彼と彼女と僕の事情



僕は今、いつもの公園で沖田さんと待ち合わせをしています。
久し振りに沖田さんが非番なので、これからデートなんです!デート!!
えへへっ…どこかに出かけるなんて、本当に久し振りだなぁ!すっごい楽しみ!!

それにしても…沖田さん遅いなぁ…土方さんに捕まっちゃったのかなぁ…
こんな時、僕も携帯有ったら良かったのになぁ、とか思うんですが…
流石に無理だよなぁ…銀さん給料くれないもんなぁ…

僕がそんな事を考えていると、突然隣から声を掛けられる。

「新八君、偶然だね!」

「ひゃぁっ!?あっ…えっ…?九兵衛さん?お久しぶりです、お元気そうで…」

そこには、何故か紋付き袴で真っ赤な顔をした九兵衛さんが立っていた。
何だろ…?お祝い事かな?

「あぁ、僕は元気だ。新八君も元気そうで何よりだよ…隣、良いかな…?」

「あ、はいどうぞ。」

ガチガチに固まって、同方向の手足を同時に出して歩いて来て、僕の隣にちょこん、と座る。
あ…なんか可愛い…

「どうしたんですか?こんな所で会うなんて珍しいですね。」

「あっ!?あぁ、少し散歩を…」

「…紋付き袴でですか…?」

「きっ…今日は…ちょっと…」

…声がひっくり返ってる…何か大事な事が有るんだな…
リラックスする為に散歩してたのかな?

「そうなんですか?何にせよ頑張って下さいね、僕応援しますよ!」

僕が笑いながら言うと、九兵衛さんの顔がもっと赤くなる。
まさか…又姉上にプロポーズしに行くとか…?

「新八君…応援してくれるのか…?」

「はい、姉上の事以外でしたら。」

僕が姉上に似ている、と言われる笑顔で笑うと、九兵衛さんが安心したように笑う。
あ…可愛い…これで紋付き袴じゃなかったらなぁ…うん、すまいるの時みたいなミニの着物とかさぁ…

「若にはゴスロリが似合うと思いませんか。」

「へっ!?」

突然後ろからした声に振り向くと、東城さんが居た。勝手に僕の心を読むなァァァァっ!!
と、思ったら居なくなった。
無言のままで、九兵衛さんが殴り飛ばして星にしたからだ…

「新八君、本当に僕を応援してくれるのか?勿論今回の件には妙ちゃんは関係ない…少ししか…」

何か、引っ掛かる言い方だなぁ…

「何か、話が良く分からないん…」

「あぁあ…挨拶は、もう済ませてきたんだ…」

「挨拶…ですか?修行の旅にでも出るんですか…?」

「いや!違うっ!!」

九兵衛さんがいきなり立ち上がり、真っ赤な顔で僕を見る。
さっきからどうしたんだろう…?僕に頼み事でも有るのかなぁ…?
一応、九兵衛さんの方を向くと、大きく深呼吸している。
何だろ…?

「しっ…新八君っ!」

あ、又声裏返った…

「はい。」

「ぼっ…僕と…お付き合いしては貰えまいかっ!」

「は…はぁ!?」

えーっと…えぇーっ!?こっ…コレ告白っ!?
九兵衛さんが?僕に!?