ドSコンビの策略



最近、銀さんが変だ。

イヤ、いつもおかしな人だけど、ここ最近特におかしい。
何だか僕にものっすごく甘い。
買い物に付き合ってくれたり、仕事のフォローもしてくれる。
その上やたらとベタベタ触ってくるし…可愛いとか言ってくる。
おかしい…あんなアメリカンな人じゃなかったよね!?今まで!!

神楽ちゃんは今までと変わらないんで、2人で変なドラマとかにハマった訳じゃあなさそうだし…1人でAVでも見たのかな…?
って事は何!?僕、狙われてるの!!??
イヤイヤイヤ、まさかね!?まさかそんな事…最近使ってない、とか言ってたけど…
ナイナイナイナイっ!!だって僕男だしね!隠し子騒動の時は、やたらと心当たり有るぐらいやんちゃしてたみたいだしねっ!
でもな…なんか、手つきがいやらしいんだよな…触り方とか…

あ、駄目だ。
思いだしたら、さぶいぼ出てきた…

うん、ナイナイっ!
僕なんて地味な駄眼鏡だしっ!
…言ってて悲しくなるけど、そう言う事が有りそうじゃないからむしろ駄眼鏡で良いや…

変な事考えちゃって、自然とブンブンと首を振ってると、神楽ちゃんと銀さんがおかしなモノを見る目で僕を見てた。
あ…なんだ大丈夫大丈夫、僕の気のせいだった!普通そういうのだったらそんな目で見ないよね!
そうだよね、銀さんに限ってそんな事!!

「ちィーっス」

「あ!沖田さんいらっしゃい!!」

隊服のままの沖田さんがやってきて、にこにこ笑いながら、白い箱を僕に渡してドカリとソファに座る。
銀さんと神楽ちゃんがジロリ、と見るけど、あえて何も言わない。大人しくしてるのは、この白い箱のせい。又お土産持って来てくれたんだ!!
多分サボリなんだろうけど…制服だし…見なかった事にしておこう。

…そう言えば…銀さんがおかしくなったのって、沖田さんが万事屋にお土産持参で来るようになってからだなぁ…
銀さんと沖田さんってなんか仲良いし…沖田さんとAV見た…?
でも、沖田さんは変じゃないんだよな…まぁ、それが普通だよね。やっぱり銀さんが変なんだ。

「沖田さん、いつも有難う御座いますっ!今日は何ですか?」

僕が、お茶を淹れるのに、いそいそと台所に移動しながら聞くと、居間から沖田さんの声がする。

「今日は苺のショートケーキでさァ。」

「わー!生クリームなんて久し振りっ!」

台所で箱を開くと、甘い香りと一緒に目にも眩い真っ白な生クリームと、キラキラ光る真っ赤な苺が見える。

「うわ、美味しそう…」

お皿にケーキを乗せてから、居間で待ってる銀さん達が、はしゃいで飛び込んで来ない様にこっそりと呟くと、背後からボソリと声が聞こえる。

「喜んでくれやすか…?」

「ぅおっ…沖田さんっ…!?ビックリした…ってかコレ…5個有るんですけど…」

僕が不思議に思って沖田さんに聞くと、しーっ、と僕の唇に指を当てられる。

「新八君、2個食べなせェ。旦那とチャイナには内緒だぜ?」

そう言って沖田さんが悪戯っぽく笑うんで、僕もニヤリと笑って残った1個をそのまま手に取ってぱくりと食べる。
うわ、美味しいー!
そのままぱくぱく半分くらい食べてから沖田さんに差し出すと、にこりと笑って沖田さんもぱくりとかぶりつく。

「新八君と一緒に食べると格別でさァ。」

「あはは、こっそり食べてるから美味しいんですかね?」

2人でくすくす笑ってると、ぺたぺたと音がする。
やばい!銀さんだっ!!見付かるとグダグダ煩いよ、きっと!
慌てて、残ってるケーキを食べようと顔を近付けると、反対側から焦った顔の沖田さんも来てて…
同時にケーキを食べたら、必然的に口がくっついて…

…な…やわら…かい…

一瞬でお互いが反対側に飛び退ったけど…今のっ…えっと…

どうしよう、顔に熱が集まって来て…熱いよぅ…
ふぁーすときすは、めっちゃ甘かったです…って違う違うっ!!今のは事故っ!事故だよっ!!同性はノーカンノーカンっ!!

「新八〜、ケーキまだ〜?あっ!おめぇらつまみ食いしてやがったな!?」

銀さんの声に振り返ると、視界の隅に真っ赤な顔をした沖田さんが見えた。
お…きたさん…?何でそんな表情…?
凄く恥ずかしくなって体ごと銀さんに向き直ると、恨めしそうな顔で僕を見てた…

「そっ…つまみ食いなんてしてませんよっ!」

「…口にクリーム付いてる…」

銀さんが僕の肩に手を掛けて顔を近付けてくる。
なっ…何するつもりだこの人っ!?

慌ててごしごしと口を拭うと、銀さんがチッ、と舌打ちをする。
あっ…危ないトコだった…ホント、甘味の為なら何でもするな、このマダオっ!!
…甘味の為…だよね…?

「新ちゃんに付いたクリーム舐めたら、甘味倍増なのに〜」

「はぁ!?何言ってんですかっ!!あ、お湯沸いた…お茶淹れますから居間に戻って下さいよっ!」

僕が銀さんの背中を押して居間に戻して台所に戻ると、まだちょっと顔を赤くした沖田さんが僕の前に立つ。

「…新八君は…嫌でしたかィ…?俺ァ嬉しかったですぜ…?きっす…」

「え…っ…?」

すれ違いざまそんな事言って、そのまま居間に行ってしまう。
僕は…イヤ…じゃ…無かった…
そうなの!?僕…っ…僕って男の人が、好きだったのっ…!?
イヤイヤイヤ、まさかまさか。
ほら、きっとアレだよ!沖田さんってば綺麗な顔してるし!チラッと見たら女の子、って言っても大丈夫だし!!
だから…だよ…別に深い意味なんて…っ!