カレーも出来て、ご飯も無事炊けた…土方君有難う……
出来たカレーをテーブルに持っていくと、高杉先輩がナプキンを首から下げて、ナイフとフォークをセッティングして座っていた…
どこのお坊ちゃまー!?
「せっ…先輩…今日はカレーなんで、スプーンだけで大丈夫ですよ…?」
「…そう…なのか…?カレーは…ナイフ要らない…?」
「あ、いえ、フォークも…」
「フォークは…要る…」
「そうっスか…」
皆の分をよそってお昼ご飯を食べ始めると、高杉先輩がフォークとスプーンを使って綺麗に食べ進めている…
マジでお坊ちゃまなんだ…
僕の作ったカレーは好評で、皆おかわりしてくれて鍋はすっかりキレイになった。
料理を作っていなかった人達が後片付けをしてくれて、午後からは剣道部の練習が始まる。
先輩方との練習は久し振りだけれど、凄く為になった。
そして、練習を終えてキャンプ場に戻ると、晩ご飯は女の子達が作ってくれていた…
本当なら、ものっ凄く嬉しいシチュエーションのはずなのに…なんだか悲しい気分になってしまった。
それらは凄く強烈で…姉上の料理を食べ慣れている僕でも、ちょっと花畑が見えた………
次からは、僕が作ろうと思いました。
なんとか皆落ち着いて、夜はお楽しみの肝試し大会をやる事になった。
総悟君がクジでお化け役と、一緒に回るペアを決めたんだけど…
何か、策略を感じる……
剣道部員と山崎君がお化け役で、近藤君と姉上ペア、土方君と神楽ちゃんペア、坂本先輩とおりょうさんペア、高杉先輩と花子さんペア、それに…総悟君と僕って…
どうやったんだ?総悟君…
「…総悟君、何やったの…?」
「俺ァ別に何もしてやせんぜ?全員強運なんじゃねぇかィ?」
…あみだくじを見せてくれるけど…ニヤニヤ笑ってるのが気になるなぁ…
急ごしらえだけど準備が終わって、いよいよ出発になる。
伊藤君が地図をくれて、説明してくれる。
「この道を真っすぐ行くと、小さな祠が有る。ソコにこういう紙が置いてあるんだが…」
ひらり、と振ったのは、人型に切り抜いた紙で…
「それを取ってここまで戻って来るのが一通りの行程だ。あぁ、先に出発した組が戻ってきてから次の組が出発してくれ。一本道なんで迷わないと思うが…くれぐれも脇には入らないようにしてくれ…迷って帰って来れなくなった人も居るそうだからね…」
なっ…何で下から懐中電灯で顔を照らすんだよっ!盛り上げてくるなぁっ!
早速スタートする最初の組は坂本先輩とおりょうさんで。
2人とも平気な顔で、スタスタと出発していった。
まぁ、坂本先輩はおりょうさんの手を繋ごうとして叩き落されてるけど…
遠くでガサガサと音がして、ひゃー!という声が聞こえたけど…アレ、剣道部員の声だよな…
暫くしてから、2人が出発した時と同じようにスタスタと戻ってくる。
坂本先輩のほっぺたに、手形が有るような………
「もうっ!だからコイツと組むの、嫌だったのよっ!」
「おりょうちゃ〜ん、ワシはいやらしい気持ちなんてこれっぽっちも無かったぜよー?怖かっただけぜよ!」
「ウソ。」
おりょうさんが冷たい目で坂本先輩を見降ろして、すたすたと姉上達の方に行ってしまう。
あぁ、先輩…何かやったんだな…
次のペアは高杉先輩と花子さんだ
何か2人ともめちゃくちゃビクビクしてない?高杉先輩こういうの苦手なのかなぁ…?
手をつないで出発したけど…皆、大丈夫かなぁ…?
2人が出発して暫くすると、森の中からキャー!という声と、すんませんすんませんという声が聞こえる…
やっぱり高杉先輩、変わっちゃったんだなぁ…
少しして2人が帰ってくると、花子さんが凄い勢いでおりょうさんに抱きつく。
「ウチ、お化けよりもアノ人の方が怖かったー!」
「はぁ?」
おりょうさんや皆は不思議そうにしてるけど…そうだよね…鬼を見たんだもんね…
続いて土方君と神楽ちゃんが出発する。
「行くヨとっしー!」
「誰がとっしーだ!!」
賑やかに出発した2人だけど、少し行ったところで、神楽ちゃんのキャーという声と、土方君のギャー!という声が聞こえる…
すぐにバタバタと2人が森から走り出てくる。手にはちゃんと紙を持ってるし…
「とっしーオバケ怖いアルカ?」
「そういうお前が怖いんだろ!?」
ぎゃーぎゃーとお互いお前がお前が言ってるけど、2人とも怖そうじゃん…ガッチリ手、繋いでるし…
そっか、土方君オバケ苦手なんだ…意外…
次は近藤君と姉上か………姉上、近いよっ!近藤君にくっつきすぎ!!腕なんか組んじゃってさっ!
妙さん大丈夫ですよ!はっはっはっ、とか笑いながら2人が出発する。
…近藤君無事に帰ってこれるかなぁ…
2人が出発して暫くすると、キャー!という姉上の悲鳴と、ギャーという剣道部員の声と、妙さん止めて下さい!という近藤君の声がした。
…大丈夫かなぁ………
すぐに、近藤君に後ろから抱き締められた姉上が帰ってくる。
なっ…!?何してくれてんだ!近藤君は!!
「ちょっ!近藤君何して………すんまっせん………」
近くに寄ってみると、近藤君の顔はボコボコで…後ろから姉上を羽交い絞めにして引っ張って来ていた…
暴れた姉上を止めてくれたんだ………もっ…申し訳ない…誤解した自分が恥ずかしいよっ…
「新八ィ、俺らの番ですぜ?」
総悟君が僕を呼びに来るけど、姉上も気になるよっ!
「総悟君、姉上が…」
「姐さんは近藤さんに任しときなせェ。ほら。」
総悟君が指さす先には、近藤君にぎゅっと抱きついてる姉上が居て…
姉上が真っ赤になって近藤君に謝ってて…
……僕としてはすっごく複雑な気分だよ……
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