相談するなら人は選べ。



山崎さんの衝撃の告白から2日、僕はもう、本格的に黒服を避けて避けて避けまくった。

…と、言うより、家から一歩も出ていない。
万事屋には流石に理由なんて話せないから、風邪をひいた、で通してある。でも…いつまでも家に閉じこもりっきりって訳にもいかないし…かといって誰かに相談なんて出来ないしなぁ…相談したら、きっと真選組に怒鳴り込んでいくよなぁ…銀さんも神楽ちゃんも…姉上も…
あぁ、姉上に知られるのが一番怖い。姉上は手加減しないからなぁ…皆、近藤さんみたくなっちゃうよ!

なんか打たれ強そうな山崎さんはまだしも、沖田さんなんてきっと暫らく起き上がって来れないよ…いくらなんでも、それは避けたい…身内から犯罪者出したくないしさ、それに…1回僕の仮病にお見舞いに来てくれたんだよ?沖田さん…僕が会いたくないって言ったら、姉上がやんわり断って帰してくれたけど…基本、優しい人なんだよなぁ…

イヤイヤイヤイヤイヤイヤ!こんな所でほだされてる場合じゃないよ、僕っ!!

でも…どうにかしなきゃ、僕はこのままヒッキーになっちゃうよっ!身内に頼れない今、真選組の人に何とかしてもらうしかないよな…でも…なんとか出来そうな近藤さんは、沖田さんの味方だし…

あっ!土方さん!!土方さんなら2人の上司だしっ!!なんだかんだ言っても常識人だしな!!
マヨ以外………
相談したら、きっとなんとかしてくれるに違いないよっ!うんうん、いいアイディアだっ!

がばっ、と布団を跳ね除けて部屋を出る。

僕が普通に電話したら、山崎さんや沖田さんに繋がっちゃうかもしれないんで、姉上に頼んで真選組に電話してもらう。姉上はちょっと不審な顔をしていたけど、何か納得してくれたみたいだ。上手く土方さんに繋がったらしく、公園に呼び出して貰った。よし、大丈夫だっ!きっとこれで上手くいく!!



そして僕が待ち合わせの場所に行くと、土方さんは私服の黒い着流しで、もうそこに立っていた。

あぁ、この人はやっぱり常識人だった!良かった―…これでなんとか外を歩けるぞっ!!

「土方さ―ん!お待たせしましたっ!」

僕が嬉しくなって、満面の笑顔でぶんぶんと手を振りながら駆け寄ると、土方さんは軽く手を上げて応えてくれた。

「よお、志村。何だ?相談ってのは?」

「お忙しい所すみません。相談って言うのはですね…あの…」

やっぱりちょっと言いづらいな…

でも、土方さんは真面目な顔で僕が話し出すのを待ってくれてる。
…忙しいのに申し訳ないなぁ…この人も見た目と違って案外優しい人なんだなぁ…うん、忙しいのに時間かけちゃ悪いや。
だから僕は、なんとか思いきって口を開いた。

「あの、相談って言うのは沖田さんと山崎さんの事なんですけどっ!」

「総悟と…山崎…?なんで山崎?」

…やっぱり沖田さんの事は知ってるのか…この人も………

「あのっ、僕っ…2人に好きだ、って告白されて…僕男なのにっ!2人とも全然僕の話を聞いてくれなくて、困ってるんですよっ!!2人に会わないように、ココの所家から出られなくって…土方さんっ!あの2人、なんとかして下さいよォォォ!!!!!」

僕が一気にまくしたてると、土方さんはビックリした顔をして、煙草に火をつけた。

「山崎のヤロウ…アイツまでそんな事しやがったのか…」

土方さんが、苦虫を噛み潰したような顔になる。

イエ、沖田さんの方も困ってるんですけど…

アレ?もしかして土方さんも沖田さんの味方?
僕、相談する人、間違えた…?土方さんにも総悟をヨロシク、とか言われちゃう…?

「スマンな、志村。あの2人が随分お前を混乱させちまったみたいだな…」

「イエ!土方さんが謝る事では…」

良かった―、やっぱり土方さんは分かってくれた!
僕が安心してニコニコしていると、土方さんが咳払いをする。
…心なしか、顔が赤いような…風邪かな…?

「判った、あの2人は俺が何とかする。だがな、志村…いや、新八…」

えっ?なんで言い直し?なんで名前?

「あの2人にそこまでやられちゃあ、俺も黙ってる訳にはいかねぇ。」

イエ、何か猛烈にヤな予感…黙ってて下さい。むしろ黙れ。

「俺もお前が好きだ!恋人になりたいと思ってる。あいつらは俺が押さえてやるから俺と付き合ってくれ!」

「えぇ―――――――――っ!?」

なっ…何が…!?何言っちゃってんの?この人っ!?
真剣な顔をした土方さんが、煙草を踏み消して僕の方に近付いて来る。
ちょっ…このパターンは…ヤバイっ!!

「ひっ…土方さんっ!ふざけないで下さいよっ!!なんで話がそっちに行くんですかっ!?」

僕は慌てて後ろ飛びで逃げて、そのまま振り返って走り出す。
冗談じゃない!なんでこんな事になるんだよっ!

「新八!俺は本気だからな!本気でお前の事がぁ、とぅきだぁからぁ―!」

「叫ぶなバカ―――っ!アンタはチャ●ド●ゴ●かァァァっ!!」

条件反射でツッコミつつ、僕はなんとか公園から走って逃げた。


新八が顔を真っ赤にしながら走り去る。
…なんだよ、あんなにテレるなんて、アイツやっぱり俺に気が有ったんじゃねぇか。
俺は、内心ニヤけながら屯所に帰って隊服に着替える。

しっかし、総悟と山崎にも困ったもんだぜ…新八が誰を好きかなんて一目瞭然だろうが。望みの無い相手なんだから、早々に諦めやがれ。

自室を出ると、丁度山崎がのほほんと歩いてきた。

「山崎。」

「あれ?副長どうしたんですか?ニヤニヤしちゃって。」

「お前、新八の事はさっさと諦めろ。アイツは俺のだ。」

「ちょっ!なんで知ってんですか…ってか、何言ってんですか!?新八君がいつ土方さんのモノになったって言うんですかっ!!」


「聞き捨てならねぇなァ、土方さんよォ。」


どこからか総悟も現れた。丁度良い。

「さっき新八に呼び出されてなぁ。俺も告白してきたぜ?真っ赤になって…可愛かったぜ?お前もさっさと手を引けよ?総悟。」

総悟が無言でバズーカを構える。

「そんな事したってもう…どわっ!!」

ど―――――ん

そのまま撃ちやがった!!本気で撃ちやがったぞ!?コイツ!!!

「総悟、てめぇ!!」

「チッ…逃げやがったか…」

「逃げるだろ!普通逃げるだろ!!」

俺が抜刀して総悟を追いかけると、総悟が又バズーカを構えて撃つ。
その横を巻き添えをくらってアフロになった山崎が泣きながら走り去る。

やや暫く俺と総悟の闘いは続いた。
俺達が、じり、じり、と間合いをつめてお互い斬りかかろうとした時に、さっき走り去った山崎が戻ってきた。


「副長!沖田隊長!新八君が呼んでます!!告白の返事、はっきり聞かせてくれるそうですよ!!」


そうか、新八も早くハッキリさせて俺と幸せになりたいんだな。
ニヤける顔を押さえつつ、俺達は新八の元へ急ぐ。
新八、幸せにするからな!



つづく