俺の癒しは君の笑顔だけ



上にも下にも問題児ばかりの真選組。
それでもこの大所帯をなんとか纏めていくのは俺ぐらいにしか出来ねぇ事だと思っている。
だがしかし、毎日毎日フォロー三昧の日々に、俺はほとほと疲れきっている。

もう辞めてぇ。
あいつら全員ぶっ飛ばしてぇ。

そんな事をちょっと思うようになりつつ、それでも総悟の穴を埋めるため町を巡回しているのは当然江戸に住む奴等の為、ひいては近藤さんの、真選組の為だ。
だが、俺にとってはそれだけじゃない。
巡回中にたまに逢うアイツの…新八の笑顔が唯一俺の癒しになってるからだ。
誰もが避けて通るようなこの俺に、アイツはいつも可愛らしいはにかんだような笑顔を向けてくれる。
そのツラを見ただけで、イライラは納まって、心がスーッと軽くなる。
出来ればずっと俺の傍で笑っていて欲しい。
茶の一杯も淹れて『お疲れ様です』なんて笑ってくれたら…

萌えるんですけどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!

………何だ今の…
まさか又トッシーが…!?
イヤイヤイヤ!アイツは死んだ筈だから!死んだ筈だから!!

ブルブルと頭を振って正気を取り戻し、今日も一日頑張ろうとマヨを隠し味にした味噌汁で気合を入れる。
ズズッと一気に飲み干して、食器を片して食堂を出ようとすると、珍しく飯を食いながらニコニコと笑っている総悟が目に留まる。
あんなツラ…どういう風の吹きまわしだ…?
気になって良く見てみると、総悟の手には携帯ゲーム機が握られ、ソレを一心にプレイしているらしい。
…ああ見えて、アイツもまだまだ子供だな…
少しだけ微笑ましく思いつつ、午後からの巡回に間に合うように溜まった書類仕事を片付ける為に執務室に籠った。



…が、その間ずっと縁側から総悟の声が聞こえる。
どうも誰かと話をしているようだが…アイツ又仕事サボってやがるな…

「総ぉぉ悟ぉぉぉぉぉぉ!オマエ仕事はどうしたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ワザとバン、と音を立てて襖を開け、怒鳴りつける。
いつもなら、そこを狙ってバズーカを撃ち込んでくる筈なんだが…
ちらりと俺を見ただけで、すぐに俯いてしまう。
…どうしたんだ…?どっか具合でも悪いのか…?

気になって総悟の手元を覗き込んでみると、まだ朝のゲームをやっているらしい。
ゴツン、と頭に拳固を喰らわせて、その手からゲーム機を取り上げる。
全く…仕事ほっぽり出して何やってんだコイツは!

「何するんでィ!新八の前でカッコ悪いトコ見せねェで下せェ!」

「…は…?」

頬を染めて顔を背ける総悟、という珍しいモンも気になるが、それより今コイツは何と言った?
新八…だと…?

キョロキョロと辺りを見回してもそれらしい影は見当たらない。
ってか、俺が新八を見逃す筈がない。
それどころか、総悟は何も無い空間に向かって照れ臭そうに話しかけてやがる…
何だ…?コイツ…ヤバ…

「…おい…総悟…何言ってんだ…?眼鏡なんざ何処にも…」

「あー、すいやせん。土方さんにはちょいと難しかったですかねィ、俺の新八を見るのは。」

…俺の…だと…?
イヤイヤイヤ!いつ新八が総悟のになったんだよ!?

俺が総悟を睨みつけると、総悟がニヤリと笑う。
万事屋みてぇな嫌な笑い方だぜ…

「トッシーなら知ってんじゃねェですかィ?『ラブチョリス+』今度は選べる外見が増えたんでそっくりに作れるんですぜ?」

俺の手からゲーム機を奪い返して画面を見せてくる。
その中で笑ってたのは、確かに新八で…

『どうしたんですか?総悟さん?』

と話しかけてくる声も、新八のキャラメルボイスだった。
それはまるで、本物の新八とテレビ電話で話しているかの如く…萌え……っと…

「判ったら俺たちの邪魔しねェで下せェ。すまねェ新八、土方さんが煩くってな…」

『もう、又怒られてるんですか?仕方ない人ですね、総悟さんは。』

クスクスと楽しそうに笑い合う二人が異様にムカつく。
なんで、もう一回総悟の頭に拳固を叩きこんで、ゲーム機を取り上げる。

「あ!何すんでィ!土方コノヤロー!!」

「仕事しろ!コレはちゃんと巡回して帰ってきたら寝る前に返してやる。」

そのまま電源を切ってやるとバズーカを撃ち込んできたが、ゲーム機が有るからか俺には当たらないようにしてくる。
…こりゃぁ良い。

「おい、ちゃんと仕事しねぇとコイツたたっ斬るぞ。」

「なっ…!人質なんざ…卑怯でさァ…」

「ちゃんと仕事してきたら返してやるから。とっとと終わらせてこい。」

そう言ってやると、悔しそうに唇を噛んだ総悟がブツブツ言いながら巡回へと出ていく。
中々使えるな…コレ…

それにしても、さっきのアレは気になる…

完全に総悟が居なくなったのを確認して、執務室に戻る。
そっとゲーム機の電源を入れてみると、暫くして画面に半泣きの新八が映し出される。
畜生…可愛い…

『総悟さん…総悟さんどこに行ってしまったんですか…?』

「総悟は巡回だ。」

『お仕事…ですか?いつもなら僕も連れて行ってくれるのに…』

いつもぉぉぉぉ!?
いつもこんな事してたのか総悟の奴…羨ましい…

「あのな…」

この新八からも注意してもらおうと画面を見ると、酷く寂しそうな表情の新八が映し出されている。
…そんな顔も可愛い…

「あー…寂しいなら、その間俺が相手してやるよ…嫌か…?」

『どなたですか…?』

パッ、と画面が変わって名前を入れるよう促す。
えーと…土方…十四…郎…っと…

『土方さん…十四郎さんですか?宜しくお願いします!』

…ヤベェ…
名前呼ばれただけでも結構クルな、コレ…

「おう…宜しくな…」