「新八さん、皆さん、ソファにどうぞ?まだ皆さん揃わないようですから…」
そよちゃんに促されてソファに近付くと、小さくなっていた山崎君が僕らの方に駆け寄ってくる。
「新八くーん!心細かったよー!!」
山崎君は半泣きだ。気持ちは分かるよ、物凄く…
僕らがソファに座ってお茶を頂いていると、坂本先輩・高杉先輩がおりょうさんと花子さんを連れてやってきて、すぐ後から土方君も来た。
「これで皆さん揃いましたよね?」
そよちゃんが確認すると、近藤君が頷いた。
「それじゃぁ、クリスマスパーティーを始めようか?」
皆で用意してたクラッカーを鳴らして、パーティーがスタートする。
神楽ちゃんがすっごい勢いで料理を食べていく。
早く取らないと無くなっちゃう勢いだよ!!
総悟君はそんな神楽ちゃんにバトルを挑んで勝利してきた。
でも…
「総悟君、それ…僕の作ってきたやつばっかだよ?そよちゃんちで作ってくれた御馳走は取れなかった?僕取ってこようか?」
「何言ってんでぃ、新八の手料理バトルに勝利してきたんだぜ?俺ァ。新八の料理が1番うめぇよ。」
もぐもぐと口を動かしながらお皿の料理を平らげていく。
折角の御馳走なのに…でも、嬉しい…
「じゃぁ、又うちにご飯食べにくる?」
「もちろん!毎日でも食べたいぐらいでさぁ。ま、そのうち毎日食べさせてくれよ。」
お皿の料理を平らげた総悟君が、にひゃっ、と笑って頬を染める。
…えっ…?それ………
僕は真っ赤になって目を逸らす。と、テーブルの下で総悟君が手を繋ぐ。
もぅ…皆居るのに…でも、今は皆御馳走に夢中だから、大丈夫だよね…
僕がぎゅっと握り返すと、もっと笑ってくれる。
坂田先生は料理には目もくれず、デザートを大量に食べて凄く幸せそうだ。
坂本先輩はおりょうさんにお料理を取ってあげてる。
高杉先輩はお皿に一杯お料理を取ってもぎゅもぎゅと幸せそうに食べている。
土方君は…見なきゃ良かった…お皿の上はマヨネィ〜ズだった。
花子さんが坂田先生にバトルを挑んでる…デザートを…奪取した!!
姉上と近藤君は…何かいい感じじゃない!?姉上が近藤君に御馳走取ってあげてるよ!!
何かラブラブじゃない!?
僕が総悟君の方を見ると、総悟君も2人を見てたみたいで、にっこり笑ってくれる。
「近藤さん、さっさと決めちまえば良いんですがねぃ…姐さんの態度見てたら判るだろうに…」
「でも、ほら、今までが今までだったから…」
「…そうですねぃ…」
総悟君が悲しい笑顔を浮かべる。
あんだけ殴られてたら…臆病になるよね…
そよちゃんはちょっと落ち着いた神楽ちゃんと、にこにこ笑いながら僕の作ってきた料理を食べている。
えへへ…さっき褒めてくれたからな、何か嬉しい…
総悟君がトイレに行ってしまったんで、僕が皆を眺めながら御馳走を食べていると、意外ときっちり色んなモノを食べてた山崎君が隣にくる。
「新八君、ちゃんとご飯食べられた?」
「うん、意外とちゃんと取れたよ?山崎君は結構い色んなモノ食べれてたよね?」
「ふふん!まぁね。あ、新八君の作ってきてくれた料理も美味しかったよ?」
「有難う!こんな御馳走有るんなら持ってこなくても良かったかも。」
「そんな事無いよ!新八君の料理もかなり美味しかったよ!!」
そうかなぁ…?
あ、でも持ってこなかったら気障な総悟君が見れなかったな…
「やっぱり持ってきて良かった!」
「そうでしょ?俺も持ってきてくれて良かったよ!新八君の手料理なんて滅多に食べれないからね。」
「そう?結構皆とお弁当食べてる気がするけど…」
「新八君の料理食べてるのは神楽さんと沖田君ぐらいだよ…」
そうだっけ…?近藤君や土方君や先輩達も食べてる気がする…
「ところで俺、新八君に聞きたい事が有るんだけど…」
山崎君が、凄く真剣な顔で僕に向き直る。
「新八君さ、沖田君と付き合ったりしてないよね!?」
ぼふんっ!
僕の顔は、真っ赤になった…きっと…だって顔が熱いもの…
なっ…なんて事聞くんだよ、山崎君ー!!
「あっ…あのっ…そのっ…」
僕が真っ赤になってわたわたしてると、山崎君の目が大きく開く。
「うっ…うそだぁぁぁぁぁぁ―――っ!!…いっ…いつの間にっ!?」
山崎君が僕の肩をガシッ、と掴んで詰め寄ってくる。
とっ…友達だしな…言っちゃっても良いかな…?
「うっ…あの…昨日…」
「イヴかぁー!イヴなのかぁぁぁぁーっ!!あぁぁぁぁぁぁ…まっ…まだ間に合うよね!?沖田君はモテモテだよ?これから先大変だよ?俺にしときなよ!ね?俺なら浮気もしないし、モテないから安心だよ?」
山崎君パニック起こして何か変な事言ってるよ…
やっぱり僕ら男同士だから…普通の人には受け入れてもらえないのかな…でも…
「山崎君しっかりして!何かおかしなこと口走ってるよ?ごめんね、びっくりさせて…でも…僕、総悟君の事そういう意味で好きなんだ、本気で。確かにこれから色々大変だと思うけど…でも、頑張るから、僕。僕は…こうなれて幸せだから!すごく!!」
僕が言うと、山崎君の目から、目の幅の涙が流れる。
えぇっ!?そんなにショックだったのっ!?
「だっ…大丈夫!?山崎君…?ごめん、そうだよね…突然友達がカミングアウトしたらびっくりするよね…」
「そうじゃない!そうじゃないよ新八君!!俺だって、本気で新八君の事好きだよっ?なんで分かってくれないの?」
山崎君…?えっ…?
僕は気付くと山崎君の腕に囲われていた。だっ…抱きしめられてる…?
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