すばらしい日々



長かったようで短かった高校生活も、もうすぐ終わり。
折角仲良くなった友達とも、お別れの時が近づいている。
ちょっと寂しいけど…いつまでもずっと皆一緒、なんて居られないもんね…仕方ないんだ…

そんな事を想いながら、すっかり寂しくなってる桜並木を歩いてみる。
今は葉っぱばっかりだけど、卒業する頃には…ここも綺麗に花が咲く。
皆の門出を祝うように…紙吹雪のように花びらが散る。
早く見たいような…まだまだ見たくないような…複雑な気分だ…


「新八ィー!今日は登校してたんでー?」

「あ、総悟君…」

僕がぼんやりとしている所に、ぶんぶんと手を振りながら総悟君が駆け寄ってきた。
3年生はもう自由登校になってるから、学校で総悟君に逢う事なんて、卒業式まで無いと思ってたのに…意外…

「珍しい…総悟君が学校に来てるなんて…補習?」

僕が首を傾げて聞くと、僕の肩に手を置いてがっくりと頭を下げた総悟君が恨めしそうに見上げる。

「んな訳ねェだろィ…補習なんて面倒くせェ事やってられっかィ。」

「あはは、そうだった。それに総悟君、僕より頭良いもんね。」

「そうでィ。学園のアイドル様になんて口利いてんでィ。」

「もう、好き勝手言ってるよ。」

あはは、と笑い合うと、総悟君が僕の手をきゅっと握って歩き出す。
僕も握り返したら、ニッ、と笑ってちょっと振り返る。

「何、ボーッとしてたんでィ?俺の事でも考えてたのかィ?」

「んな訳無いじゃないですかっ!恥ずかしい人だなぁっ!!…もうすぐ卒業じゃないですか…そうしたら、皆とお別れだなぁ…とか…ちょっとだけ感傷に浸ってたんですよっ…!」

改めて言うと何だか恥ずかしくって、ぷいっと顔を背けて言うと、総悟君がへっ、と笑う。
はっ…恥ずかしいのは分かってるよ…笑う事ないじゃんっ…

「なんでェ、面白くねェなァ…俺の事も想えィ。」

ぷぅ、と膨れてみせる顔は可愛くて…つい、笑ってしまった。
もう、ホント、この人には敵わない。

「総悟君とはまだまだ一緒なんだから、今ぐらい他の事考えても良いじゃん。」

「イヤでィ。俺ばっかり新八の事考えてんのは何か癪でィ。」

「…そんなに僕の事、考えてくれてるんですか…?」

あ、まずい…嬉しくって顔がにやける…
全開の笑顔のまま総悟君を見上げると、顔を赤らめて、横を向く。

「…そうでィ…」

「僕だって…ずっと総悟君の事考えてますよ…?だから…大学だって頑張って勉強したんですよ…?もっと一緒に居たかったから…でも…総悟君ならもっと良い大学行けたのに…本当に良かったの…?」

「あったり前だろィ!俺が、行きたい所は新八の居る所でィ!!もっとずっとじゃすまねェぜ?一生一緒でィ!!」

「…そうなんですか…?」

「そうでィ!」

拳を握って力説した後、にひゃりと笑う。
コノ人がそう言ったら、本当にそうなりそうだよ…僕は嬉しいけどね…?

「一生…一緒なんですか…?」

「おう。」

繋いだ手を強く引かれて、優しく腕で囲われる…
ずっと…ずっと一緒に居たい…
僕がぎゅうと抱きつくと、ぎゅうと抱き返してくれて、頭にちゅっとキスをくれる。
顔を上げて、そっと目を瞑ると、総悟君の顔が近付いてくる…