昔取った杵柄
ここ数日、大江戸ストアで新八くんを見かけなかった。
珍しく万事屋に仕事でも入ってんのかと、寂しいながらも我慢していた。
そしたら昨日、大江戸ストアで万事屋の旦那に会った。
…あれ…?
「旦那ァ、新八くんはどうしたんで?」
「なんだよ沖田君じゃん。何?いつの間にウチの新八と仲良しになってんの?あんま変な事教えないでよね〜」
…何でィ、新八くん旦那には報告してねェのかよ、俺の事…
ちょい寂しいじゃねェか。
まぁ、新八くんは照れ屋だから仕方ないっちゃぁ仕方ねェか…
「それは新八くん次第でさァ。で?その新八くんはどうしたんで?」
「あ?あぁ、アイツ風邪ひいてさぁ〜、ここんとこしばらく休んでんだよ…って!沖田君!?」
今日ばっかりは旦那の愚痴に付き合ってる暇はねェ。
話の途中なんて気にしないで、俺は大江戸ストアに駆け込んだ。
桃缶にポカリにアイス。
途中のドラッグストアで風邪薬も買ったしひえピタも買った。
これで…なんとかなるだろィ?
待ってろよ、新八ィ!今、愛しの沖田さんがお前さんを助けに行ってやらァ!!
走って走って新八くんの家に着くと、いつもとは違って門が閉まってる。
あぁ、姐さんも居ねェのか…
仕方ないんで門を飛び越えて、近藤さんに教わったルートで志村邸に潜入する。
新八くん、寝てやすかねェ…?
そーっと部屋に入り込むと、赤い顔をした新八くんが、くーくーと寝息を立てて寝ていやがる。
かーわいいねィ…
思わずフラフラと近付いて、ちゅっ、ときっすすると凄ェ熱い!?
滅茶苦茶熱有んじゃねェか!!
ただ寝てるたァ、どういう了見でィ!?
早速、買ってきたひえピタをデコに貼る…前にちゅうでィ!
早く良くなりやがれ!!
ちゅっときっすをした上に、ひえピタを貼る。
ついでにちょっと持ち上げて、首の後ろにも貼っとく。
後は…何か喰って薬飲んで欲しい所だが…
とりあえず粥でも作ってくるか。起こすのはそれからでィ。
そっと台所に移動して、アイスと桃缶を冷蔵庫に入れる。
米を出して、鍋を出して、卵も出して…さくさくと粥を作る。
俺ァ…粥は…得意だからな…
姉上も美味しい、って喰ってくれたっけ…
昔の事を想いだしてる間に、粥が出来る。
ソイツを盆に乗せて、桃缶を開けて一緒に持ってく。
水も汲んだし、ポカリも持った。
又、そーっと新八くんの部屋に戻ると、さっき見た時のまま、新八くんはくーくーと寝ていた。
可哀想だけど…起きてもらいやすか…
「新八ィ…」
肩を掴んでゆさゆさと揺する。
「新八ィ…起きなせェ…」
ちょっと強めに揺すると、新八の眼がぱかりと開く。
「…え…?お…おきたさ…?」
きょとん、と俺を見んのも可愛いや。
「お早うさん。新八くん風邪ひいたんだって?万事屋の旦那に聞いたんで、見舞いに来やした。」
「えっ?あれっ?でも、鍵…」
「そんなん、愛の前には関係無ェよ。」
キメ顔でそう言ってやると、新八君の眼が眇められる…
「…不法侵入ですか…」
「俺ァ警察ですぜ?大丈夫でさァ!」
胸を張って言ってやると、はぁ、と大きな溜息を吐かれる。
何でィ…可愛くねェな…
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