さて、新八君は…

こっそりと屋敷の中を伺うと、居間でボーっと頬杖をついて雑誌を見ている新八くんを発見した。
…ちょっと元気無さそうだけど、それは普段と変わらない新八君だった。
やっと沖田さんの事ふっきれたのかな?
あの人ドSだしガキだし我儘だし自分勝手だし。
俺なら大人の優しさでたっぷり包み込んであげるから…新八君だってメロメロにしてみせる。
寂しい新八くんにつけ込んで…ね。

「…何してんですか?山崎さん。まだ僕の事ストーキングしてるんですか?」

ジッと冷めきった目で俺を見る新八君が、目の前に広がる。
おっと、考え事してたらつい新八君の前に出ちゃったよ。

「そんな、今日は仕事だよ。それに、新八君の事も心配だったしね。はいコレ、ここの団子好きでしょ?」

俺が土産の団子を差し出すと、新八君は無表情のまま礼を言って団子を受け取った。
えー…笑顔が見たかったのに。

「新八君機嫌悪い?あ、俺お茶淹れようか?」

「いえ、結構です。山崎さん仕事で来てるんですよね?お団子有難う御座いました。さようなら。」

…冷たい…
こんな新八君は…苛めたくなるな…

「新八君冷たいなぁ…俺、色々聞いて心配してるんだよ?エロマヨラーに言い寄られたりチャイナさんに見限られたり…沖田隊長に振られたり…ってさ。」

ニコリと笑いながらそう言ってやると、新八君が俯いてしまう。
なーんだ、やっぱりまだ傷付いてるんだ。

「今迄仕事が忙しくってさ。新八君も知っての通り、高杉が江戸に来てただろ?だから、今迄放っておいた分俺が沖田隊長の事なんか忘れるぐらい、うんと優しくシてあげる。」

そろりと頬に手を這わせると、気が付いた時には俺は鼻に激痛を感じて空を舞っていた。
え…?何だコレ…?

「謹んでお断りします。山崎さんお仕事で来てるんですよね?お気を付けて、家、もうすっかり要塞になってるんで。」

にっこり笑ってそう吐き捨てて、新八君が又頬杖をついてむしゃむしゃと俺の土産の団子を食べ始める。

「え…?あの…新八君…?」

そう呼びかけても、俺の存在そのものを無視してむしゃむしゃとひたすら団子を食べてる…あーあ、怒らせちゃった…
仕方ないんで今日は大人しく仕事をして又明日来よう。


そう諦めて、旦那が居る部屋へと忍び寄ると、旦那の世話をしている風を装って、チャイナさんに脅され姐さんに薙刀で刺されそうになった上二人に目に劇物を浴びせられた。

ちょ!タイミング良すぎるじゃん!!
あの人達、絶対俺の存在に気付いて攻撃して来てるよな!?

いくらなんでもこの三人相手に俺が敵う訳が無い。
イヤ、副長や沖田隊長だって敵うか判りはしない
なんとか隙を見付けて撤退しようと俺が走り出すと、タイミングを見計らったように旦那も部屋から飛び出してくる。

「えっ!?ちょ…もう帰りますって!」

「イヤ、無傷だし、ジミー君。」

ニヤリと笑った万事屋の旦那は悪魔に見えました。

「新ちゃん!SOLの出番よ!お願い!!」

「はーい、姉上。」

新八君の座る卓袱台に、何かのボタンが現れたのを確認すると、俺の周りが、ふうわりと青く光る…え…?まさか…

雑誌に目を落としたままだった新八君が、一瞬俺を見てニヤリと笑った。
殺気を感じて空を見上げると、一点が光りレーザービームが俺目がけて降り注ぐ。
命からがら逃げ回る俺を、レーザービームの連射が襲う。

新八君!?何!?タカハシ名人か君は!!


SOLのビームからなんとか逃げのびて屋敷から出ようと裏庭に回ると、落とし穴にゴリラとドM女がはまっていた。

…流石に局長を見殺しにする訳にはいかないよな…

ムカつきながらも二人を助け出すと、俺の話を聞いた二人はいきなり憤慨し始める。
ドMストーカー女はまだしも、局長はそんなの知ってるんじゃないのか?
ってか、この人も一枚噛んでるんじゃ…?

大騒ぎして事態を更に酷くしている二人を遠くに眺めていると、そこに万事屋の旦那が来て…二人が何故か俺を掴んで旦那に突進する。
そこに、何処からか姐さんとチャイナさんもやって来て…全員が俺を囲んで竹槍ルームに落とそうとしやがった!

チクショウ、やっぱり全員グルかよっ!?

でもまぁ、監察方を嘗めないでもらいたい。

俺の位置に旦那を引っ張って、飛びかかって来た奴等を踏み台にして空中に飛び上がる。
すると、憎々しげな目を俺に向けて、全員竹槍ルームへと消えていった。


流石に放っておくのもどうかと思って全員引き上げて庭に寝かせて並べておく。
旦那と局長は酷い有様になってるけど、まぁ、あの人達はタフだから。
はぁ、と溜息を吐いて恒道館道場を引き上げようとすると、俺の後ろから声が掛かる。

「あ、生きてたんですか。流石ですね、ゴキブリ並みの生命力。でもまぁ、お手数おかけしました有難う御座います。」

ものっ凄い棒読みの感謝の言葉は流石だよ、新八君。
ちょっとだけ…ちょっとだけ、落ち込みそうだ。

「いやぁ。毎日局長にこんな事してるの?大変だね。」

「毎日じゃないですよ?今日は山崎さんが来るって土方さんが連絡くれたんで特別です。」

…こんな時だけにっこり笑顔なんか要らないよ、新八君…でも可愛い。

ってかあのマヨラー…
さっすが真選組の頭脳だな、アイツ…
俺から潰していこうって腹かよ!
思い通りになんかさせるかよ!!

「あー、そうなんだー。それじゃ、俺急用思い出したんで。」

「お疲れさまでした。」

チッ、と舌打ちする新八君が気になったけど!
なんか、黒幕感満載だけど!
取り敢えずは副長だ。
俺はどんな報復をしようかと頭を巡らせつつ、屯所への道を急いだ。


つづく