィ…試してみやせんかぃ?」

「何がだから、なんですかっ!?シませんよ?こんな時間にシませんからねっ!?」

新八が真っ赤になって叫ぶ。可愛いねぇ…

「こんな時間じゃなきゃあ、良い、って事ですかィ?俺を貰ってくれる、って言ってやしたのに、まだ貰ってくれてやせんよね…?」

真っ赤な頬を、そっと撫でながら言うと、新八がキッ!と睨む。

「沖田さんが寝ちゃったからっ!!僕、覚悟してお風呂から出てきたのにっ!!今更知りませんよっ!!」

「そっ…それは…すいやせん…でした…」

俺が素直に謝ると、新八がビックリした顔で俺を見る。

「珍しい…沖田さんが謝るなんて………あ、でもだからと言って今からは何もしませんからねっ!!」

プイ、と横を見てこっちを見ない。

「新八ィー…折角夜景の見える高級ホテルで初めてのえっち、って演出したんですぜぇー?高かったんでさぁ…もう泊まれないでさぁ…」

本当はまだまだ軽いんですがねぇ?新八は高いモノは無下に出来ねぇですからねぇ…♪

「そうですね、誰かが寝ちゃったりしなかったら実現したんでしょうけどね。」

なっ…違いまさぁ!いつもと違いまさぁ!!
俺がオロオロしていると、新八が俺の袖口をぎゅっと掴む。

「高級ホテルなんかじゃなくって良いです。ちゃんと心の準備が出来たら…その時に、沖田さんを僕に下さい。」

「おっ…俺はいつでも準備万端でさぁ!!」

「違いますっ!僕のですっ!!もぅ…よっぽどノリノリじゃないと出来ませんっ!そんな事…動けなくなるんでしょ…?」

ヤベ…変な事言うんじゃなかったぜぃ…

「イヤ、それはヘタな奴がヤった時の話でさぁ!俺は大丈夫ですぜ?」

「へぇ―――――っ、百戦錬磨なんだ…そんなに数こなしてるんだ…」

新八がじとーっとした目で俺を見る。

「ちっ…違いやすぜ?俺ァ初めてでさぁ(…男は…)!!完璧でしたよね?俺ァ昨日!!」

「…寝ちゃったくせに…」

新八がぼそり、と呟く…
うっ…痛い所をつかれやした…俺が黙り込むと、新八がにっこりと照れたように笑う。

「どっちにしても、今日はもう無理ですから。また今度…ね…?」

そう言って俺のほっぺにちゅう、とキスをひとつくれて真っ赤になる。
…そんなにあおっといて、殺生でさぁ…
でも仕方ねぇか…次は…次こそはしっかり決めてやりまさぁ!
それまで、ドキドキしながら待ってやがれィ!新八ィ!!