ボクじゃなくっちゃ!
沖田さんの誕生日に僕らは付き合うようになって。
順調にお付き合いを進めつつ、もうすぐ僕の誕生日がやってくる。
沖田さんの誕生日には、僕をあげたから…僕の誕生日には、沖田さんをくれないかなぁ…なんて、ちょっと期待してしまう。
今の所、僕ばっかりが愛されてる気がするから!
誕生日ぐらいは、僕の愛を沖田さんに思いっきり感じてほしいんだ。
僕の誕生日に一緒に居られる約束を取り付けようと、いつものように買い物に出た帰りにあちらこちらを捜し回る。
あ!居た!!
今日は駄菓子屋のベンチでモリモリと駄菓子を食べてるよ…
でも、その姿がものっ凄く可愛い…仔リスちゃんみたいだ…
くすくすと笑いながら沖田さんに近付いて行くと、僕に気付いて自分の隣をパシパシと叩く。
座れ、って事だよね。
「こんにちわ、沖田さん。今日もサボリですか?」
「こんにちわ、新八くん。違いまさァ、休憩中でィ。」
「はいはい…」
まだ笑いながら僕が隣に座ると、抱えていた袋から麩菓子を取り出して僕の口に突っ込んでくる。
…普通にくれればいいのに…ホント、素直じゃ無いなぁ…
問いただしても、俺ァドSなんでィ、とか言うんだから…照れてるだけなのにね。
サクサクと食べ終えて御礼を言うと、綺麗な笑顔でどういたしまして、とか言ってくれる。
さて…約束…しなくっちゃ。
「沖田さん、僕もうすぐ誕生日なんですよ?」
僕がきりだすと、沖田さんがにっこりと微笑む。
「知ってまさァ。だから今、麩菓子やったろィ?」
「えぇぇぇぇっ!?麩菓子がプレゼント!?」
そんなぁ…これで僕の誕生日が終わりなら、当日一緒に居られないの!?
僕が突っ込むと、沖田さんがゲラゲラと笑う。
「冗談でィ。ちゃんと寺門さんグッズ用意してやすぜ?期待しなせェ!」
ぽんぽんと頭を撫でながら言われるけど…
お通ちゃんグッズは嬉しいけど…今年の僕はもっと違うものが欲しいんだ…
「それは凄く嬉しいですけど…でも僕、もっと違うモノが欲しいんです…」
「…寺門さんグッズより欲しい物が有るんで…?」
僕の言葉に沖田さんが怪訝な顔をする。
腕を組んで考え込む姿が凄くカッコいい。
こんな顔見れただけでも嬉しいけど…でも…
「僕は、誕生日には沖田さんが欲しいです。」
そう言うと、すぐに真っ赤に染まる頬が愛おしい。
「新八君…大胆でさァ…」
そんな事言いつつ凄く嬉しそうに微笑まれると、すぐにでも押し倒したくなる。
でもでも、それは誕生日までとっておくんだ!
前日からの約束を取り付けて、手を振って別れる。
そうと決まったら、僕だってちゃんと勉強しておかなきゃね!
その手の雑誌を読み漁って、脳内でイメトレをして…
万全の準備をした11日。
仕事が終わった僕を、同じく仕事終わりの沖田さんが万事屋まで迎えに来てくれた。
本当なら僕が迎えに行きたかったけど、流石に屯所前をウロウロするのは良くないっていうんで止めた。
沖田さんの私服姿なんてなかなか見れないから凄く新鮮で、僕のテンションはますます上がっていく。
あぁ!楽しみ過ぎて鼻血が出そうだよ!!
「新八君、楽しみですねィ!最高の誕生日にしてやりまさァ!!」
「はい、楽しみにしてます!」
笑い合いながら、いつもは繋がない手を繋いで歩きだす。
今日は沖田さんがご馳走してくれるっていうんで、外で食事をする。
あんまり高い所は申し訳ないんで、バトルロイヤルホストにしてもらったけど、沖田さんは不満そうだ。
でも、僕にとっては十分美味しかったよ?
だって、沖田さんと一緒の食事なんだから。
デザートまで頂いて、満腹で僕の家まで2人で帰る。
姉上は仕事で…明日のお昼までおりょうさんと花子さんと一緒に何か用事が有るそうで…
それまでは…2人っきりでゆっくりとしていられる…
そう思うと、ものっそ緊張してきた…
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