何事も隠し過ぎると上手くいかない
今日は僕の誕生日です。
昨夜も仕事で、こんな時間には眠いだろうに、朝イチで姉上が
「新ちゃんお誕生日おめでとう」
と言ってくれたました!
何は無くてもその気持ちがとても嬉しくて、今日はなんだか良い事が有りそうな気になりました。
銀さんや神楽ちゃんも、おめでとう、って言ってくれるかな…?
…それに…沖田さんも…
おめでとうぐらいは…言ってくれるよね…?
意気揚々と万事屋に向かい、ガラリと扉を開ける。
きっと今日ぐらい2人とも起きててくれてるよね…?
足取りも軽く居間に向かうけど、そこは静まり返ってて…
…なんだよ、今日もいつも通りかよ…
それでも、サプライズなんか有るかなー?とか思ってそのまま少しだけ待ってみるけど、そこは静まり返ったままカタリとも音がしない…
僕はちょっとだけガッカリした。
…まぁ…そんなもんだよね…
「はいはい起きて下さーい!」
先に和室の銀さんに声を掛けてから、押入れの神楽ちゃんを起こす。
2人はいつも通りなかなか起きなくて、朝からすごく体力を使ってしまう。
ぼーっと起きてきた2人にご飯を食べさせて、洗濯をして掃除をする…
なんだか本当にいつも通りだ…
それでもまだ諦めきれなくて、今か今かとソワソワ落ち着かないで居るけど、2人ともいつもと変わらずにただゴロゴロとソファに寝転がったまま僕の方を見ようともしない。
…え…?もしかして、僕の誕生日…知らない…?
まさかねぇ…?
居間の掃除をしながら2人に近付いて、さりげなーく聞いてみる。
「今日って何日でしたっけー?」
僕がそう言うと、神楽ちゃんがビクッと跳ね上がって、そろーりと僕の方を見る。
「何?仕事なんか入って無いよ?」
「そうアル!明日にしてもらったネ!」
「えっ…?」
なんだろ…?神楽ちゃんおかしい…
「神楽〜、水曜は休みたいって言ったのオマエだろうが。何か用事が有ったんだろ?」
そう銀さんが言う。
口調はいつも通りだけど、なんだか怖いよ…何だろ…?
「そっ…そうアル!子分どもの家に行く約束していたヨ!」
いきなり立ち上がった神楽ちゃんが、定春を連れて遊びに行こうと走り出す。
「あっ!あのっ…!!今日僕誕生日なんです…けど…」
慌てて言うと、外に飛び出そうとしていた神楽ちゃんが戻ってくる。
「へぇ〜、そうなんだ。おめでと〜。」
「おめでとうヨ!全然知らなかったアル。」
「…有難う御座います…」
「なんだ〜?新八。あんま嬉しそうじゃないよ?どした〜?」
銀さんにそう言われるけど、やっぱりちょっと期待していた分ガッカリも大きい。
それでも、おめでとう、って言ってくれたから…良いか…
寂しい気分で掃除を終わらせて、晩ご飯の買い物に出る。
…今日ぐらいスクーター出してくれないかなぁ…銀さん…
「銀さん、僕買い物に行くんですけど…」
「いってらっしゃ〜い。」
「イエ、いってらっしゃいじゃなくて。スクーター出してくれませんか…?」
そう切り出すと、ちろりと僕を見た銀さんが、ジャンプに目線を戻す。
「あー、ワリ、今日無理だわ。ジャンプ読むのに忙しいし。」
「…分かりましたっ!すみませんでした!!」
なんだよっ!今日ぐらいちょっと楽させてくれたって良いじゃん…
ドスドスと足音をならして万事屋を出ると、銀さんが
「ごゆっくり〜」
とか言ってるのが聞こえた。
ちくしょう天パめっ!!
どうせジャンプ読みながら昼寝するだけじゃんか!
さっさと買い物終わらせて、すぐに帰ってやる!!
早足で大江戸ストアに行って安売りをチェックしてると、山崎さんと土方さんがマヨネーズを買っていた。
あれ…?今日マヨ安かったっけ…?
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