いつか来るその日の為に
今日は朝から万事屋の2人の様子がおかしくて。
いつもなら、僕が行くまで起きてもいないのに、今日はちゃんと起きてて朝ご飯まで済んでいた。
その上僕が掃除を始めると、2人ともちょろちょろと後をついて来て手伝ってくれる。
買い物も荷物持ちでついてきてくれるし、夕飯もなんだか2人でごそごそと作ってくれて僕にも食べさせてくれた。
…まぁ、そのほとんどは神楽ちゃんが食べてしまったのだけど…
一体何なんだと訝しみつつも、後片付けまでしてくれてる2人に座らせられたソファで、これまた至れり尽くせりで淹れてもらったお茶を飲んでいると、全部終わらせた2人がモジモジしながら僕の傍に寄ってくる。
銀さんキモイ。
「…今日は一体どうしたんですか…?なんか怖いですよ…」
「や、あの、なぁ?神楽?」
「今日はマミーの日ネ!新八いつもアリガト!」
照れたように頬を染めてカーネーションを僕に差し出す神楽ちゃんは凄く可愛い。
…同じようにしている銀さんはキモイけど…
成程そうだった。今日は母の日か。
僕は16歳で男なんだけど…まぁ、万事屋での仕事は殆どお母さんみたいなもんだもんな…悲しいけど…
でも、折角だからと2人から花を受け取ると、にこにこと嬉しそうに笑って更に何かを差し出される。
何だろう…紙…?
「…えっと…それは…何…?」
ちょっと笑顔を引きつらせつつ僕が聞くと、照れたように笑う神楽ちゃんが、誇らしげに胸を張る。
「お手伝い券アル!皆マミーに渡すって言って一緒に作ってやったネ。」
あんまり得意気に言うんで差し出されたソレを受け取ると、大分上手になったけど、まだまだヨレた字で一生懸命書かれた『お手伝い券』の文字。
友達が皆作ってたから、神楽ちゃんも作りたかったんだろうな…本当は僕なんかじゃ無くて、お母さんにあげたかったんだろう…
「有難う、神楽ちゃん。今度使わせて貰うね?」
「おう!期待してると良いネ!」
嬉しそうに笑う顔は可愛くて、なんだか、本当に僕の子供みたいだ。
胸の奥がふんわりと暖かくなって、凄く愛おしくなってくる。
僕が護ってあげなきゃ、とか思ってしまった。
いつもの神楽ちゃんなら、僕より全然大人だからそんな事無いんだけどさ…
「新八…俺も有るんだけど…」
僕らが2人でほのぼのしていたのに、横から銀さんが口を出してくる。
何だよ、折角良い感じだったのに煩いな。
ジロリ、と銀さんを睨むと、ドヤ顔で何かお手伝い券的なモノを差し出してる。
…なんか、凄い分厚いんだけど…
「…ソレは何ですか銀さん?まさか大人なのにお手伝い券とか言いませんよね?」
ちょっと軽蔑のまなざしで見上げると、ニヤニヤと厭らしい顔で笑ってる。
取り敢えず差し出されたままの髪の束を受け取って見ると…『夜のお手伝い券』…?
何だソレ…?
帰り道スクーターで送ってくれるとか…?それとも、夕飯作ってくれるとか…?
「何スか?コレ…」
「もー!新ちゃんったらお・と・ぼ・け!お父さんからお母さんに、っつったらもちろんラブ注入的なアレに決まってんじゃん。娘の前でそんな事、言・わ・せ・ん・な・ヨ☆」
つん、とか人のデコつついてんじゃねぇよ!!さぶいぼ出たわ!!!
てか何言ってんだ銀さん?
この間のド○えもんごっこが気に入ったのか?
そういやぁ銀さんって何かっちゃぁダミ声出したり四次元がどうのこうのってネタやりたがるもんな。
どんだけ好きなんだよドラ○もん!?
「銀さん意味が分かりません。何スか?肩でも揉んでくれるんですか?」
ド○パパって何する人だっけ?
ド○ママに怒られてるイメージしかないけど…
「も〜!新ちゃんってばドS移った?あんまり沖田君と遊んじゃ駄目だゾ?」
「銀さんキモイです。」
クネクネと体を揺らす様がマジキモイ。
僕が真顔で返したら、銀さんの顔が引きつって普段の銀さんに戻った。
「新ちゃん、どっちかって〜と俺がSだからね?このチケット使う時はそんな態度許さないからね?」
変な事を言いながら、やけに顔を近付けてくる。
何なんだよ!?
「だから!何なんですか!?何の券なんですかコレっ!?」
遂にキレて僕が怒鳴ると、銀さんが心底呆れた表情になる。
何なんだよ!?
「だ〜か〜ら〜!『夜の』って言ってんじゃん。銀さんと〜、エッチ出来る券…」
「要るかエロボケェェェェェェェェェェェェ!!」
僕がソレを床に叩きつけると、神楽ちゃんがソレを踏み躙る。
「冗談にしても不愉快です。流石にこういうのは僕ノれませんから。じゃぁ、神楽ちゃんお手伝い券ホントに有難う!僕もう帰りますんで、お疲れ様です。」
俺のお手伝い券〜!とぐちゃぐちゃになった紙屑を拾ってる銀さんを見下して、さっさと万事屋を出る。
花に罪は無いからね、カーネーションは2本とも貰って帰ろう。
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