あこがれと、ほんとのきもち



大きな海を流れ流れて僕の所に辿り着いた手紙。
入ってた写真はメチャクチャ可愛い女の子で、すぐに文通しようと決めてしまった。

だけど…本当はそれだけじゃなかったんだ。
何でか分からなかったけど、ほっとけない気がしたんだ。
僕に『助けて!』って言ってる気がしたんだ。

だからって、いきなりそんな事書くのもなんだしなぁ…
それに、やっぱりこんな可愛い女の子とお知り合いになれるかもしれないと思うと…ちょっと張り切るじゃんっ!男として!!
ちょっとカッコ良く…決めてみたいじゃん…もしかしたら、付き合えるかも、とか思うじゃん…ねぇ…?
…うーん…やっぱり悩むなぁ…どんな書き出しだと…カッコ良く決まるんだろ…
うーん…うーん…





妙に呼ばれて志村家に行ってみると、どうも新八が色々目覚めちまったらしい。
よし!俺ぁこの時を待ってたんだ!!今まではなぁ、やっぱお子様には手は出せ無いじゃん?こんな俺でもちょーっと遠慮してたんだけどさ。
でもまぁ、新八がそう言う事に興味持ち始めたんならさぁ、やっぱアレでしょ?兄貴分が教えてやんなきゃアレでしょ?

俺色に染めてやろうと、意気揚々と新八の部屋に乗り込むと、何て事ぁ無い、拾った手紙の相手と文通するってんで、カッコ良い文章を書こうと悩んでただけらしい。写真の娘が可愛いからって…頑張りやがって…

…ま、ここは相談に乗るフリしてぶち壊してやるとするか。
で、弱ってる所を頂くとしますかね。
上手い具合にローションまで用意してくれちゃってるし。

俺はこっそりソイツを袂にしまった。





銀さんが色々助言してくれたけど…
まぁ…確かに…写真は大事だよね!
僕がノリノリで写真を撮ろうとすると、銀さんは僕ではなく、僕の眼鏡を写真に収めた。

…銀さんが今まで僕をどういう目で見てたのか分かったよ…最低だ…

最後には、近藤さんを迎えに来た沖田さんに僕の眼鏡をかけて、カッコ良いのが撮れたな新八君!とか言いやがった…
…確かに沖田さんはカッコ良いけどさ…僕の眼鏡なのに…沖田さんがかけると、なんか違う気がする…悔しいよなぁ…

「おい、これァなんなんでさァ。事と次第によっちゃぁ叩っ斬るぜ?大体、アンタのその格好は何なんでィ…ダッセェなぁ。」

ちょっと怒った沖田さんが、刀に手を掛ける。
慌てて沖田さんを居間に上げてお茶を出して、一休みしてもらう。
そうすると、ちょっとだけ機嫌が直ったみたいだ。
その隙に大慌てで着替えて居間に戻ると、銀さんが事のあらましを沖田さんに説明していた。

「文通ー?今時そんな古臭い事するヤツが居るたァ驚きでィ。眼鏡君らしいや。」

「なっ…そんな言い方…無いじゃないですかっ!文通には文通の良さが有るんですっ!」

馬鹿にしたような笑い顔が悲しくて、むきになって言い返すと、沖田さんがあからさまにムッとする。
ゴクリ、とお茶を飲み干して、チャキリ、と刀を僕に向ける…僕に…!?

「うわわわわっ!」

「逃げんなィ。眼鏡のクセに女とイチャイチャしようなんざ、十万年早ェよ。」

なんとか逃げきった時には僕の息は上がりきって、頭がぼーっとしてきた…さっ…酸素…酸素…っ!

「…イチャイチャすんなら…俺としやがれ…」

「へっ…?何か言いました?」

「なんでもねェよ!近藤さん居ねェなら帰る…茶ァ御馳走さんでした…」

…意外と礼儀正しい人なんだな…
でも、最後なんて言ってたんだろ?まぁ。どうせ悪口だよね…

なんとか銀さんに僕の写真を撮らせて、部屋に戻ってまた銀さんと頭を悩ませていると軒下から近藤さんが現れた。

「沖田さん探しに来てましたよ!?」

僕が言っても全く気にしてない。
…大変なんだな…沖田さんも…
でも、流石局長とかやってるだけ有るよな!物の見方が違うや。
最後の方はちょっと変だったけど、良い感じのトコだけ頂く事にした。

そうして出来上がった手紙と、銀さんがくれた写真を手紙に入れて、彼女に送る。
なんか…ドキドキするよなぁ…僕の写真で…大丈夫だったかな…?ってか、銀さん写真見せてくれなかたんだよな…
ちゃんと撮れてたのかな…?
銀さんがまだ縁側でゴロゴロしてたんで、写真を見せてくれるように頼んでみた。

「銀さん、送った写真見せて下さいよ!僕、ちゃんと撮れてました?」

「お…?何?気になる?」

そう言って銀さんが見せてくれたのは…

「あの…銀さん…コレ…この写真…」

いつの間に撮ったのか、沖田さんに僕が斬られそうになってる写真だった…
こんな写真見せられたら、どう見たってコレ沖田さんが『志村新八』じゃね!?
僕が『志村新八』なんて絶対思わないよっ!!
銀さんに文句を言いつつ懐に写真をしまう。

「ちょ、新ちゃん写真…」

「没収ですっ!又何か悪用するつもりでしょっ!」

「そんな事しね〜よ〜」

銀さんが食い下がってくるけど…ヤダ…懐をぎゅうと押さえると、銀さんが諦めてくれた。
…なんで…こんなに…僕なんて、変な顔で写ってるのに…分かんないけど、なんか欲しかったんだもん…