「今日は新八の誕生日ですからねぃ。俺の奢りでさぁ!好きなモンに乗りなせぇ。」

すっかり復活した沖田さんが、乗り物チケットを僕に渡してくれる。
わぁー!遊園地なんて何年ぶりだろっ!小さい頃に来た時は、身長制限で乗れなかったのとか沢山有るからなぁ…今日はイッパイ乗るぞー!!

「有難うございます、沖田さん!!遊園地なんて、ホント久し振りですよっ!!あー、何から乗りましょうか?迷っちゃうなぁー…とりあえず、アレから行きましょう!!」

僕は沖田さんの手を掴んで走り出す。
あ…さっき沖田さんの手、チョップで外したっけ…でも、一瞬びっくりした沖田さんが、にっこり笑ってくれたんで良いか…
沖田さん、乗り物強そうだもんなぁー…こんなの余裕だろうなぁ…でもきっと、優しいから僕に付き合ってくれるよね…?
僕は目当ての乗り物の所まで沖田さんを引っ張って行った。



「しっ…新八ィ…コレに乗るんですかィ…?」

「ごめんなさい、沖田さん…やっぱり沖田さんは、こんなのじゃ物足りないですよね…?」

「…いや…」

「でも、コレは始めですからっ!徐々にレベルアップしていきますから!!期待してて下さい!」

…新八に引っ張ってこられた先は、ジェットコースターだった。
…情けねぇですが、俺ァ正直あんまり得意じゃないんですがねぇ…コレぁ座るやつだし…ベルトをしっかり締めときゃぁ、大丈夫じゃぁねぇですかねぇ…?

「新八は、絶叫系が好きなんですかィ…?」

「はい!大好きです!!」

…………………イメージに無いでさぁ……………………

まぁ大丈夫だろうと乗ったジェットコースターは最悪だった…何でぃ、こりゃぁ…内臓が全部せり上がってくんじゃねぇかい…?
何とか耐えて、ふらふらと外に出ると、新八が又手を繋いで走りだす。

続いてでっかい船が揺れるヤツとか、空中に放り出されそうになるヤツとか、真っ逆さまに落ちるヤツとか、立ったまま乗るジェットコースターも有りやしたか…絶叫系の連続に、声も出やせんぜ…
…まぁ、新八が物凄く嬉しそうだから、良いとしやしょうかね…



沖田さんがみるみるぐったりしていく…
アレ…?もしかして、絶叫マシン、苦手…?
…悪い事しちゃったかなぁ…
沖田さんにはベンチで休んでてもらって、僕はハンカチを濡らしてきて、沖田さんの額に乗せる。

「すみません…絶叫系、苦手でした…?」

「…得意じゃぁねぇでさぁ…新八は楽しかったかぃ…?」

「はいっ!僕は凄く!!」

「じゃぁ良かった…新八が楽しかったら、俺も楽しいんでさぁ…」

青い顔のまま、沖田さんが笑う。
もぅ…この人は……っ!!

「少し休んだら、お弁当食べましょうね?」

「おう!楽しみでさぁ!!」

少し休んで沖田さんの顔色良くなったのを確認してから、テーブルの有る所まで移動してお弁当を広げる。

「あの…沖田さんの好物分かんなかったんで、少しずつイロイロ詰めてきたんですけど…好きなモノ、入ってますか…?」

僕が恐る恐る聞くと、片手におにぎり、片手に唐揚げを持った沖田さんが、ニコニコと笑う。

「俺ァ新八の手料理が好物でさぁ!コレもコレもコレも、全部うめぇ!!」

ひょい、ひょいと掴んでは口に運んでもぐもぐと食べていくと、あっという間にお弁当は無くなっていく。
えへへっ…美味しいって思ってくれたのかなっ…?すっごく嬉しい…

「ほい、新八の分。」

お弁当の蓋に、少しずつ残してくれたお弁当を乗せて差し出してくれる。

「あーっ!?僕全然食べてないのにっ!!」

ホントは沖田さんが全部食べちゃっても良かったんだけど…ちょっと怒ったフリしてみよう。

「すっ…すまねぇ…すんげぇ美味かったんで…」

沖田さんがしどろもどろになる。ふふっ…

「ウソです。全部食べちゃっても良かったんですよ?そんなに美味しい、って食べてくれるんなら僕も嬉しいし。」

僕が笑って言うと、沖田さんの顔が赤くなる。

「そのかわり、晩飯はレストラン予約してありまさぁ!新八の誕生日なんでちょっと奮発してやすから、期待してて下せぇ!!」

沖田さんが赤い顔のまま、にひゃり、と笑って言う。張り切ってるなぁ…

「はい、楽しみにしています。」

お弁当を食べ終わってからしばらくまったりして、今度は絶叫系はやめてゲームセンターとかお化け屋敷に行った。ゲームセンターでは沖田さんは水を得た魚のようにイキイキしていた…得意そうだもんなぁ、こういうの。お化け屋敷は沖田さんが行きたい!って言ってたのに、あんまり楽しそうじゃなかったなぁ…まぁ、遊園地の子供向のお化け屋敷なんて、こんなもんでしょ…?もっと怖いの想像してたのかなぁ…?
絶叫系がなくてちょっと物足りなかったけど、楽しかったからいいや。



いよいよメインイベントでさぁ!
俺が新八の手を取って観覧車に向かうと、新八がくすり、と笑う。

「沖田さん、観覧車に乗りたいんですか?やっぱり高い所から見下ろすの好きなんですか?」

「…新八ィ…マジでオメェさん、俺の事どんな目で見てんでさぁ…」

「え?わがままドS王子。」

…ちょっとヘコむぜぃ…

悲しくなるんで、それ以上追及しないで観覧車に乗りこむ。
向かい合わせに座って、外を眺めてはしゃぐ新八を見つめる。表情がコロコロ変わりやすねぇ…今日は楽しんでもらえたんですかねぃ…?

もうすぐてっぺん。俺が新八の横に移動すると、びっくりした顔で俺を見る。

「知ってやすかぃ?観覧車ってぇのは、ちゅうする為に作られた乗り物なんですぜ?見なせぇ、ココはどっからも死角になるんでさぁ。」

そっとメガネをはずしてゆっくりと口付けると、新八の手が俺の袖口を掴んで縋ってきてくれる。
本当はずっとこうしていてぇが、新八は恥ずかしがりだからな。ココで殴り飛ばされる訳にゃぁいかねぇ。観覧車が降りはじめたら、離れてやりやしょう。
俺がゆっくりと離れると、とろん、とした目で俺を見る。

 うっ…

がっ…がまんがまん…こんな所で折角のむーどを壊してたまるかぃ!

こてん、と俺の肩に寄りかかってくる新八を、1回ぎゅうと抱きしめて向かいの席に戻る。

「…今日は優しいんですね、沖田さん…」

「何言ってんでぃ、俺ァ新八にはいつでも優しいぜぃ?」

俺がニヤリと笑ってそう言うと、新八が嬉しそうに微笑む。

「そうでした。」

うし!なんか良い雰囲気になりやした!後は俺をぷれぜんとするだけでぃ!!

観覧車を降りて、手を繋いで遊園地を後にする。