どうせ僕が止めても突き進むんだろうなぁ…仕方ない、僕も行くか…ってか引っ張られてもう近寄ってるんだけど。

「新ちゃん声かけなよぉー」

「あ、ずるぅい!総ちゃんがカッコ良いって言ったくせにぃー」

僕等がきゃっきゃっと2人に近付いていくと、土方さんがあからさまに目を逸らしてちらちら見てくる。
銀さんはだらりと鼻の下伸ばして、ちょっとカッコ良い顔を作って、僕等に近付いてくる。

「何なにキミたちお友達同士〜?」

「はい、あの〜、お二人とも今暇ですかぁ〜?きゃっ、言っちゃった!」

沖田さんが僕の後ろに隠れる…スゲー…慣れてんな、コノ人…

「私達ぃ〜、これからご飯食べようか、って言ってたんですぅ〜!ね?新ちゃん?」

「うっ…うん…」

新ちゃん、なんて言ったら銀さんにばれるんじゃ…
僕が不安げに銀さんを見上げると、沖田さんがグイッと背中を押すんで胸を突き出す形になる…
なっ…何すんだよっ!?
僕が慌てて振り向くと、沖田さんが悪っそうな顔でニヤリと笑う。

「見てなせぇ、誤魔化せるから。」

「そっかぁ〜、しんちゃんって言うんだ〜後ろのキミは?」

「総って言います〜お兄さん達は何て言うんですか?」

「ん?俺は銀時、後ろは多串君。」

「土方だ!土方十四郎!!」

「銀時さんと十四郎さんですかぁ?お二人ともカッコ良いなって言っててぇ〜良かったらぁ〜…」

そこで沖田さんが、僕の足を引っかけて転ばせる。

「ひゃぁっ!?」

慌てた銀さんと土方さんが僕を支えてくれるけど…ぎゃぁぁぁぁぁ!!二人の手が僕の胸に当たった…

「大丈夫?しんちゃん?」

銀さんがジェントルっぽく聞くけど、鼻の下伸びまくってますが…
土方さんはその体勢のまま固まってるし…
おっぱいって凄い…

「すっ…すみません…」

僕が沖田さんの後ろに隠れると、沖田さんがぎゅうと手を握ってくれる。

「もぅ、新ちゃん大丈夫ぅ〜?この娘ドジで困っちゃう!」

沖田さんが、てへっ、とか可愛く小首を傾げたら、銀さんの鼻の下がこれ以上無い位伸びた…
そうか、銀さんはこういう娘が好みなのか…おっぱい星人かと思ってたよ…

「あ、良かったらキミたちさぁ、俺らとご飯行かない?奢っちゃうよ。や、いやらしい事とか無いからさぁ!な?多串君?」

「おっ…おお…」

そのまま二人と一緒に目の前の定食屋に入る。
…女の子連れてく店じゃないよなぁ…せめてファミレスだろ…?だからモテないんだよ、この人達…

「「おやじ、いつもの。」」

…まさか…コレが見せたかったのか…?コレがカッコ良いと思ってんのか!?この人達…!?

「わぁ、凄ぉ〜い!お得意さんなんですかぁ?」

あ、沖田さんが乗った…

「いつもの、で頼めるなんてカッコ良い…」

一応僕も乗ってみると、二人ともニヤリ、と良い顔を作る…
やっぱりカッコ良いと思ってたんだ…
僕等をはさんで沖田さん側に銀さん、僕側に土方さんが座る。
一応メニューみたいなのが有ったんで、何にしようか〜?とか見ていると、おやじさんが二人の注文したモノを差し出す。

「へいおまち!宇治銀時丼と土方スペシャル!!」

「うわぁ…」

やっぱりコレかぁ…
食べらんないよ、こんなの…

「凄ぉい!お二人の名前が入ってるぅ!」

「ま〜ね〜、俺特製丼だしぃ〜?」

銀さんが胸を張る。

「オマエらもどうだ?美味いぞ?」

土方さんが頬を染めながら、土方スペシャルを差し出す。
食えるかァァァァァァァァァ!?んな犬のエサァァァァァァァァ!!

「えー、総ちゃんどうする…?」

助けて沖田さぁぁぁぁん!こんなの食べらんないよ!僕無理!無理!!
僕が沖田さんを見上げると、にっこり笑う。

「両方ともすっごく美味しそうだけどぉ、量が多くて食べられないな…でも、一口食べてみたいな…」

沖田さんが上目遣いで銀さんを見る。あ〜ん、とか可愛く口を開いてるよ…
銀さんがでれっ、としながらはい、あ〜んとか少しだけ取って沖田さんの口に入れてる。

「わぁ、美味しい!そっちも食べてみたいな。」

今度は土方さんの方に向かう。
…沖田さん…あんた漢だよ………

「両方ともすっごく美味しいけど…ワタシこんなにいっぱい食べられないよ…おやじさん、このお店でそんなに沢山無いのは何?」

「おー、寿司かねぇ。」

おっ…お寿司ィィィィィィ!?
まさか、おやじさんも…僕がちらりとおやじさんを見ると、おやじさんがニヤリと笑う。
何時の間にィィィィィィィィ!?

「じゃぁ、お寿司二人前!多串君の奢りで!」

「なっ!?…まぁ良い…」

「へいお待ち!特上寿司!!」

とっ…特上ォォォォォォォ!?
きっと二度と食べらんない…何か言われる前に食べちゃおう!
内心焦りつつ、ゆっくりと箸を伸ばす。

「わぁ、美味しい!」

「美味しいね、新ちゃん!…こんな美味しいお寿司…お姉ちゃんにも食べさせたいな…」

「え?何なにキミお姉ちゃん居るの?」

あ、銀さんが食らいついてきた…

「はい、今年20歳なんですぅ〜。スタイルも良くって羨ましいの。Gカップなんだもん。」

「「おやじ、お土産1丁」」

………ミツバさんって凄い………
ニヤリと笑った沖田さんが、姐さんの土産でさぁ、とか囁く。
…ウソか…ウソなんだ…だってウチの姉上AAA…

特上寿司をゆっくり食べて、お土産ももらって二人と別れる。
別れ際に沖田さんが二人に何か渡してる…何だろ…?
まったね〜♪と手を振る銀さんと、ちらっちらこっちを見てる土方さんと別れて歩きだす。

「沖田さん、何渡してたんですか?」

「んー?俺のメアド。」

「でも銀さんケータイ持ってない…」

「イヤ、持ってるだろ?ケー番とメアドくれたぜ?」

ぴらぴらと見せてくれる…銀さんんんんんんー!僕らにはお給料くれないくせに…

「お、新八ィ、甘いモン喰いたくねぇか?」

「あ、良いですね。今女の子だから甘味屋さん入りやすいですよね!」

「良いカモがいらぁ。奢らせようぜ。」