おまけ・大人の自転車


近藤さんがまた江戸にいくってゆうんで、たのみこんでおれもいっしょにいく事になりました。
またしんぱちに会いにいくぞー!
江戸について、こーどーかんにいこうとすると、近藤さんが大きなじてんしゃをひいてくる。

「総悟、又今日も新八君の所に行くんだろう?俺も行くから後ろに乗んなさい。」

「でも、近藤さん道場にいくんだろ?いいの?」

ふっふっふっ、と近藤さんがふてきに笑う.

「聞いて驚けよ?総悟!なんと、今日行く道場は恒道館道場なんだぞー?ちょっと遠いそうだから、自転車貸してくれたんだ。」

近藤さんの大きな手が、おれをだきあげて、にだいに乗せてくれる。

「よーし、じゃぁ行くぞー?ちゃんと手を回して掴まっててくれな?」

近藤さんのおなかに手をまわしてぎゅうとつかまると、じてんしゃがはっしんする。
大きいせなかだなぁ…おれもおとなになったら、近藤さんみたいなかっこいい男になるんだ!!
いつもは遠いこーどーかんも、じてんしゃならすぐに着いた。
おれと近藤さんがいっしょに入っていくと、しんぱちのちちうえと、しんぱちの姉上と、しんぱちがでむかえてくれた。

「本日はお世話になります。」

「出張稽古お疲れ様ですね。今日は勉強させてもらいますよ。」

大人達は道場に、しんぱちの姉上は家に入っていって、そこにはしんぱちとおれだけになった。

「しんぱちひさしぶり!今日はなにしてあそぶ?」

「そーくんこんにちは!!きょうはね、ちちうえにかってもらったえほんがあるの。そーくんとよもうとおもってまだよんでないんだよ?」

「それじゃーえほん読もうぜ!!」

おれが家に入ろうとすると、しんぱちがもじもじとうごかない。

「あ、あのね?そーくんきょうじてんしゃにのってきたでしょ?ぼくね、じてんしゃってみたことないの。ちかくでみていい?」

「おう、良いぜ!おとなのじてんしゃだから、しんぱちはのれないけどなっ!!」

おれが言うと、しんぱちがむぅ、とむくれる。

「じゃあそーくんはおとなのじてんしゃのれるの?」

「おれはのれるさ!」

ふたりでじてんしゃに近づいて、よいしょ、とだいをはずす。
じてんしゃは思ったより大きくておもいけど、これぐらいなら…しんぱちに、カッコ悪いトコはみせらんないぜ!
イスにのったらとどかないんで、立ったまま乗る。
おれがペダルをふんでこぎ出すと、じてんしゃはゆっくりすすんだ。

「わぁ!すごいそーくん!そんなおっきいじてんしゃのれるなんて!!」

しんぱちがそんけーのまなざしでおれを見てる。

へへっ…

おれがちょっと気をぬいたら、じてんしゃのバランスがくずれた。
と、思ったら、じてんしゃがたおれて、おれはじてんしゃのしたじきになった。

…いてぇ………

「わっ…うわぁーん!!そーくんが!そーくんがしんじゃうよぉーーーーー!!」

それを見ていたしんぱちが、火がついたようになきだして、それを聞いたおとなたちがどうじょうから出てくる。

「しんぱちっ!どうした!?」

しんぱちのちちうえがかけよってきて、たおれたじてんしゃを立ててくれる。

「総悟君大丈夫かい?」

「だいじょうぶ…」

「総悟!?大丈夫か?大丈夫か?」

まっさおな顔の近藤さんがかけよってきて、おれについたほこりをぱんぱんとはらってくれる。

「こんどうさん…ごめんなさい…じてんしゃ…こわれてない…?」

おれはそれがこわくて、下をむいたままかおをあげられない。

「そんなのはどうでも良いから!総悟は大丈夫なのか!?」

真剣な顔の近藤さんが、おれのかおをのぞきこむ。

「おれはだいじょうぶ…ちょっとヒザが痛いだけ…」

「ヒザ…?あーっ!?血が出てるっ!?救急車!!きゅうきゅうしゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

近藤さんがおれをだきあげてウロウロする…

「大人のクセにバカじゃない?こんなのばんそーこー貼っておけばなおるわ。」

しんぱちの姉上がれーせーにつっこむ。
…すげーおんな…
おれは道場にはこばれて、しょうどくしてからばんそーこーをはってもらう。
ケガはすりむいたぐらいだったし。
これいじょうじゃまできないんで、道場のすみにすわってけんがくしていると、おれのとなりにしんぱちがすわった。
しんぱちはおれがころんでからずっと泣いてた。

「そーくんいたい?いたい?」

「そんなことねーよ。こんなのかすりきずだぜ!」

おれがわらうと、しんぱちもわらった。

「そうだ、しんぱちのえほん見にいこうぜ!」

おれが立ちあがって手をだすと、しんぱちが手につかまって立ちあがる。

「うん!あのねー、ねこさんのえほんなんだよー?」

おれたちは手をつないだまんましんぱちのへやにはしる。

きょうはカッコ悪いとこ見せちゃったから、ばんかいしないとなっ!
あたまのなかでえほんのよみかたをれんしゅうしながら、はぐれないようにしんぱちのてをぎゅっとにぎった。


END