とらぶるめいかー
今年も又桜の季節がやって来た。
降りしきる桜の花弁を眺めながらのんびりと散歩なんて、今だから出来るんだよね。
昔はいつも、沖田隊長のフォローとか…沖田隊長の雑用とか…沖田隊長の探索とかさせられてて…桜なんて愛でている暇なんか無かったもんな…
…あれ?全部沖田隊長がらみじゃね…?
そんな沖田隊長も、結婚を機にそこそこちゃんと仕事をこなすようになって…
子供が出来た今はしっかりと仕事をこなすようになった。
家族、ってのは偉大なもんだ。
それは凄く良い事なんだけどさ…結婚の相手が問題だったんだよな。
あの新八君が、まさか沖田隊長と結婚するだなんて…
ショックだったよなぁ〜…この世の終わりかと思ったよ…
他にも新八君にひっそり想いを寄せていた人は結構いたから。
二人が結婚して暫くは、歌舞伎町周辺はものっ凄く静まり返ってた。
今となっては皆、新八君の幸せそうな姿を見てこれで良かったのかなぁ…なんて思ってるけど…
まぁ、実際そう思わないとやってらんないってのも有るけど。
でもちゃんと新八君の幸せを願ってるんだよ?俺も。
想って…いるんだよ…?
大きく溜息を吐いて、大きな桜の樹を見上げる。
今年も本当に綺麗に咲いてるなぁ…
そう言えば…あの子達…今日寺子屋の入学式だって言って沖田隊長が休み取ってたっけ…
時間が経つのは早いもんだなぁ…俺も年取る訳だよ…
うん、あの子達の為にも江戸の平和は俺達が守らなきゃな。
さぁーて、もうひと頑張り…
「あー!やまざきー!!」
「あ、やまざきさんだ。」
うわ、俺凄くね?
あの子達の事考えてたら会っちゃうなんて…エスパー?
俺が声のした方に振り向くと、おめかしした桜ちゃんと風樹くんが、俺を目指して走ってくる。
あーあー、でっかいランドセル背負って…転ばないか…
あぁっ!風樹くん思いっきり転んだ!!
新八君が慌てて起こしてるよ…
何?俺マジでエスパー!?
そんな事考えてると、どすん、と俺の足に桜ちゃんがぶつかってくる。
「風樹くん転んでるよ?」
俺が下を見ると、得意気な桜ちゃんがニヤリと笑う。
「ふーきはニブイんでィ。それよりみろィ!いろっぽいだろー?きょうはてらこやのにゅうがくしきだったんでおしゃれしたんだぜィ!」
くるり、と回るとミニの着物がふわりと翻る。
色っぽいって…チャイナさんか?そんな事教えたの…
「そうだね、可愛いね。」
うん、流石新八君そっくりだ。
可愛らしいピンクの着物が凄く似合ってる。
「なんだよー!やまざきちゃんとみたか!?かわいいんじゃなくていろっぽいんでィ!」
「ははは…そうだね…」
もう大人ぶりたい年頃なのかな?
女の子って怖ぇー…
ま、満足したように微笑む姿はまだまだ子供で可愛いけどね。
「これはねー、たえねえちゃんがかってくれたんだぜ!よるのちょーになれ、って!」
「…へぇー…」
姐さんんんん!
何教えてんだあの人ぉぉぉぉぉぉぉぉ!?
「こんないろっぽいさくら、やまざきよめにほしいだろー!」
「うん、そうだね…って…えぇぇぇぇぇ!?」
思わず流しそうになったけど!
そんな事、新八くんや沖田隊長に聞かれたら…
「へぇ、山崎さんって桜の事狙ってたんですか?」
ざわざわと俺の後ろから冷気が忍び寄る。
なんとか首を回して後ろを向くと、おっそろしい笑顔の新八君が…
「おやおや、山崎ィ…おめぇ意外と根性有ったんだねィ…」
突き刺すような殺気を感じつつ、振り返るとそこにはニコニコ笑った沖田隊長が…
…死んだ…コレもう絶対俺死んだ…
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