沖田は膝を曲げて伸ばした両手をだらりと乗せた

空になった氷のストローを口にくわえて遊んでいる


「新八、新八」

「ん?」


ストローを噛み潰した口が呼んだ

花火に夢中な新八は横目を向けるだけ


「舌出してみなせェ〜」

「えぇ?」


こんな時に面倒臭いと顔に出ていた

新八がべーっと舌を出す

付き合いの良い子だ


「やっぱり真っ赤でィ♪」

「?」


楽しそうな沖田がストローを外すと同じ様に舌を見せた

青くなった舌

何が楽しいのか判らないが

どこか得意げだ


「沖田さんは真っ青ですよ?変な色〜」

「これも氷の醍醐味でさァ♪ひひ、面白ェ」

「幸せな人だなぁ」


膝を抱えた新八が腕に頭を預けて

ふんわりした笑顔で見上げる

楽しそうな沖田の顔を


「見てる方が幸せになれちゃいそうですよ?」

「………」


カリカリと頭を掻く沖田

周囲を見回してから項垂れる新八の頭を撫でた

スルッと抱えて

無防備な唇に舌で触れる…

絶え間なく上がる花火も見ないで

今は間近でお互いの目だけを見ていた…


「…舌が冷たいですね」

「………」

「花火が見えないです」

「………」

「クス。何で沖田さんが赤くなってるんですか?」


黙ったままの沖田は赤い

花火が上がる度に照らし出される

やっぱりどこか落ち着かなさそうな顔だ


「つ、つい……//」

「変な沖田さん」


クスクスと笑う新八

離れていく沖田を変わらない体勢で見つめた

光陰に揺れる

動画のような視界

新八の伸ばした手が沖田の着物を掴んだ


「もう一回」

「…ッ//?!は、花火が見えないんだろィ?」

「もう一回」

「花火、終わっちまいますぜ//」

「もう言いませんよ?…沖田さん、もう一回」

「〜…ッ//」


もう逆らえない

新八の誘いを言い訳に…

俯いた赤い顔が再び近付いた

上唇に

下唇に

塞ぐように

氷で冷えた舌が触れる…


「一回じゃおさまらねェや…責任取って下せェ//」

「いいですよ?」

「冗談じゃ」

「いいってば」


新八の笑顔が眩しい

クラリ、と眩暈…

沖田はもう花火どころではなくなった


「お祭りに来て、花火見て…隠れてキスするなんてロマンチックじゃないですか?」

「あ、う…そ、の…//」

「素敵な夏の思い出、出来ましたね?」

「…………へい…//」


花火が終わるまでキスをして

花火が終わっても離れなくて

光のなくなった中でもっと距離を縮める…



最高の夏の思い出

滑り込みセーフの残暑デート

少しロマンチックで

暑かった……



屯所では、

文字通りの鬼副長が待っていたとしても

今のには説教等右から左だ




終わり。