そのまま新八くんを探してそこらじゅう走り回ってると、ターミナルの裏手で泣きながら歩いてる新八くんを見付けた。
「おいおい、眼鏡無くしたぐれェで泣いてんのかィ?」
おれが声を掛けると、驚いた新八くんが顔を上げる。
良かった…今回は無視はしねェでくれた…
「沖田さん!?真選組の方達は…皆帰ったんじゃ…?ってか、そんな事で泣きませんっ!これは…感動したんですよ!親子愛にっ!!」
「へぇ。」
俺が懐からさっき拾った眼鏡を出して新八くんにかけてやると、そいつは新八くんにピッタリ合った。
「おぉ、君こそ僕が探していた姫だー」
俺が棒読みでそう言うと、真っ赤になった新八くんが叫ぶ。
「僕ぁしんでれらですかっ!?ガラスの靴じゃなくて眼鏡!?」
久し振りに新八くんのツッコミ聞きやしたねェ…やっぱ良いや…
「お嬢さん、俺と結婚してくれやせんか?」
「王子気取りか!?サディスティック星の王子様だってか!?」
「一緒に星に帰りやしょう。」
「ヤですよっ!そんなおっかない星っ!!」
ぷいっと後を向くけど、真っ赤な顔のままでプリプリと怒る新八くんが可愛くて、後ろからぎゅうと抱き締める。
と、一瞬びくりとした新八くんが、じたばたと暴れ出す…
「新八くん…やっぱり俺ァアンタの事、好きでさァ…愛してやす。もう2度と酔って忘れるなんてしやせんから…もう1回チャンス、くれやせんか…?」
俺がそう言うと、新八くんが大人しくなる。
「…本当…ですか…?」
「約束しまさァ。」
「…お酒…もう飲みませんか…?」
抱き締められたままの新八くんが、じっと俺を見上げて言う。
「…俺から酒を取ったら、この美貌しか残りやせんぜ?」
ニヤリと笑って言ってやると、新八くんがクスリと笑う。
「凄い自信家。でも沖田さんは顔だけじゃないですよ?剣の腕だってたつし、真面目にすれば仕事もちゃんと出来るでしょう?ドSとか言って優しいトコ有るし…」
「なんでィ、新八くん俺にメロメロじゃねェか。」
「調子に乗らない!大体沖田さんまだ未成年じゃないですか。元々お酒飲んじゃ駄目ですよね?」
「カタい事言いっこなしでィ。社会人は色々付き合いが有るんでさァ。」
「もぅ…悲しかったんですよ…?僕…やっと告白出来たのに…夢だなんて思われて…」
新八くんが俯いてしゅんとする。
「…面目ねェ…」
俺もしゅんとして、新八くんの頭に鼻を埋めると、くすぐったいと身を捩る。
「悪いと思ってるなら…お酒止められますか?」
新八くんがぐるっと向き直って、真っ直ぐ俺を見る。
その場凌ぎじゃ…騙せねェよな…
「…酒止めたら、俺と付き合ってくれやすか…?」
「…はい…」
「じゃぁ、酒止めやす。」
「…約束ですよ…?」
にっこりと微笑みかけてくれる新八くんが側に居てくれるなら…出来ねェ事なんざ無ェや。
「じゃぁ、次の非番こそデートしやしょうぜ!デート!!」
「はい、楽しみにしてますね?」
俺がもう1回ぎゅう、と抱き締めると、新八くんも俺にぎゅう、と抱きついてくる。
今度こそ、夢じゃねェ。
俺と新八くんは、恋人同士になったんだ。
つづく
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