本当にあった幸せな話
新八くんと付き合うようになって1ヵ月と少し。
毎日が嬉し楽し幸せで、夢じゃないかと頬をつねる事数十回(主に山崎時々土方)未だ夢として覚める事は無い。
やっぱり夢じゃないんだとニヤニヤしながら、新八君との約束を想い出す。
新八くんの誕生日には俺をやる、ってェ約束を。
調べなきゃいけねェ新八くんの誕生日はすぐに判りやした。
山崎に聞いたら一発だったぜあのストーカー。
俺達が恋人になった日から1ヵ月とチョイ。
でも、プレゼントに悩むなんて事ァねェ。
きっちりリクエスト貰ってやすからねィ。
俺をくれ、って。
後は当日のケーキと…やっぱり紳士の嗜みは要りやすよねィ…
イヤ待てよ?
俺をくれ、ってんだからやっぱ中だ…
イヤイヤイヤ、それはいけねェ。
大切な大切な新八くんの身体に何か有っちゃいけねェや。
いっちばん具合が良さそうなのを見繕って、しっかり用意しとかねェと。
今日にも早速ドラッグストアで吟味でィ!
さてと、後は…
まだ俺が誕生日が判らないフリをして、当日にサプライズでィ。
この俺に対して、すぐに誕生日教えてくれなかったからな。ちょいと意地悪してやらァ。
まぁ、当日に新八くんが居ない、なんて事はねェだろ。なんせ毎日俺ん家に来てくれてるんだからな。
内緒にしといて落ち込ませて、その日はベッタベタに甘やかしてやらァ。
今から、驚いて泣き笑いする嬉しそうな新八くんの顔が目に浮かびまさァ!
そして、いよいよ8月12日。
俺は計画通りに行動に移る。
「新八くん、今日も家来んだろィ?」
「あ…はい…」
俺がいつもと変わらない態度をとると、一瞬喜んだ新八くんの顔が残念そうな物になる。
誕生日に気付いて居ねェと思ってんな…よしよし。
「どうしたんでィ新八くん。何か都合悪ィのかィ?」
わざとそう言ってやると、ハッとした新八くんがニコリと笑顔を作る。
「いえ!用事とか全然無いんで!行きましょう!」
なんでか慌てた新八くんは、鞄を肩にかけて俺の背中をグイグイ押してくる。
「今日はスーパー寄って行きやしょうぜ。」
「うん…沖田君何が食べたいですか?」
「んー、肉じゃが。」
「あはは、沖田君肉じゃが好きだよね。」
クスクスと俺だけに向けてくれる笑顔は何よりも可愛い。
ずっとこの笑顔を見ていてェ。
だから…今日はさいっこーの誕生日にしてやるぜィ!新八ィ!!
◆
大好きだった沖田君の誕生日に、彼と両想いになれて1ヵ月と少し。
僕は毎日をとても幸せに過ごしている。
まさか、密かに想っていた人が僕の事を想ってくれるなんて…それも、男同士だっていうのに…
初めのうちはからかわれているのかとビクビクしていたものだけど、そんな事は全然無かった。
毎日が夢みたいでフワフワしてて…幸せで幸せで…
でも、沖田君の誕生日にした約束、『沖田君を僕に下さい。』
僕の誕生日はもうすぐなのに、彼はその事について何も言ってこない。
そんなの、山崎君に聞けばすぐに分かるのに、全然気にしてくれて無いみたいで…
とても優しくて大事にして貰っているのに、凄く不安になってしまう。
任せろ、って言ってくれたのは嘘だったのかな…
本当の本当は、僕はからかわれていたのかな…
そんなウジウジした気持ちのまま迎えた8月12日。
沖田君はいつものように自宅に僕を誘ってくれて、彼の誕生日と同じメニューを晩ご飯にリクエストしてくれた。
あれから何回も作ってあげた肉じゃが。
僕の料理を凄く気に入ってくれたんだと思うとなんだか嬉しくなってきて、自然と顔が緩んでしまう。
だから僕は沖田君を促して最高の気分で一緒にスーパーに行ったのに…
沖田君は合鍵を僕に渡して、さっさと何処かに行ってしまった。
いつもなら、一緒にカートを押して買い物してくれるのに…なんだろ…凄く寂しい…
僕、今日誕生日なんだけどな…
こんな事なら、姉さんや神楽ちゃん達とパーティーするんだった…
それでも、いつも僕の料理を食べて凄く嬉しそうに笑ってくれる沖田君の顔が見たくて、もうすっかり行き慣れた家へと向かう。
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