※『血』注意。苦手な方は避けて下さい。


affair



今日もタイムセールに突撃だ!えーっと今日は…卵と…缶詰が安いんだよねっ!
毎日のこの時間は外せないよっ!万事屋の命綱だもんね!
本当なら神楽ちゃんと銀さんにも手伝って欲しいのにさ…なんでアノ人達、いっつもこの時間に居ないかなぁ…絶対逃げてるよね!?分かってて逃げてるよね!!

それでも僕がタイムセールに勝利して、大量の戦利品を抱えて店の外に出ると、丁度見廻りをしている真選組の方達を見付けた。

あ…今日は沖田さんが見廻りなんだ!

相変わらずカッコ良いなぁ…沖田さんの顔を見られただけで、何か幸せな気分になっちゃったよ!

「おっ?新八君じゃぁないですかィ。今日も買い物で?」

「こんにちわ沖田さん。はい、今日は卵と缶詰が安かったんです、タイムセール!」

僕が意気込んで言うと、沖田さんがクスリと笑う。
わっ…笑われちゃった…

「ははっ…ちゃんと買えたかィ?」

「はい!本当はもう少し欲しかったんですけど、お一人様2個限りで…銀さんも神楽ちゃんも居なくなってて…」

「何でィ、卵と…何の缶詰が欲しいんでィ?」

「えっと…マグロの水煮とサバ味噌とサンマの蒲焼とマグロのオイル漬けと…」

「おい、オメェら行くぞ。」

沖田さんが、部下の人達に指示して、くるりと振り返ってどこかに行ってしまう…
興味無いよね、こんな話…でも、沖田さんが話を振ったのに…

「じゃっ…じゃぁ、僕はこれで失礼します…」

「おっ、ちょっとココで待ってろィ。」

何だろう…?
待ってろ、って事は戻ってくる、って事だよね…?
僕がちょっと道の端によってぼんやり待っていると、真選組の皆さんが大江戸ストアの袋を提げてやってくる。

「ほら、新八君の言ってたのはコレで良いのかィ?」

皆さんの持っていた袋を沖田さんが受け取って、僕に差出す。
まさか…買ってきてくれたの…?

「えっ…!?買ってきて下さったんですか!?あ、お金っ…」

「いらねー。」

「えっ!?でもっ…」

僕が財布を握り締めて困っていると、沖田さんがニヤリと笑う。

「じゃぁ今度屯所に飯作りに来て下せぇ。チャイナがいっつも、新八の手料理はほっぺたが落ちるアルー!とか言っててムカつくから。」

神楽ちゃん…何言って歩いてんだよ、もぅ…
でも…

「そんな大したものじゃありませんけど…本当に良いんですか…?そんなので…」

「おう!約束、忘れんなよ?」

「はい!有難う御座います!!」

…嬉しい…沖田さんが僕の手料理を食べてくれるなんて…お家まで作りに行くなんて…何か…恋人みたい…
なんて…そんな事考えるなんて、僕だけなんだよな…沖田さんはそんなつもりは無いんだよね…
神楽ちゃんが自慢するから…対抗して、なんだよね…

「あ、じゃぁ有難う御座いました!缶詰貰って行きますね?」

僕が大江戸ストアの袋に手を掛けると、沖田さんが袋を遠ざける。
え…?くれるんじゃないの…?

「おー、オメェらこの後の見廻り頼みまさぁ。」

そう言って、沖田さんが僕の隣に並ぶ。

「コレァ万事屋に持ってって良いのかィ?」

「えっ!?沖田さんお仕事中じゃないですか!僕持っていけますよ?」

「遠慮すんねィ、局中法度にも有らァ。新八君には優しくすべし、ってねぇ。」

沖田さんが又笑う。

「あはは…近藤さんの…」

そっか…そうだよね…沖田さん、近藤さんの事大好きだもんね…
ははっ…何考えてたんだろ、僕…
でも…お友達、ぐらいには思ってくれてないかな…?
万事屋に着くまでは、沖田さんが色々お話ししてくれた。
土方さんの面白いお話とか、山崎さんの面白いお話とか。
そのまま事務所兼居間まで上がってもらってお茶を出す。
まだ銀さんと神楽ちゃんは帰ってきてないし…もうご飯作んないぞ!?

暫くしてずずっ、とお茶をすすった沖田さんが目を見開く。
あれ…?やっぱり安いお茶はお口に合わなかったかなぁ…

「美味ぇ!新八君このお茶美味ぇよ!!」

「…あ…良かった…安いお茶だからまずかったかと…」

「や、こんな美味いお茶飲んだなぁ初めてでさァ。」

沖田さんがにっこりと笑って、お茶を飲み干して手招きをする。

「…?…なんですか?」

ソファをぱんぱんと叩くんで、隣に座ると僕の太腿の上にごろんと頭が乗る。

「えっ!?ちょっと…」

「丁度良い高さの枕が欲しかったんでさァ。硬さも丁度良いや。少し俺に付き合って下せぇ。」

今度はにひゃり、といたずらっ子みたいな顔で笑ってアイマスクを着ける…
…良かった…顔、真っ赤になってるよ…こんな事したら…僕、誤解しちゃいますよ…?

「あー、癒される…新八君は癒し系ですねぇ…」

「癒し系…?そんな事言われたの、初めてですよ…」

「んじゃ、俺専用ってぇ事で。」

やっ…これ以上期待させられたら…本当に誤解しちゃうよ…
沖田さん…僕は貴方が…好きなんですよ…?
分かってないでしょう…?

すぐにスースーと寝息が聞こえてくる…

本当に…僕は貴方を癒してあげられてるんですか…?
だとしたら嬉しい…僕でも沖田さんの役に立ててるんですよね…?
膝の上の綺麗な髪を梳いてみる。
わ…気持ち良い…サラサラ…
そのまま頭を撫でていると、沖田さんの口元がにひゃりと緩む。
寝てるから、大丈夫だよね…このまま暫く幸せに浸ってても…
この気持ちは絶対言わないから…せめて友達になる事は、許して下さい…

大好きです…沖田さん…