キミじゃなくっちゃ!



このドキドキを、少しでもあの人に伝えたい。
あの、可愛い人に…


地味仲間と言われて、ちょっとだけ仲良くなった真選組の山崎さんと、買い物の度に合うという事に気付いた日にはちょっと小躍りした。
確か山崎さんって監察だよね!
なら、あの人の事もきっと良く知ってる。
使えるモノは、何でも使わなくっちゃね!
それまでは、僕を見付けると近付いてくるんでちょっと鬱陶しいな、とか思って世間話とかしてお茶を濁していた山崎さんに、自分から近付いて行って色々とあの人の事を聞くようになった。

食べ物の好みとか、家族構成とか、出身地の事とか、どんなタイプが好きかとか…
住所とか電話番号とかメアドを聞いた時は、ちょっと抵抗されたけど。
僕が笑うと大人しく教えてくれた。
なんでだろ?ちょっと怯えていた気がする。
さて、今日は何を聞こうかなー?
やっぱりスリーサイズとか…?なんて!僕ってばダイタンー!!

「買い物行ってきますねー!」

上機嫌のまま、銀さんと神楽ちゃんにそう言って万事屋を出ようとすると、2人が不審気な顔でジロリと僕を見る。

「最近新八買い物楽しそうアル…」

「好きな娘とでも逢ってんの?新ちゃん…」

流石に鋭いな…
でも、2人ともあの人の事あんまり良く思って無いから…バレたら邪魔されるかも。

「は?そんなんじゃないですよ。」

僕がとぼけると、更に一層疑わしげな顔で僕を見る。

「じゃぁワタシ今日は一緒に行ってやるネ。」

神楽ちゃんが付いてこようとするけど、それは困るっ!

「そんな良いよ、そんなに荷物ないし。買いたくても買えないしね。」

ジロリ、と銀さんを睨むと、そっと目を逸らしてそそくさとソファに戻って行く。
その時神楽ちゃんも一緒に連れてってくれるんで、その隙に僕は買い物に出た。