みんなのうた



今日は何故か、剣道部の皆とクラスの皆でキャンプに来ています。

…確か剣道部の合宿のハズだったのに、近藤君が姉上を誘って…それもなんと恐ろしい事に、食事の世話を頼んだそうで…
ここ数日僕が特訓したけど、やっぱり全てが暗黒兵器になって…
それをフォローするのにおりょうさんと花子さんと神楽ちゃんも合宿に付いて来る事になって…何故か山崎君も連れてこられた。
山崎君、ミントン部の方は大丈夫なのかなぁ…?
その事を総悟君に話したら、僕の肩をポン、と叩いて

「…新八頑張れ。」

と言われた。
…まぁ、覚悟はしてるけどね………

キャンプ場に着くとお昼ご飯の時間だったんで、早速皆でカレーを作っているんですが…
姉上以外の女の子はフォローに来たんじゃないのかよっ!?
なんで僕が全部作ってんだよっ!?
おりょうさんとか料理出来そうじゃん!!無理ってなんだ!?無理って!!!

「新八ィ、手伝いやすぜ?」

見かねた総悟君がふらりと僕の隣に来て、野菜を洗ってくれる。
もぅ…優しいなぁ…

「新八ー!ゴハンはワタシが炊くネ!炊飯器はドコアルカ?」

神楽ちゃん達女の子がお米を持って僕の所に来る。

「神楽ちゃん…キャンプ場には炊飯器は無いよ。ほら、コレで炊くんだ。」

僕がハンゴウを差し出すと、不思議そうな顔でそれを見る。

「コレは何アルカ?」

あー………知らないのか……

「…飯炊きは俺が教えてやる。」

あ、土方君!助かった!

「寄るなよマヨ!飯がマヨ臭くなるネ。」

「はぁ!?ハンゴウの使い方知らねえんだろうが!大人しくついて来い!」

「…土方君よろしくねー……」

女の子達が文句を言いながらも、土方君に付いて水道の有る所に移動する。
すっごい不安だけど、土方君が居れば何とかなるよね…

「志村ー、大変そうじゃのー、ワシも手伝うきに。」

「坂本先輩!有難う御座います!!」

「僕も手伝うよー?」

「有難う山崎君!」

2人がふらりとやってきて、にっこり笑う。
有難いなー!でも、この2人…料理出来るのかなぁ…?

「米をとぐのに洗剤はいらねぇ――――――っ!」

水道の有る所から、土方君の怒鳴り声が聞こえる。
…ここまで泡が見えるって…どんだけ入れたんだよ、洗剤……
大慌てで伊東君が走っていく。
…あの2人が居たら大丈夫かな……?

僕が何も見なかった事にして3人の方に向き直ると、既に野菜は切られてて、坂本先輩が素晴らしい手つきで鳥肉を炒めていた。

「うわっ!先輩凄いっ!プロみたい…」

「そうがかー?照れるのー。」

山崎君はてきぱきと材料を用意してくれているし、総悟君は玉ねぎを炒めてくれてる。
うわぁ!皆凄い!

「凄い!僕要らないんじゃないですか?」

僕があはは、と笑うと、総悟君が膨れる。

「イヤでィ。俺ァ新八の味付けじゃなねェと喰わねェよ。」

「ワシもじゃー。自分の味付けは食い飽きとるきに、今日は志村のカレーを楽しみにしてきたんじゃー!」

「俺も俺も!新八君の料理なんて、めったに食べらんないもん。」

3人がフォローしてくれる。
そんなに言われちゃ張り切っちゃうよ!

炒めた肉と玉ねぎを合わせて、他の野菜も一緒に鍋に入れて少し炒めてスープを入れて煮込む。
良い感じで煮立ってきたら味付けだ。
カレールウにカレー粉にスパイス沢山に、ソースにケチャップにマヨ…

「マヨはいりませんっ!」

危ないとこだった…誰だよ!僕にマヨ渡したのはっ!
僕がキョロキョロと辺りを見回すと、神楽ちゃんがマヨネーズを持って立っていた。

「とっしーが新八に渡してこいって言ってたアル。」

「…土方君に返してきてね?」

「美味しいって言ってたアルヨ?」

「可愛く言ってもダメですっ!すぐに返してくるっ!」

「チッ…」

神楽ちゃんってばいつの間に土方君の手先になったんだ…
たかたかと土方君に駆け寄ってくし…

「土方はモテモテじゃのー。でも、今だけはワシはあっちには入りたくないのー」

坂本先輩…珍しい…

「馬鹿野郎!まだ蓋は開けるな!」

「ワタシの作った米のヨウス見ネ!」

「見んで良いわー!」

ごつん

「イタイヨ!」

「すまん、ほら、飴やるから大人しくしてろ。」

「わーい、とっしースキヨー」

…土方君、お母さんみたい…

僕がカレーを混ぜながら遠い目をして2人を見ていると、総悟君が寄ってくる。

「いつものポジション取られて寂しいかィ?」

「えっ!?僕っていつもあんな感じ!?」

「おぅ、お母さんだぜィ。」

「そっか…いつも僕お母さんなんだ…いや、少しも寂しくないよ…?」

総悟君がほっと溜息をつく。あれっ…?

「…寂しいって言ったらヤキモチやいた…?」

「言わなくてもやきやした。」

…そういう事さらっと言うし…でも嬉しい…
僕がこてっと総悟君にもたれかかると、後ろから声が上がる。

「相変わらずらぶらぶじゃのー」

「負けないよっ!僕だっていつか新八君と!」

はっ!?しまった皆居たよっ!!
僕が慌てて離れると、総悟君が僕の肩を抱く。

「羨ましいだろィ。いつかなんかねーよ。」

見上げると、ニヤリとした笑顔。
もうっ…照れるじゃんっ…
僕が顔を赤くすると、山崎君が泣きながら走り去っていってしまった…
あ〜…ごめんね?山崎君…でも、無いものは無いし。