※ぼんやりですが、死にネタ注意!!
最後のプレゼント
「新八ィー、新八ィー!今日何の日ですかィ?」
「は…?」
いつも変な沖田さんだけど、今日は特に変だ。
にこにこにこにこすっごく機嫌が良くって、いつも以上にべたべた触ってくる。
今日って…何の日だっけ…?
「すいません、ここ暫く仕事で忙しくって…6月…11日ぐらいでしたっけ?」
「何言ってんでさァ!もう7月でィ!!」
「えっ!?もう!?そんなに経ってたんだ…」
ヤバい、すっかり日付分かんなくなってる。
まさか…もう7日なんて事無いよね…?
「…昨日が七夕でィ…」
「うそっ!?」
そんな…七夕は沖田さんとデートして、そのままお誕生日のお祝いしようと…
あれ…?昨日七夕ってことは…
「今日、沖田さんの誕生日!!」
「…もう良いでさァ…」
がっくりと肩を落としてとぼとぼと歩き去ろうとする沖田さんの手を掴んで引き留めようとすると、僕の手を振り払って凄いスピードで走り去ろうとする。
「待って…!」
僕の想いが通じたのか、走り去ろうとした沖田さんが、何かに躓いて思い切りコケる。
わぁっ!大変…怪我しちゃったかなぁ…
僕が駆け寄ると、あれ…?沖田さんがなんか変だ…
あんなに髪、短かったっけ…?
それに…なんか大きくなってない…?
「痛ェ…」
呟いて立ち上がるけど…
声…低くなってるよね…?
それに…やっぱり身長…高くなってる…!?
「お…きたさん…?…大丈夫ですか…?」
恐る恐る僕が声を掛けると、物凄い勢いで沖田さんが振り返る。
あ…やっぱり…なんか…大人っぽくなってるよ…?
「し…んぱち…?…」
「はい…沖田さん…ですか…?」
僕が頷くとすぐに、痛いくらいに抱きしめられる。
なっ…!?
こんな公衆の面前で何するんだこの人…っ!?
「ちょ…沖田さんっ!!こんな所で何するんですかっ!!」
「…ごめん…でも…ちょっとだけ…」
ふと気付くと、僕を抱きしめる沖田さんの手が、ガタガタと震えている…
何…?どうしたの…?
僕が腕を回すと、一瞬びくりとした沖田さんが更にぎゅっと僕を抱き込む…
やっぱりこの沖田さんおかしいよ…そんないきなり大きくなる訳無いもの…
暫く僕をぎゅうと抱きしめていた沖田さんが、そっと離れる。
「すまねェなァ…新八は恥ずかしがり屋さんだもんねィ。」
ニッコリ笑ってぽんぽんと頭を撫でられると、いつもならムッとするけど…
この沖田さんにはそんな気が起きない。
やっぱり…この人違う…
沖田さんだけど…沖田さんじゃない…
「何でィ、怒んねぇんだねェ…」
淋しそうに笑う沖田さんが消えてしまいそうで…
思わず抱きついてしまった…
「どうしたィ?甘えん坊だねェ、新八くんは。」
「…沖田さん…沖田さんは…誰ですか…?」
「おかしな事言うねィ…俺ァ俺でさァ…」
くすくす笑って僕の頭を撫でてくれる。
その手が優しくて…何故か泣けてしまう…
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