友情と愛情と
今日は僕ら万事屋3人は、長谷川さんに頼まれてコンビニで臨時のアルバイトをする事になりました。
久し振りの依頼で久し振りの収入で僕らは張り切ってやってきたのですが…
………ダメだ…もう全然ダメだ………この人達に任せてたら、このコンビニ潰れるよ…間違い無く潰れる…
もりもりもりもり店の商品食いやがって…
僕がぐったりしていると、店の中にアヤシイ奴を見つけた。
…万引きかよ………
もぉ―っ!コッチはそれどころじゃないのにっ!
「何やってんの、キミ…」
僕がその男性を注意すると、顔を上げたその人は寺子屋で一緒だったタカチンだった。
タカチン…高屋八兵衛。
僕が寺子屋に通っていた頃、とある事件で見捨ててしまった、僕の友達…
万引きなんてするようなヤツじゃなかったのに…
それでも事務所に呼んで事情を聞いた。見逃すなんて出来ないから。その帰り際に、彼は今『舞流独愚』という特に評判の悪い族に入っていると吐き棄てていった。
…アノ事件がきっかけで…グレてしまったんだろうか…?
僕がそう考えて落ち込んでいる時に、丁度やってきた姉上に助言されて、僕は友情を壊してでもタカチンをコッチの世界に引き戻しに行く事に決めた。
お通ちゃんファンクラブにスカウトしてやるっ!
いつものように、皆巻き込んで一騒動やらかして、僕とタカチンは友達に戻れた。
やっぱりタカチンは良いヤツだった!
ちょっとだけ、間違えちゃっただけだった!
ボロボロになった僕らが、お互いに肩を貸し合って僕の家を目指して歩いていると、背後から物凄い殺気を感じる。
なっ…!?舞流独愚のお礼参りかっ!?
イヤ、あの人達にこんな殺気は出せない…ここまでの殺気が、何で僕らに…?
一体誰が………
僕がそちらを刺激しないようにそっと振り向くと、そこには物凄い形相をした沖田さんが立っていた。
振り向いた僕にツカツカと近付いてきた沖田さんが、やけに静かに話し掛けてくる。
逆に怖いよっ!!!!
「新八ィ…そいつァ誰でィ…?」
「おっ…沖田さん…コイツは寺子屋の時の友達で、タカチンって言って…」
「は?タカチンコ?」
「イヤ、タカチン…で、さっき…」
「タカチンポ?は―い、猥褻物陳列罪でタイホ―!」
「イヤ!だからタカチンだって!!僕の話聞く気有ります!?姉上といい沖田さんといい、何でそう違う方に違う方に持ってくかなぁ!?…ってちょっとぉ!」
ヤバイ!なんか目がマジだよこの人っ!何考えてんだ…
「沖田さん、アンタが何考えてんのか知りませんけどね、僕の友達に何かしたらただじゃおきませんよ?…まぁ、僕の方が負けるかも知れませんけどね。」
僕が精一杯の殺気を込めて沖田さんを睨むと、目に見えてしゅんとして、恨みがましい目で僕を見る。
「…ズルイでさぁ…タカチンコばっかり…俺には肩なんざ抱かせてくれないクセに…」
なっ…何言ってんだコノ人っ!タカチンの前でっ!!
「あっ…アンタ何言ってんですかっ!コレがそんな風に見えるなんて目ぇおかしいんじゃないですかっ!?眼科行って下さい!眼科っ!!」
こんなボロボロの僕らを見て言いたい事がソレかっ!?コノ色ボケ警察24時っ!!
「新ちゃん…真選組と知り合いなのか…?」
不安気な顔でタカチンが聞いてくる。
あぁ、そうか…普通の事になってるけど、一般市民が武装警察と関わり合う事なんて、滅多に無いよな。
「あ―…仕事柄…」
物凄くいたたまれなくなって、まだ何かブツブツ言ってる沖田さんをその場に残してさっさと立ち去る。
…けどついて来る―――!!
もそもそとついて来るよっ!コノ人っ!!
あ―も―!無視!無視!!
家に帰るまでに、もう2回、同じようなやりとりをした。
沖田さんを追ってきた土方さんと、こっそり影から現れた山崎さんが、沖田さんと少しも変わらない反応をみせたんだ…何考えてんだ、もう…
やっと家に着いて僕らが傷の手当てをしていると、山崎さんが皆の分のお茶を淹れてくれる。
それを見て深い溜息をついた僕に、タカチンがそ―っと近付いてきてこっそりつぶやいた。
「…新ちゃん…何か大変だな…」
あぁ、久し振りにまともな人に会った気がする…
ちょっと涙出そう…
ホント、いつまで続くんだろ、コレ…僕に彼女でも出来ないと…
あぁ…そっちの方が先が長そうだ…
僕は自分の考えに何か本格的に悲しくなってきて、何度目かの深い溜息をついた…
つづく
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