早速、割烹着を着て三角巾をつけて、近藤さんと2人台所に立つ。
本によると、きざんで溶かして固めるだけみてェだ。
なんでィ、楽勝でィ。
黒と赤と茶の包み紙を開けて、まず先にダダダときざみまくる。
新八は甘ェの好きそうだから、赤いのと茶色のを沢山入れるか。そいつを鍋に入れて…っと…火にかければ良いのかねェ…?
とりあえず火にかけて、もう1回本を見ると…湯煎…?って何でィ…?
じっくりと本を読んでみると、何か焦げくせェ…って!鍋の中身がヤベェ事になってらァ!!
鍋の中のチョコは、焦げ付いてガチガチになって全く使い物にならねェ…そのまま鍋は放置して、もう1回良く本を読む。
へぇ、ぼうる、ってやつに湯を入れてそいつで溶かすのか…
本の通りにやってみっと、何か上手い具合に溶けて来た。
さっさと溶かそうとぐるんぐるん混ぜると、湯がぼうるの中にザブザブ入ってきやがった!
こっ…こりゃぁヤバいんじゃねェですかィ…?
ぼうるをそーっと傾けて湯を捨ててから、又ぐるぐるとチョコを混ぜっけど…なんかゆるゆるになりすぎじゃねェか…?
慌てて赤いのを又きざんで足すけど、ゆるゆるのまんまだ…
どんどん足してくと、チョコの量がハンパなくなった…けど、まぁ良いか。
んで、チョコが溶けたらナッツや酒を入れろ…と…んじゃぁ酒入れやすか。
お気に入りの『鬼嫁』を持って来てとぷとぷと入れると、なんか又柔らかくなった…ま、冷ませば固まる、って書いてあるし…暫く置いとこう。
俺が自分の作業を止めて近藤さんの方を見ると、近藤さんはまだ何もしてなくてじっくり本を読んでいた。
「近藤さん、まだ作らないんですかィ?」
「ん?まず作り方をしっかり見ないとな。お妙さんはどんなのが好きだと思う?」
「さて、どれでしょうねェ…」
姐さんならたっかいブランドもんのチョコでしょうよ。
でもそんな事俺ァ全然考えて無かったぜ…新八はどんなのが好きなんでィ?もっと可愛いヤツの方が良かったかねェ…
「局長ー、可愛いのより自分が作れるのを探した方が良くないですか?」
いつの間に現れたのか、山崎が近藤さんの手元の本を覗き込んでた。
まだ諦めてねェのかコイツ…又全部喰ってやる。
「うわっ!なんですかこの大量のチョコ…って酒くさっ!」
山崎が今度は俺のチョコを覗きこんで鼻をつまむ。
「…俺の愛のこもったチョコでィ。」
「えっ!?沖田隊長の!?駄目ですよ、チャイナさんまだ未成年ですよ?」
「そうだぞ総悟。」
…チャイナ…?何言ってんだ?
「何で俺がチャイナにチョコなんざやらなきゃならねェんでィ…」
俺が心底嫌そうな顔で2人を見ると、2人ともが不思議そうな顔で俺を見る。
「じゃあ総悟は誰にチョコをあげるんだ?」
「そんなの決まってらァ。恋人の…」
「恋人ォォォォォォ!?総悟いつの間に…大人になったんだなぁ…」
近藤さんがしみじみ言って俺の頭を撫でる。
俺ァまだ誰かって言ってないでさァ…
「沖田隊長恋人居たんですか!?いつの間に…でも良かったぁー!俺実は沖田隊長も新八君狙いなのかと思ってましたよー、すみません!!」
山崎がヌカ喜びしてやがる。新八はもう俺のだっての。
「それにしても大量のチョコですね…どんだけ大きいの作るつもりですか…」
「いや、なんか柔らかかったから足したらこんなんなった。」
俺がぼそぼそと言い訳すると、山崎があはは…とひきつり笑いを浮かべる。
「冷めたら固まりますよ?じゃぁ局長もこれ使わせて貰ったらどうです?あ、俺も使わせてもらおうかな…」
山崎がスプーンですくって俺のチョコを舐める。
「あ!美味しいコレ!でも生クリーム入れたらもっと美味しくなるかも…」
そう言ってだぱだぱと生クリームを入れて、又スプーンですくって味見する。
「うわ!凄い美味しい!俺もこれで作って良いですか?」
「…おう…」
俺が作ったやつだ、って新八にばらしてやる。
そっからはスムーズに事が進んで、それぞれのチョコが出来た。
俺と近藤さんはソイツをただ丸めただけだけど、山崎はなんかはーとの形にしてやがる…
ソイツに、くすねてきた伊東さんのココアをかけたら、より一層それらしくなった!
「どれどれ…」
大量に出来ちまったんで、3人で味見するとコレが美味い。酒もふんわり効いててスゲェ美味いんじゃねェ?
「おお!これならお妙さんも喜んでくれるぞ!!…ちょっと形がアレだが…」
「その方が手作りっぽくて良いんじゃぁねェですかィ?」
「…そうか?」
近藤さんが照れたように言ってやすが、やっぱりブランドもんの高ェチョコには負けまさァ…
「隊長~、彼女さんにあんまりコレ食べさせちゃダメですよ~?結構お酒強いですよ~…」
山崎が顔を赤くしてフラフラしてっけど…そうか…?
ひとしきり味見した後、山崎が用意してきた何か可愛い箱にチョコを詰めてリボンまでかける。
何かそれらしくなってるぜィ!!
新八喜んでくれっかねェ…?楽しみでィ!
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