※パチ恵ビッチ注意



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久し振りに万事屋に仕事が入って、台所が少しだけ潤った。
それでも食べ盛りの男の子が居るからには、なんとかやりくりしなくてはいけなくて。
だから私は大江戸ストアのタイムセールに、決死の覚悟で突撃する。

…今日の特売は豚肉だもん!なんとしてでも手に入れなくっちゃ!!
お肉なんて久し振りだから、銀さんも神楽君も喜ぶだろうな。
値段は一緒だもんね、出来るだけ沢山入ってるパックを選ばなくっちゃ!!
むん!と意気込んで大江戸ストアに入っていくと、入り口で私服姿の沖田さんに逢った。

「こんにちわ沖田さん。お買い物ですか?」

「いんや…パチ恵ちゃん待ってやした。今日俺非番なんで、買い物帰りに甘味処にでも誘おうかと思いやして…」

にっこりと微笑んでそんな事言われると、顔が赤くなってしまう。
カッコ良い男性にそんな綺麗な顔で笑われると…心臓がドキドキする…
近藤さんの為に私にも良くしてくれてるんだって分かってるけど…それでも…ちょっと嬉しい…

「凄く嬉しいです!あ、今日はちゃんとお給料貰ったんで私がご馳走しますね!」

沖田さんは買い物帰りの私に、よく甘味をご馳走してくれる。
局中法度のせいだったり、貧乏で食べられないと思われてるせいだったりするのかもしれないけど、その時間は私にとっては特別な時間で…
凄く嬉しくて楽しくて、幸せで…

でも、そうそうご馳走してもらってばっかりじゃ…そのうち呆れられてしまうかもしれないから…
だから、こんな時ぐらいは私がご馳走しなくっちゃ。
…沖田さんに逢えなくなるの…嫌だもん…

「無理すんねィ。大体、でえとの時は男が奢るって決まってんだから黙って奢られときなせェ。」

「へっ…?でっ…でーと…!?」

うっすらと頬を染めた沖田さんが、フイッ、と顔を逸らす。
え…?そんな…
沖田さん…は…そういうつもりで私の事誘ってくれてたの…?
どっ…どうしよう…凄く嬉しいよっ…

でも…私の勘違いだったらどうしよう…
沖田さんみたいなカッコ良い男の人が…私の事すっ…好き…なんて…
有り得ないよね…?
沖田さんドSだし…からかわれてたりとか…

「…告白…だったんですがねィ…パチ恵ちゃんは嫌でしたかィ…?」

「そっ…そんな事無いっ…!…です…」

色々考えて黙り込んでしまった私を伺うように、沖田さんがそんな事を言ってくれた。
ほっ…本当に…沖田さんが…私を…?

「そんな事無い、って事は…パチ恵ちゃんも俺の事…」


『只今よりタイムセールを行います!』


「あ!豚肉!!」

…凄く良い雰囲気だったけど…でも…っ!
今日はなんとかして豚肉を手に入れなくっちゃ!!
慌ててタイムセールの方に走ると、フッと笑った沖田さんが隣を一緒に走ってくれる。

「取り敢えず豚肉買いやすか。パチ恵ちゃんは他のモン買ってきなせェ。俺が肉取ってきてやらァ。」

「あ…有難う御座います!あのっ!出来るだけ多いやつを…」

「任せろィ。」

一瞬でおば様の波に呑まれていった沖田さんを見送って、私は他の安売り商品を買いに走る。
卵も安かったし…大根に…ネギに…にんじんに…
一通り安売り商品を手に入れて、沖田さんを探してキョロキョロと辺りを見回していると、後ろからクスクスと笑い声が聞こえる。

「誰を探してんですかィ、お嬢さん?」

「沖田さん!?」

振り向くと、豚肉のパックを抱えた沖田さんがクスクス笑いながら私を見下ろしていた。

「凄い!そんなにいっぱい…」

「斬り込み隊長ですぜ?俺。」

「有難う御座います!…だいすきです…」

「へ…?」

「はっ…早く買って行きましょう?甘味処…デート…するんですよね…?」

心臓、壊れそうだよ…
本当に本当なのかな…?夢じゃないのかな…?
チラッと沖田さんの顔を見ると、ばっちり目が合って…そんな優しい瞳で見られたら…
恥ずかしくって足早にレジに向かうと、バタバタと走って来た沖田さんがカゴを持ってくれる。

「サッサと買って、でえとしやしょう、でえと!」

デートを…強調されたら…恥ずかし過ぎて泣きそうだよぅ…
お会計を済ませて荷物を詰めると、沖田さんがそれを奪うように持ってくれて私の手を掴む。
うわっ!手…繋いじゃったよ…
ドキドキが半端ないよぅっ…
何も言えなくて、手を引かれるままついて行くしかないけど…でも凄く温かくて…幸せ…