女の子だもん!



…朝起きると、胸の間に違和感を感じた。
あー…又、沖田さんが抱きついてきてんのかなぁ…
昨日は珍しいお酒が手に入った、って沖田さんが僕の家に乗り込んできたんで、2人で大はしゃぎで酒盛りしてそのままザコ寝したもんなぁ…

「もぅ、沖田さん起きて下さいよっ!って、今のはシャレじゃないですからねっ!僕のプライドに賭けてっ!!」

ぷるるるるん…

…は…?
沖田さんの頭を押しのけようとした僕の手に、ものっ凄い気持ちいい何かが当たる。
何だ…?このふにふにした物体は…?
もう1回注意しながらその場所を触ってみると、やっぱスゲー柔らかい…
ばっと目を開けてその場所を見ると、予想していた沖田さんの頭は無くて、そこには男の夢と希望がぱんぱんに詰まった物体が…

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

僕が飛び起きると、それは僕についてきて、ぷるるん、と震えた。

えっ…ちょっ…えっ………

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!!!!」

「うーっ…なんでィ新八ィ…朝から煩ェ………パチ恵ちゃん…?」

ぼりぼりと頭を掻きながら、むっくりと起き上った沖田さんの肌蹴た着物の胸元からも、うっすらとした膨らみが…何より髪が長くなってる…

ぶっ…

あ、やべ、鼻血出た…
僕の視線を感じて目線の先を追った沖田さんが、自分の胸のふくらみを見付けて揉んでみた。
そぉっと下も確認して、びくりと固まる。
…無いんだ…
僕もそぉーっと下を確認する…やっぱり無い…

僕達何やったっけ…?
昨日は…うん、沖田さんが珍しいお酒が手に入った、って大はしゃぎで家に来て、2人で酒盛りして…
確かにちゃんぽんしたけど…

「沖田さん…昨日の珍しいお酒って…ひゃぁっ!?何やってんスかァァァァァ!?」

「あぁ、天人の酒でさァ。何って、こんな時でもない限り見れないんで…」

僕が沖田さんを見ると、沖田さんは寝間着を脱いで、全裸でじろじろと自分の身体を眺めまわしてた。

「なんだよ、もう少しおっぱい欲しかったなぁ…良いなー、新八は巨乳で。」

沖田さんが指をくわえてじっと僕の胸を見る。
きょっ…巨乳って…あ、確かに大きい…でも…沖田さんの体も綺麗…僕はあの位で丁度良い…って、ぎゃーっ!何考えてんだ、僕ぅぅぅぅぅぅ!!

「そんな落ち着いてないで下さいよっ!こんな体じゃ愛する人と幸せになる事も出来ないよっ!どーすんだよコレっ!」

「まぁ、愛する人の性別が変わるだけじゃね?」

「男は無理っ!じゃぁ沖田さんは土方さんと付き合える?銀さんは?山崎さんは?近藤さんは!?」

「…無理……」

2人で遠い目をして見つめ合う。

「とにかく着替えてなんとか元に戻る方法を考えないと…」

僕が、昨日着替えてたたんであった着物と袴に手を伸ばすと、沖田さんが僕の手を引いて立ちあがる。

「新八ィ、俺面白ぇ事考えた!姐さんの所に行きやしょーぜ!」

「えっ!?ちょっと沖田さんっ!?」

ニヤリと笑った顔が、何かろくでもない事思いついた顔だよ…
でも、逆らえる訳もなく…僕はそのまま手を引かれて姉上の所まで連れて行かれる。

「姐さん、姐さん、見て下せぇ!俺ら女になっちまいやした!着物貸して下せぇ!!」

沖田さんが僕と自分の胸元をばっ!と広げて姉上に見せる
ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?何するんだこの人ォォォォォっ!?いくら姉上ったって見せるのは恥ずかしいよっ!!!
その上何僕のおっぱい揉んでんだよっ!?この人ォォォォォォォォォっ!!!!!

「うわ、やわっけぇ…いーなー、新八いーなー。」

「何がですかっ!ちょっ!!止めて下さいよっ!!!」

「新ちゃんと…沖田君…?」

居間に座ってお茶を飲んでいた姉上が、僕等を見て固まった。そうだよねー…

「姉上、原因は分からないんですが、僕達…」

「とりあえず、ご飯を食べましょう?顔を洗ってらっしゃいな。」

沖田さんがはーい、と素直に走るんで、僕も後に続く。
あー、胸が揺れて走りずらい…って、殺気!?
慌てて後ろを振り向くと、にこにこ笑った姉上…気のせいか…
顔を洗ってご飯を食べて、姉上の部屋で着物を借りる。
何か…姉上みょーに沖田さんに優しくないか?で、みょ――に僕に冷たくないか?

「あら、コレ沖田君にぴったりね!私、こういう妹が欲しかったの、可愛いわー!」

きゃっきゃっとはしゃぐ2人を尻目に僕は置いてきぼりで…

「姉上、この着物上手く着れないんですが…」

僕がそう言うと、ちろり、と僕を見る。

「新ちゃんは無駄な肉が付き過ぎだからじゃないかしら?その邪魔な2つの肉の塊、切り落としちゃえば?」

おっ…おっぱいかぁぁぁぁ!?
姉上…確かに姉上はおっぱいが無いけど…そんなあからさまな…

「切り取れませんよっ!何でですかっ!!」

「チッ…ムカつくのよ、そのデカい胸…」

本音出たァァァァァっ!はっきり言ったァァァァァ!!!

「姉上ぇぇぇぇぇぇぇぇぇ…」

「姐さん姐さん、俺髪も結いてぇです。」

「あら沖田君はお洒落さんね。私が結ってあげるわ。」

沖田さんが目配せして姉上を離してくれる…助かった…
何とか着物を着て、髪はとかしてピンで留める。
長い髪を高い位置で結った沖田さんはすっごく綺麗で、なんだか沖田さんじゃないみたい…

「おー、新八ィ、可愛いじゃねぇか。眼鏡を外すと完璧でィ。」

沖田さんがするりと僕の眼鏡を外して、又僕の手を引いて歩きだす。

「ちょっ…沖田さんっ!どこ行くんですかっ!?」

「町に出てナンパされるんでィ!馬鹿な野郎どもを騙くらかしてやろうぜ?」

「そっ…そんなぁっ!無理ですよぅ!沖田さんならまだしも、僕は無理です!無理無理!!」

僕の意見なんかまるで無視で、沖田さんはどんどん町を進んでいく。
暫く歩いていると、いつもの如く銀さんと土方さんが喧嘩していた…
何してんだ、あの人達…

「新八ィ、カモ発見でさァ。モテないおっさん達に夢見させてやろうゼ?」