風呂上がりには、腰に手を当てて
季節は秋。
だんだんと寒くなってきた今日この頃、僕らは又、望仙郷で旅館の仕事をしています。
物好きなお客さんが、団体で予約を入れてきたそうで…それも、人間のお客さんだから、おかみさんとレイさんだけじゃ手が回らないっていうんで、僕ら万事屋に白羽の矢が立った。
まぁ…もうスタンドは落ち着いてるって言うし、3食出してくれるって言うし、温泉にも入って良い、って言うし…
ちょっとした旅行気分で、意気揚々と出かけたんだけど…
なんだろうコレ…
何かやったかな、僕ら…
団体さんが着いた、って言うんで、張り切って揃いの旅館のはっぴを着た僕ら3人が迎えに出ると…
ソコに来ていたのは、社員旅行中の真選組の皆さんだった…
顔を合わせるなり、早速、土方さんと銀さんが、沖田さんと神楽ちゃんが、喧嘩を始めた。
あーもう!こんな所でもやんのかよ、コイツらっ!?
「多串く〜ん(チラッ)ストーカー止めてくんな〜い?」
「ばっ!なっ!!そんなのするか!!」
銀さんが、チラチラと僕の方を見ながら土方さんに絡んでる。
何?僕にも何か言え、って事なのかな…?
「ドSテメー(チラッ)ストーカーするしか無いアルな…哀れな男アル…」
「は?そんなのしてねェし。どっちかってェと、運命だろィ?(チラッ)」
神楽ちゃんと沖田さんも、僕の方チラチラ見ながら変な言い合いしてるけど…
僕はどっちの味方もしないからなっ!?
本当なら、僕も万事屋チームに加わらなきゃいけないんだろうけど、どう考えたって銀さん達の方が言いがかり付けてるからね?
真選組の皆さんが予約を入れたから、僕らが呼ばれたんだからね?
そうじゃなきゃ、僕らココに来てないからね?
「もぅ!銀さんも神楽ちゃんも言いがかり付けないで下さいよ!!皆さんはお客様なんですからね!?」
僕が2人をなだめて、ぐい、と両手でそれぞれを引き寄せると、案外素直に引かれてくる。
でも、そのままくるりと振り返って、僕を見てむぅっと口をとがらせる。
「何だよ、俺らは新八の為を想ってやってんだよ〜?」
「そうアル。イヤな思いさせたくないアル!」
ブーブーと文句を言ってくるけど…
僕がこき使われると思って庇ってくれたのかな…?何か嬉しい…
自然と顔が緩んで、笑ってしまう。
なんだかんだ言って優しいからな、2人とも。
「有難う御座います。でも、2人がちゃんと働いてくれたら、そんな事無いと思いますよ?」
笑いながら僕が言うと、2人がぐしゃぐしゃと僕の頭をかき混ぜる。
ぎゃぁぁ!何するんだコイツラっ!?
一生懸命手を除けようとするけど、息の合った2人の攻撃は中々除けきれない。
ジタバタと暴れていると、銀さんがぽんぽんと僕の頭を撫でる。
神楽ちゃんはぐいーっと僕のほっぺたを掴んで伸ばした。
何すんだよ!もぅっ!!
「そ〜ゆ〜んじゃね〜の。」
「やっぱりコイツ、ワタシ達が護ってやんなきゃダメネ。」
…何だろ…?
良く分かんないけど、僕の頭をかき混ぜた2人の手が優しかったから…
気を取り直して皆さんを部屋まで案内する。
「相変わらず仲良しだな、万事屋は。新八君世話になるよ、宜しくな。」
にこにこ笑った近藤さんが、僕の頭をぽんぽんと撫でて隊士の皆さんを率いて銀さんについて行く。
銀さん大丈夫かな…ちゃんと失礼無いように出来るかな…?
ハラハラしながら見ていると、ちゃんと案内出来てるみたいだ。
「…いきなりすまなかったな、宜しく頼む。オイ!お前ら行くぞ!!」
おっそろしい気配を感じて振り向くと、土方さんが僕に声を掛けて、隊士の皆さんを率いて神楽ちゃんについて行く。
土方さん怒ってるのかな…?でも、僕には引きつり笑いを見せてくれるし…銀さんも、もうちょっと大人になってくれればいいのに…
それよりも、神楽ちゃん大丈夫かな…間違わないでちゃんとご案内出来るかな…?
すっごく心配だよ…
ハラハラしながら神楽ちゃんを見送ってると、又おっそろしい気配を感じる。
そろりと振り向くと、沖田さんがすっごい睨んでるぅぅぅぅぅ!?
神楽ちゃんとの喧嘩止めたから…怒ってるのかな…?
ビクビクと様子を伺ってると、スッ、と間に誰かが入ってくれる。
あ…山崎さん…
「ごめんね新八君、煩くしちゃって。」
にこにこ笑った山崎さんが謝ってくれるけど、言いがかり付けたのはこっちだし!
「いえっ!こちらこそ、ウチの銀さんと神楽ちゃんがすみません!皆さんお客様なのに…失礼しました!」
思いっきり皆さんに頭を下げると、山崎さんが苦笑する。
でも…沖田さんはあからさまにムッとしてるよ…僕も怒らせちゃったかな…?
「新八君も大変だね…ま、皆特に気にして無いだろうから君も気にしないで。」
山崎さんがフォローしてくれるけど…
沖田さんはムスッとしたまんまだし…絶対怒ってるって!!
…後でもう1回ちゃんと謝っておこう。
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