急いでお茶を淹れて、皆が待ってる居間にケーキとお茶を運ぶと、今度は神楽ちゃんと沖田さんが喧嘩をしていた。

「テメードS!よくもつまみ食いしたアルネ!出すヨロシ!すぐに吐き出すヨロシ!!」

「誰が吐くかバーカ!」

すでに掴み合いを始めてたんで、ケーキとお茶を乗せたお盆を2人の間に入れるようにすると、両側にばっと別れる。
何か、仲良さそうで…むかつく…

「新八何するネ!危ないヨ!!」

「危ないのは神楽ちゃんだよっ!もう、喧嘩しないのっ!!」

僕がケーキとお茶をテーブルに並べながら怒ると、神楽ちゃんがしゅんとしながらも文句を言う。

「だってアイツ、つまみ食いしたヨー…銀ちゃん言ってたネ…」

「はいはい、僕もしたから。神楽ちゃんには僕の分のケーキ、分けてあげるから。」

そう言うと、神楽ちゃんは可愛らしくにっこり笑って、大人しくソファに座る。

「新八君、チャイナに甘すぎでさァ…」

沖田さんも不満顔ながらも、ケーキの前に座る。
それでやっと落ち着いて、皆でケーキを食べ始める。
銀さんも神楽ちゃんも幸せそう…
約束通り、僕のケーキを半分くらい切って神楽ちゃんのお皿に入れると、神楽ちゃんがわたわたと慌てだす。

「新八っ!こんなにくれたら新八の分無くなるネ!」

困った顔で僕を見上げるのが可愛くて、ぽふぽふと頭を撫でてあげる。

「僕もこれぐらい食べたし。大丈夫だよ?」

「でも、イチゴ…」

半分に割った方に苺も乗せてたんで、ソレをそっとつまんで僕に差し出す。

「さっき苺も食べたからヘーキだよ?」

僕がそう言うか言わないかのうちに、僕のお皿に苺の乗ってる辺りのケーキが、たんっ、と置かれる。

「新八君には俺のをやりまさァ。」

「えっ!?おきっ…」

僕がぱたぱた手を振りながら慌てると、沖田さんがにっこり笑う。

「良いんでさァ。俺ァケーキなんざ何時でも喰えまさァ。」

…優しいと思ったのに…やっぱりドSだこの人…

「じゃぁ…お言葉に甘えて…神楽ちゃんも食べ…てるね…」

そうだよね…神楽ちゃんだもの…
僕が溜息をついてお皿を見ると、クリームが綺麗に舐め取られた苺が増えてた…

「銀さんのイチゴ、新ちゃんにあげる〜」

何か、満足げに笑ってるけど…

「…神楽ちゃん、あーん…」

僕が言ってその苺を神楽ちゃんに差し出すと、反射的に神楽ちゃんが口を開けたんで、そのままぽいっと口に投げ込む。
もぐのぐと食べた後、神楽ちゃんが嫌な顔をする。

「…このイチゴ…銀ちゃんの味がするネ…」

「…やっぱり…銀さんの涎まみれの苺なんて食べたくないです。」

「ヒドっ!新ちゃんつめたい〜っ!折角の銀さんの好意を〜!!」

「あー、はいはい。有難う御座います。」

僕が適当に感謝の言葉を言ってケーキを食べ出すと、ぶちぶち文句を言ってた銀さんも大人しくケーキを食べ始める。
やっぱり美味しいなぁ!なんて思いながら食べ進んでいくと、沖田さんがくれた部分に差しかかる。

…そう言えばさっき…僕、沖田さんと…

さっきのアクシデントを想い出して、僕が顔を赤くしていると、酷く嬉しそうに笑った沖田さんが僕に近付いてくる。

「新八君、美味しかったですか?」

「あっ…!はいっ!久しぶりの生クリームは腸に沁み渡りますねっ!」

「そりゃ良かった。ケーキもですがねェ…」

沖田さんがすっと耳に口を近付けて、内緒話の体勢を取る。

「俺も、美味かったですかィ?」

ふっ、と囁かれると、耳に息がかかって…顰められた声が色っぽくて…耳からとろけそう…
僕が泣きそうになって口をぱくぱくさせてると、柔らかく笑った沖田さんがほっとほっと溜息を吐く。

「…良かったぜィ…新八君ゴシゴシ口拭いてたから…本当は嫌だったのかと思ってやした…」

「えっ…?あのっ…それって…」

どういう…意味…?
僕がじっと見上げると、沖田さんがじっと見下ろす。

「…判りやせんか…?俺ァ、新八君の事が…好き…なんでさァ…」

「おきたさ…」

沖田さんの手が僕を引き寄せる。
…あ…顔…近い…又…キス………されるっ…
僕がぎゅっと目を瞑ると、沖田さんの気がふっと和らいで、唇に息がかかる…