諦めきれない男達



俺ばっかりがこんなに幸せで良いのかねェ。

昨日も万事屋の帰りの新八を迎えに行って、夕方の見廻りにかこつけて、送りついでに散歩でえとしちまった。
その日にあった、たわいのない事なんかを報告しあって…手を繋いで一緒に歩いているだけで幸せな気分になって…
ついでに大江戸ストアに寄って、晩飯の材料なんざ買っちまって。夫婦みてェだなんてくすぐったくなっちまって。
新八の家に着いたらお茶淹れて貰って晩飯ご馳走になって、旨い飯で満腹で。
近藤さんを回収して、新八に見送られて仕事に戻る。頑張って下さいね?なんて言われたら張り切っちまう。
たまーにほっぺちゅうなんて貰っちまうと、無敵になった気になって、その後の仕事が滅茶苦茶はかどっちまう。そん時の土方の不思議そうな顔は、傑作だ。

本当なら言いふらしたい所だけど…流石にそれは出来やしねェ。
新八、恥ずかしがり屋だからな。

何よりもその間中、満開の新八の笑顔が見られる。
たまに膨れっけど、そんな顔も可愛く感じちまう。
今迄なら、そんな些細な事で幸せなんざ感じなかったってェのに、新八と一緒だと、どんな事でも幸せに感じる。
あぁ、恋ってヤツァスゲェもんだ。


そんな訳で今日も無敵状態な俺は、昼寝日和にも関わらずパトカーに乗っかって真面目に見廻りなんざしてる訳なんですがねィ…

チャイナ娘…アイツ何やってんだ…?
でっけェ犬に乗っかって、散歩にしたって慌てすぎじゃねェか…?スピード違反でィ。
ってか、デケェ犬が更にデカくなってねェか?アレ。

…丁度良い。

チャイナしょっ引いて、昼間の万事屋でも新八とイチャイチャしてやる。旦那はパフェでも奢っときゃ大人しくどっかに行ってくれるからねェ…邪魔モンは排除するに限らァ。

俺が張り切って拡声器を構えると、運転していた部下がスーッとデケェ犬に車を寄せる。

「おーいそこのチャイナ娘止まりなせェ。スピード違反でィ。」

「うるせーバカ!」

…何だアイツ。
デケェ犬にやっとしがみついてるって感じじゃねェか。

…ま、関係ねェや。

止まる気が無ェなら、デケェ犬と一緒に亡き者になって貰いやしょう。新八が悲しむから殺っちまう気は無かったんですが仕方ねェ。

「さよーなら」

俺バズーカを構えて奴等に撃ち込もうとすると、デケェ犬が俺達を攻撃してきやがった!
チッ…パトカーがオシャカになっちまった。

「オマエがサヨナラネ!」

憎ったらしい顔でそんな事言ってやがるが、俺ァそんな事ぐれェでくたばらねぇよ!
なんせ、新八のほっぺちゅうで無敵だからな!

窓から抜け出してデケェ犬の横っ腹にしがみついてた俺に気付いたチャイナがゲシゲシと攻撃してくるんで、それに対抗して俺もチャイナを攻撃する。犬の腹にしがみついたままなんで、ものスゲェやりずれェけど、負けてられっか!
暫くそのままゲシゲシと小競り合いを続けてると、前方に土方さん達の班が現れる。

おっせーよ土方!

俺が勝ったと思った瞬間、土方がニヤリと笑う。

…アレ…?こっち狙ってね…?

「さよーなら」

悪っそうに笑いやがって…
そんなツラだから新八に振られるんでィ!
アイツ顔怖すぎたんだぜ絶対。

俺がそんな事考えてる間にバズーカは発射されっけど、デケェ犬はそいつをスイスイと避ける。
なかなかやるな、コイツ…
デケェ犬がどんどん進むんで降りる事も出来ずそのまましがみついてっと、土方達もパトカーで追ってくる。
なかなかしつけェな…

やっと犬が止まった先は、大江戸ドームで…
その隙に下に降りると、犬は又どこかに走って行っちまった。

ぼんやりとソイツを見送ってると、やっとパトカーが追いついてきて、そっから降りてきた土方さんが俺に向かって剣を抜く。

「てめぇ…悪運強ぇな…」

「まぁねィ。新八残してなんか死ねねェや。」

俺がそう言ってニヤリと笑うと、土方が舌打ちをする。
なんでィ。もうショックから立ち直ったのかよ…面白くねェ…

「てめぇ殺して傷心の新八を頂こうと思ったのによぉ…」

「させるかよ。んな事になったら新八泣いちまわァ。」

俺も刀を抜いてジリジリと間合いを詰める。
なんだよ…いつもより全然本気じゃねェか、コノヤロー…
だから、俺もいつもより本気で斬りかかってやった。


その後デケェ犬がどうなったか俺ァ知らねェ。
ずっと土方と斬り合いしてたからな!近藤さんが止めに来るまで。
結局土方とは決着つかなかった。
畜生、諦め悪い男は嫌われるぜ?

睨み合って両側に別れて歩きだすと、山崎が舌打ちしてるのが見えた。

…アイツも諦め悪ィ方なのかィ…

反対側に行った筈なのに、土方さんも山崎が舌打ちしてんのが見えたみたいで、

「山崎ィィィィィィィィ!!!!!」

って叫んで追いかけてった。
その後は…まぁ、いつもの如く山崎はボコられてた。


あぁ畜生、まだまだ油断出来ねェや。
まぁ、誰にも負ける気はしやせんけどね。


つづく