ふと気付くと、外が薄暗くなっていた。
…アレ?まだ夕方ってほどじゃぁ無い筈なのに…
そう思っているとイキナリ雷が鳴り始め、大雨が降ってきた。
…さっきまであんなに晴れてたのに…傘持ってこなかったなぁ…


僕が作ったオムライスを持っていくと、初めビックリした沖田さんの顔が、すぐにほころぶ。

なっ…………!?
反則ですよぅ…そんな笑顔………!
いつもの綺麗な笑顔もも良いけど、無邪気に笑ったその顔は………可愛い…可愛すぎる…!
だっ…抱きしめたい………!!

「凄いんですねィ、新八くんは。こんなに美味しいモノが作るんなら、何時でもお嫁さんになれますぜィ?」(沖田裏声)

ぶばっ…

「いえ、あの、僕は男ですから、お嫁さんはちょっと…(沖田さんの)お婿さんなら…」

「そうですかィ?お嫁さんだと思いますがねィ。」(沖田裏声)

なっ…なんて事言い出すんだ、このヒトは…!

…料理作ったの逆効果だったかなぁ…でもっ!沖田さんのコノ笑顔が見れたんだから全て良し!
その後も、沖田さんはずっとニコニコしながら僕の作ったオムライスを食べてくれた。
幸せな気分で僕も料理をつまんだりお茶を飲んだりしていると、気付くと周り皆がヨッパライだった。

…確かにスゴイや…

遠い所では裸踊りが始まっていた。別の所では、周りじゅうにキスしまっくっている人が居た。頭を剃っている人の隣の人は、その頭をぺしぺしと叩いていたし、土方さんと近藤さんに絡んでいる命知らずも何人か居た。

…はっ!土方さんと山崎さん!

…土方さんは絡まれてるから良いとして…あ、キレた。
…山崎さんは…アレ?まだ忙しく台所と大広間を行ったり来たりしてる…大変だなぁ…

…大丈夫そうかなぁ…?あ!今日は僕が沖田さんの隣をキープしてるから近寄れないとか?

ところで沖田さんは…って、アレ?
お酒飲んでる―――――――――っ!
飲んじゃってるよ、この人っ!!!

よし、隣キープだ…ってか、沖田さんっていくつだっけ…?
未成年じゃ…なかったっけ…?確か…

「おっ…沖田さんっ!何でお酒飲んじゃってるんですかっ!?沖田さんって未成年じゃ…」

「固い事言いっこなしですぜィ、今日は飲み会なんでさァ。ホラ、新八も飲みねィ飲みねィ。」

僕のコップを取り上げて、お茶の中にごぷごぷと何かのアルコールを注ぎ込む。


…アレ…?何か沖田さん、急に声が低くなった気が…?


「どうしたィ?ホラ、飲みねィ飲みねィ。」

沖田さんが僕にコップをぐいぐい押し付けてくる。
…アレ…?やっぱり気のせいじゃ無い気が…アレ…?お酒飲んだから…?

「仕方ねぇなァ。俺が飲ませてやりまさァ…」

沖田さんが僕のお茶(何かアルコール入り)を、ぐいっ、とあおり、近付いてくる。
…アレ…?まさか…アレ…?

「ん―――――――――――――――――っ!」

ちょっ!…ちょっと待っ…えっ?ぼっ…僕、今口移しで飲まされてるっ!?やっ…えーと、あの、そのっ…やわらか…え―――っ!?
口移しされたお茶(何かアルコール入り)を飲み込むと、沖田さんは嬉しそうに笑って…

抱きついてきたぁ―――――――――――!?

なっ…なっ…なっ…
良いんですか!?良いんですか!?良いんですかァァァ!?
こんな…あ―――、もぅ、腕にムネが当た…ってない…?

アレ…?なんか…アレ………?

貧乳とか通り越してますが…?どっちかって言うと、逞しい男の胸板、って感じが…
あぁ!サラシか!
…って…アレ…?なんか、布の感じがしませんが…?ってか、サラシ、巻いてませんが…?
ジッと見つめると、沖田さんは暑かったのか、いつの間にか隊服の上着とベストを脱いでいた。薄いシャツ1枚のその下には何も無かった。ぶっ…ぶらじゃぁとか、サラシとか…

僕の視線を感じたのか、沖田さんが僕の腕につかまったまま目を上げる。ほにゃっ、と笑った後、ニヤリ、と恐い笑顔を浮かべる。

えっ…?なんか…嫌な予感が………

「新八君!あぶな―――――――い!!!!!」

たった今大広間に戻ってきたらしい山崎さんの叫び声が聞こえた時には、僕の手は沖田さんに引き込まれて、隊服のズボンの更に奥に入っていた。


…アレ…?何だ……?コノ覚えの有る身近な感触は…?アレ?アレ?何か僕のより立派なんですが…?アレ?アレ?もしかして、沖田さん…?


「男、でさぁ。」


僕の目が訴えていたらしく、沖田さんが笑う。
ソレはいつもの綺麗な笑顔だったけど、よ―――く見ると、何かを企んでいる『ニヤリ』と言う効果音が良く似合う邪悪な笑顔だった。

あれ――――?僕、今まで何を見てたんだぁ…?
僕の目は節穴かぁ?

沖田さんの笑顔を目の裏に感じながら、僕の目の前は真っ暗になった。

遠くで皆さんが僕を呼ぶ声が聞こえた気がするけど、暫らくはそっとしておいて下さい…ぐすん…



つづく