注意!!
可愛くて純粋無垢な新八しかありえない!!新八は天使だ!!と考えている方、グロい表現が苦手な方はこの先には進まない事をオススメします。この先そんな表現が有ります。進んでからの苦情は一切受け付けません。OKな方のみお進み下さい。
染まる世界
町内会の依頼で、僕ら万事屋は御近所で酷い騒音を出しているという人を止めに行った。
でもそこに居た平賀サンは江戸一番とウワサのからくり師だった。それも、将軍様のいらっしゃるお祭りでからくりを使った芸をする為にからくりを作っていたそうで…
そのからくりを僕達は移動させる為にちょっと壊してしまったようで…
僕らは修理を手伝って、なんとか当日に間に合わせた。
「良かった―、間に合いましたねっ!」
「イヤ、お前らが居なかったらもっと早くに終わってたから。これ以上邪魔すんな、祭見物でもして来い。」
じゃらっ、と平賀サンが小銭入れを投げてくる。お小遣いくれたのかな…?
僕らが屋台に向かって駆け出すと、後ろからガシャン、ガシャンと音がする。…三郎………良いのかな、三郎まで来ちゃって………
イヤ、駄目だろうな。
「屋台狩りアル―!新八―、ハシから全部買うヨロシ!」
「神楽ちゃんっ!そんなにはお金無いからっ!どれか1つだよ?」
「ちぇ――、新八はケチんぼヨ―――。」
「ケチって何だよ!余ったお金は今月の食費にするんだからねっ!」
僕が両手を腰に当てて、メッ、と言うと、神楽ちゃんがシブシブ、は―――い、と言う。
神楽ちゃんが焼とうもろこし、僕はりんご飴を買う。食べながらブラブラと屋台を見ていると、射的屋台に長谷川さんが居た。
「あ、マダオアル。新八、ちょっとからかっていくヨ。」
ま、いいか。挨拶していこう。
「あっ、おっちゃんだ。」
…白々しい…
僕も長谷川さんに挨拶すると長谷川さんは何かオヤジギャグを飛ばしてくる…マダオ…
神楽ちゃんがやりたいと言ったので、そこで射的をやらせてあげた。少しぐらい長谷川さんの売上に貢献してあげますか。
狙いを定めて撃った神楽ちゃんの弾は見事………
「グラサンよこせよ―。」
長谷川さんのグラサンの当たった…片側が割れて、アレもうグラサンじゃぁないじゃん…神楽ちゃんの暴走が始まったよ…止めなきゃ………
僕が神楽ちゃんをたしなめようとすると、反対側から、動揺していた長谷川さんの腕時計が撃ち抜かれる。
「腕時計ゲ―――ッツ。」
………沖田さんまで来た………この人、仕事中だろ?多分………
するとすぐに2人が睨み合いを始める。
あ―あ、ダメだ…もう止められない…長谷川さんがパンパンと撃たれていく。
悪魔だ…コイツら悪魔だ………がんばれ長谷川さん………
「おっ、新八ィ、良いモン食ってんじゃねぇか。俺にも一口下せェ。」
気が付くと隣に来ていた沖田さんが、僕のりんご飴を食べた。
「あ―――っ!何してんですかっ!」
「なんでィ、良いじゃね―か、一口ぐらい。新八のけち―――。」
「けち―――、じゃないですよっ!も―っ!なんで食べれるかなぁ。僕、食べちゃってますよっ?ココ!」
沖田さんはよりによって、僕が齧ってた横を齧って食べた。
「なんでィ、良いじゃね―か。男同士だろィ。」
「男同士だからヤなんですよっ!これがお通ちゃんだったら、なんか甘酸っぱい…」
「いやん、総子恥ずかしいっ♪」(沖田裏声)
「やめいっ!!!!!」
沖田さんが裏声でシナを作る。
キモ…ぃ…って―の………
ちょっとだけ可愛く見えたのは目の錯覚だっ!きっとそうだっ!!!
僕らがそれぞれ手に持っていた物を食べ終えた頃、花火とは違う爆発音が聞こえた。
「テロだ!攘夷派のテロだァァ!!!」
その声を聞いた途端、沖田さんの目付きが変わった。
「さ―て、それじゃァ仕事してきますかね。新八とチャイナはどこか安全な所に避難しときな。あぁ、旦那は来てないのかィ?来てるんなら旦那の所に行きなせェ。」
身を翻して駆け去る沖田さんの後を、神楽ちゃんが追う。
「新八はジジイのヨウス見に行くアル!ワタシは祭をダイナシにしたヤツラをぶっ飛ばしてくるアル!」
「神楽ちゃんっ!」
僕が叫んだ頃には、2人の姿はもう見えなくなっていた。
ちくしょう、速いよ、2人とも…
確かに平賀サンも心配だし、僕はそっちに行くか…
平賀サンが居る筈の大舞台に行く途中で、この爆発はからくりが起こしたものだと聞いた。
…平賀サン…………
大舞台に着くと、三郎が大砲に弾を込めて櫓を狙っている所だった。
「止めて下さいよ、平賀サン!なんでこんな事してるんですかっ!将軍様はとっくにお逃げになってますよっ!見えないんですかっ?もうこんな事止めて下さいよっ!」
僕が叫ぶと平賀サンがゆっくりと向き直り、ニヤリ、と笑う。
「そ―か。最近めっきり目が悪くなってるもんで見えんかったわ。まぁ良いさ。だったら今度はあの真選組とかいう連中を狙うまでだ。」
その声を聞いた途端、突然、僕の目の前に、焼け野原が広がった。
その中に倒れる黒い制服の面々。そこには、色の薄い栗色の髪も有る。その栗色は半分以上が赤に染まって、少しひしゃげている。
そして、それは、ピクリとも動かない……………
殺ス…殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス…………
目の前が真っ赤に染まり、脳内は一言で埋まる。
妙に感覚が研ぎ澄まされて、体がきしむ。
頭が冷静に状況を判断して、敵、と認識した相手を分析する。
タイミングを計って、一撃で仕留められる方法を探す。
何とかして止めなきゃ…沖田さんが…………
「オゥオゥ随分と物騒な見せもんやってんじゃね〜か…」
銀さんの声がした。
「ヒーローショーか何かか?俺にヒーロー役やらせてくれよ。」
スタスタと平賀サンに向かって歩いていく途中で、僕の肩を掴む。
「新八しっかりしろ、瞳孔開いてるぞ。沖田君は生きてるよ。」
…あ………………
僕は今何を…?何て恐ろしい事を…!
平賀サンは銀さんと三郎に止められた。
僕はただ、自分のやろうとしていた事の恐ろしさに気付き、呆然としていた。
僕は…僕は…友人の為にそこまで出来るヤツだったか…?
銀さんや神楽ちゃんが同じ状況になった時…僕はここまで激昂するのか…?
………僕にとって沖田さんは…………
…………僕は一体…………
つづく
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