このお話は『カードキャプターさくら』パロです。
キャスティングがNL寄りになっていると思いますので、苦手な方はご注意下さい。
さくらちゃん→パチ恵
小狼くん→沖田
知世ちゃん→お妙さん
桃矢兄→土方さん
雪兎さん→ミツバさん
藤隆さん→銀さん
撫子さん→お登勢さん(綾乃さんの頃)
利佳ちゃん→うららちゃん
ケロちゃん→神楽ちゃん
大丈夫そうでしたら、どうぞお進み下さい
カードキャプターぱちえ
『ショウヨウ・カード』
その封印が解かれるとき、この世に災いが…
三日月光る宵闇の中、ひときわ高く大きく光るターミナルがそびえ立つ江戸の町。
その片隅で、今宵もひっそりとこの世の平和は護られている…
ターミナルの上を飛び回る、ウサギに似た不可思議な生き物と、ソレを追う小さな影がふたつ。
「やっと追いついた!」
その声に反応して振り返った『ソレ』に対峙するのは、黒髪をおさげに結った眼鏡の少女。
可愛らしい衣装を身にまとい、マントをひるがえすその姿は漫画に出てくる魔法少女のようだった。
その肩にはちんまりと羽が生えたウサギのぬいぐるみ(?)が乗っていた。
しかし、一見可愛らしいその二人組を見止めた『ソレ』は、光を発して巨大化し、迷いなく少女達に襲いかかったのだ!
「ぱちえ!」
「闇の力を秘めし『鍵』よ!真の姿を我に示せ」
少女の唱える呪文に反応したペンダントが光を放ち、その足元に魔法陣が浮かび上がる。
「契約のもとぱちえが命じる『封印解除』!」
少女がかざす『鍵』が『杖』となり、力がその『杖』に集まっていく。
その『杖』を警戒した巨大ウサギが、一瞬怯む。
その隙を、彼女らは見逃す事は無かった。
「ぱちえ!カードを使うネ!!」
「わかったよ!『ショウヨウ』の創りしカードよ我が『鍵』に力を貸せ」
少女の取り出した美しい絵の描かれたカードが、その声に反応したようにふわりと舞い上がる。
「カードに宿りし魔力をこの『鍵』に移し我に力を!」
『風』
少女の呪文詠唱に呼応するように、魔法陣からわきおこる『風』が『ソレ』に巻き付いてゆく。
「風よ!戒めの鎖となれ!」
その言葉通りに『ソレ』に巻き付いていた『風』が戒めとなり、ついには『ソレ』は動きを封じられた。
「なんじのあるべき姿に戻れ!『ショウヨウカード』!!」
そして『ソレ』は少女の『杖』から放たれた光に包まれ、悲鳴と共に新たに現れたカードに吸い込まれて『風』とはまた違った美しい絵のカードへと姿を変えた。
ふわりと舞い落ちるカードを拾い上げた少女が深いため息を吐いた。
それと同時にその肩に乗るウサギのぬいぐるみ(?)が物陰に向かってVサインを決める。まるでカメラの前にでも居るように…
「最高だったわ、ぱちえちゃん!」
ウサギのぬいぐるみ(?)がVサインを向けた物陰から、カメラを構えた黒髪ポニーテールの美少女が現れた。その目はキラキラと輝いて、興奮冷めやらぬ様子だ。
「妙ちゃん…やっぱりはずかしいよ…」
顔を赤らめる眼鏡の少女はカメラを避けるように身をよじるが、ポニーテールの少女は全く構わずカメラを構え続ける。
「テレる事なんてないわよ。貴女はこの世に災いをなす『ショウヨウカード』を集めるたった一人の勇敢な少女なんだから!」
うふふ、と菩薩のような笑顔を浮かべる美少女に流されたのか、眼鏡の少女は顔を赤くしたまま照れ笑いを浮かべていた。
「そうアル。ぱちえは封印の獣であるワタシ、ヤト・カグヤ・カグラが選んだ主候補だからナ!」
羽が生えたウサギが得意気に胸を張って二人の周りを飛び回る。
「だから次も頑張るネ!」
「次も私がしっかりぱちえちゃんの超絶可愛い姿を余さずにこのカメラに納めるから安心してね?」
「うっ…うん…がんばるよ…」
なんだか少しおかしいと思いながらも、嬉しそうな二人を止められない眼鏡の少女は困ったような笑顔を浮かべてコクリと頷くのだった。
その楽しげな様子を遠くから見つめる影がひとつ…
「見つけやした…『ショウヨウカード』の気配でさァ…」
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