「あの…沖田さん元気でしたか…?」

又泣きそうなツラしやがって…
それでも沖田君の事が知りたいんだよな…

「スゲ〜クマ出来てた。色男が台無し、ってぐれぇ。」

「…お仕事…凄く忙しいんですね…近藤さんの言ってた通りだったんだ…」

「お〜、真面目に仕事してたぜ。交通取り締まりとか…今テロが流行ってる、ってぼやいてたな。」

俺がそう言うと、新八は久し振りに安心したように、にこりと笑う。
「そうですか…ちょっと疑ってたけど本当だったんだ…」
近藤も、2人をなんとかしようと恒道館に行く度に何かしら沖田君が現れない言い訳していたんだろう。
まぁ、あんまり信じてはもらえて無かったみて〜だけど。

「んでよ〜…おせっかいとは思ったんだけどよ〜…ちゃんと話しろ、って言っといたから。」

「…来て…くれますかね…?」

「そりゃ〜来んだろ?沖田君新八大好きだもん。ひと段落したら飛んでくるって。」

「そう…ですかね…?」

嬉しそうに…本当に嬉しそうにふわりと微笑んだ新八は、うっすらと頬を染めて俺に向き直る。

「有難う御座います銀さん。じゃぁ僕はこれで帰りますが早く治して戻って来て下さいね?入院費とか馬鹿にならないんで勘弁して下さい。」

…可愛いのは顔だけで、中身はいつもの新八か…
でも、少しだけ元気になったみたいで俺も少し安心した。

本当に頼むよ沖田君。
これ以上何もしないで放っておくなら、俺が新八攫っちまうよ…?



結局すぐに退院していつも通りの生活に戻った俺は、最近ちょっと居心地が悪い。
あれ以来新八が、やたらとスクーターを出せとか、そこら辺で飛脚事故って無いですかね?とかうるせ〜からだ。
そんな事したって沖田君に会えるかどうかなんて分からね〜のにな…

そんなある日の事、ヅラの相方のエリザベスが1人で万事屋を訪ねてきた。
いつもなら、必ずあの鬱陶しい男も一緒だっていうのに、その日は1人だった。
その上、エリザベスはソファに座ったきり、一言も発しない。

…まぁ、元々喋る事なんかない生き物だけど、でも、プラカードでなんか会話してただろ?
それすら無く、俺達をあの空虚な目でジッと見ていやがるのは正直気色悪い。

折角出してやった茶も気に入らないみたいだし、ほとほとまいってきた所に救いのベルが鳴る。
いつもは出ね〜けど、いち早く電話に出るとそれは依頼の電話だった。

「俺、ちょっと出てくるから。」

子供たちに訳分かんね〜動物を押し付け…任せて、俺は依頼へと走った。
新八辺りがウダウダ何か言ってたけど気にしね〜
どうせウチに来るのなんてチョロイ依頼だしな。
あんな不思議生物相手にするより全然楽〜

…と思ったのに…

そっちの依頼も、なんだか面倒なものだった。
何だよ妖刀って…

でもまぁ、どうせそんなモン盗むのは金目当てだろうと、怪しい質屋を回ってさっさと終わらせようとしたのに…
そんな刀の話は一切出回っていなかった。
金じゃないのか…?いよいよ胡散臭い話になってきやがった…

だから、前に関わった怪しいリサイクルショップ『地球防衛軍』にも行ってみた。
あそこは犯罪がらみの怪しい商品とかあったしな。
何か分かるかもしれね〜

店主に話をふってみると、ソコでやっぱり面白い話を聞く事が出来た。今流行りの辻斬りが使っている刀が、まるで生き物のような気持ち悪いモンだと…
な〜んかソレって妖刀っぽくね?

その線を当たって見ようと店を出ると、少し離れた所に幕府の犬が一匹…

「オメーはこんな所で俺と話す前に、話さなきゃいけね〜ヤツが居んだろ。」

「…俺ァヘタレなもんでね、まだ無理でさァ。てか旦那、面白ェ刀の噂、聞いた事ありやせんか…?」

沖田君が俺に話した事柄は、今さっきソコの店で聞いた話と同じ話で…
なんでコイツは、そんな事俺に話すんだ…?

「んで、もひとつコレはオマケでィ。この件には高杉が絡んでるみたいでねェ…マジで危ない橋なんでさァ…」

「へ〜、何で俺にそんな話すんの?沖田君。俺には関係無いだろ?」

そう、今の俺には関係無い。

「…本当ですかィ?旦那…新八くんに何か有ったりとか…」

「あ〜、無い無い。そんな事はさせない。」

俺が断言すると、沖田君は少しだけホッとしたようだ。

「今回は俺マジで仕事やらなきゃならねェんで…だから、何か有っても俺は新八を護ってやれねェんでさァ…だから…どうか頼んます旦那…新八くんの事…どうか頼みやす…」

辛そうな、悔しそうな…そんな表情…
本当に本気で新八が心配なんだろう。
俺に託すのが、悔しくて仕方ないんだろう。

「あったりめ〜だろ。新八はウチの大事な子供なんだからな。オメーに言われなくても護ってやるよ。何か有ったらお妙に殺されるしな…」

冗談めかして笑ってやると、ジロリと睨まれた。
何だよ、場を和ませてやってんじゃね〜かよ。

「旦那…ふざけないで頼みまさァ…」

ペコリ、と頭まで下げられると、なんか俺が悪い事したみたいになるじゃね〜か!!やめろ!!

「お〜、任せとけ。」

ヒラヒラと手を振って俺が立ち去っても、沖田君が頭を上げる気配は無い。
そんな事までするぐらいなら、早いうちにマジで話し合えよ…お互い好き合ってんだからな。
もどかしい、とか許してやるのは2回目までだから。覚えとけよ?


…その後すぐに、俺は心の中で沖田君に土下座する事になる。

件の辻斬りは岡田仁蔵で、ヅラを斬ったとかふかしやがった。
そのまま不気味な刀と斬り合いになって…ピンチに陥った俺を助けに、あろう事か新八が飛び込んできやがった…
仁蔵の腕、斬り落としちまうし、俺は大怪我して動けなくなるし神楽は行方不明だし…

まぁ、沖田君と約束しなくても、俺は子供らを護るに決まってるけどな。
今回ばかりは結構キツイぜ…

新八よ〜、絶対無事に連れ帰るから…


「ちゃんと話し合って仲直りしろ!!」


つづく