「…明日の帰りにどこ寄るか、なんて明日でもいいだろ…!絶対わざとやってるんだから!」



あーもう疲れた、と新八は携帯を閉じ、部屋の布団にドスンと寝っころがる。


「でも、まだ一度も返信出来てないんだよね…」



手に持ったままの携帯を見、再び開く。


ピ。


「…も、変換なしで送っちゃえ」


ピ。


暫くかかって、漸く文章を打ち終え。


ピ。


「は〜…。やっと、送れた」



山のような沖田からのメールに、とにもかくにも一度は返信出来た事に安堵し。
持っていた携帯を手放すと、そのまますっと寝入ってしまった。









……………

翌朝。
目が覚めた新八の視野に、ランプが点滅している携帯が入る。


「なんだこれ…」


取り敢えず、とメール着信を確認すると、新八の返信後に3件程の着信はあったが、その後はなかった。


「良かった…適当に切り上げてくれたみたい」



新八は画面を見てホッとした様子だったが、少し考えてメール作成画面に切り換える。


ピ…ピ…。


「…よし、と。これで送信…!」


満足げに携帯を閉じ、新八は朝の準備を開始した。

新八が自分の席で教科書等の整理をしていると、後ろから走り寄って来るような足音が聞こえて来る。


その音の確認をすべく、新八が振り向こうとした瞬間、いきなり視界が真っ暗…と言うか真っ黒になった。


「し〜んぱちィっ!」


「 」


沖田に頭から抱き着かれた新八の抗議の声は、沖田の制服でくぐもってしまい聞き取れない。


「あ、悪りィ」


「ったく…普通に挨拶出来ないの?


「嬉しくて、つい」


「何が?」


「コレ、でさァ」


と、沖田が新八の眼前に突き出したのは携帯のメール画面で、そこに表示された文章は明らかに新八が打ったもの。


真っ赤になって前を向いた新八の耳元で、沖田はニヤニヤ笑いのままで囁く。


「新八からのメール、皆保護にしてありまさァ…すっげ嬉しかった」


新八はますます赤くなり、顔はだんだんと下を向いてしまう。


「だったら、返信打つ暇くらい…!」

「新八に話しかけてるみてェでやめらんなかったんでさァ」


赤い顔のまま、新八は本当に嬉しげに笑っている沖田を見る。

(こんな顔見ちゃったら、怒るに怒れない…


「…でも、授業中とかは絶対駄目だよ?」


「努力しまさァ」


「…解約してこよっかな」

「…しません絶対しません」


「分かればいいんですよ」


二人は顔を見合わせ、笑い合った。









その頃教室の出入り口では。


「どうでもいいが、あのバカップルなんとかしてくれ…教室に入りにくいったらねぇや」


「そう言うなトシ。もう少しの辛抱だ」


「アイツらぜってぇここが学校だって忘れてンぞ…」





ご愁傷様。







おまけ

「またこんなとこにいた…山崎君や土方君が嘆いてたよ、沖田君がメールとか見てくれないって。」

「俺の携帯は新八専門でィ。他の奴等のは速攻で消して…」

「そんなんするなら、僕帰りに携帯解約してくる」

「え、いや、ちょっ」

「僕がまだ早くメール打てないの知ってて…こんな風に探す時間、勿体ないと思わない?」


「…すいやせん」


「早く用を済ませてくれれば早く一緒に帰れるんだよ…メールや電話より、そっちのが、あ」



「…聞いちまった」










電話より、メールより。




……一緒にいたいよ。