まどろみの少年

いつものように買い物の帰り。
ちょっとゆっくりしたくって、河原を通って帰る事にした。
ここの所、珍しく万事屋に仕事が来たりして忙しくって、流石の僕も色々疲れたよ…
なんか、さらさらと流れてる川を眺めてると癒されるよねー!

僕がのんびりと川を眺めながら歩いていると、どこかで見た事のある真っ黒に茶色のカタマリ………
……あ!あの人だ…沖田さん!!最近全然会ってなかったから、なんだか嬉しくなって小走りで近付くけど、沖田さんはぴくりとも動かないで寝転がったままだ。

あれ…?お昼寝してるのかな…?

僕が近くに寄っても全然動かない…僕別に気配消してないのに…大丈夫なのかな…?一番隊隊長…

「沖田さぁーん?」

僕が近くにしゃがんで覗き込んでも、カーカーと寝息が聞こえるだけで起きる気配も無いよ。

「ちぇっ、久し振りに会えたのに…」

ちょっと寂しくなって、隣に座り込んで顔を覗き込む。

…アイマスク、邪魔だな…

僕はいつものムカつくアイマスクをそぉーっと上げて、沖田さんの寝顔を覗き込む。
わぁ…キレイな顔…寝顔見れるなんてラッキー!
ぼーっと沖田さんを見てるとすっごく気持ち良さそうで、僕も眠くなってきた…一緒にお昼寝しちゃおうかな…

僕はメガネをはずして草の上にそっと置いて、沖田さんの隣にごろん、と横になる。
アイマスクをずらしたまんまなんで、沖田さんのキレイな寝顔が見放題だ!えへへ…
のんびりカーカーと寝息をたてて眠る沖田さんを見てると、僕もすぐに眠くなってきた。
…僕が寝てる間に居なくなったら悲しいよな…袖くらいなら掴んでても良いよね…

きゅっと沖田さんの隊服の袖を掴んで、僕も目を閉じた。


  ◆


なんだかすげぇ幸せな気分で目を覚ますと、目の前に新八君が居やがった。

なっ…何でだ!?確か俺ァアイマスクをして寝てたよな?
それより何でコイツが俺の目の前で寝てんでぃ…可愛い寝顔晒しやがって…誰かに見られたらどうするんでぃ!
俺が寝起きでボーッとしながらもそんな事を考えてっと、新八君がくしゅん、とくしゃみをした。

おっといけねぇ、新八君が風邪ひいちまわぁ!

俺が、隊服を脱いで新八君にかけてやろうと動くと、何かががくん、と引っかかる。
何でぃ、ちくしょう…
ぐいっ、と引っぱると、その先には新八君の手…

おいおいおい、ちょっと勘弁してくれよ。
何でぃ、コノ可愛い生き物は!
俺の袖掴んで寝てんなんて反則でぃ!襲っちまうぞ!!
俺が本気で襲っちまおうかと思ってると、新八君がぶるりと震える。

…ちっ…仕方ねぇなぁ…

そっと俺の袖を掴んでる手を離して、上着の前を広げて新八君を抱き込む。
これで2人とも暖けぇだろ。

まだまだ時間もある事だし…
俺ァアイマスクを下して、幸せを抱き込みながらもう一眠りする事にした。


 END


兎Qさまに相互リンク記念に送り付けました沖新小説。