ほわいと どりーむ



僕が一体何をしたというのだろう。
皆さんに、ほんの少しの優しさを分けてあげただけじゃないか。
それなのに何故………


僕は…僕は…


僕は男だァァァ!!!





その日は、食べ物に有りつけるという理由で、僕が少しだけ期待していたホワイトデー。
日の出間もない僕の部屋、違和感を感じて目が覚めた。
いつもならお通ちゃんの可愛い笑顔で癒される筈の僕の視界には、野郎共の緩んだ笑顔が飛び込んできた。

…え…?

「あ、新八君目が覚めた?今日はホワイトデーだからお返しを持って来たんだ。」

何故か凄く良い笑顔で、手だけ高速で動いている山崎さんが声を掛けてくる。

「…えっと…」

「やっぱ一番初めに返したいだろ〜?夫として。だから昨夜泊っていけって言ったのに〜」

思いっきりドヤ顔で、これまた高速で手を動かしている銀さんが僕に言う。
そういえば、昨夜はやたらと泊っていけって煩かったっけ…面倒くさかった。

「お侍さんウザいよ、殺しちゃおっかな。ま、全員ウザいんだけどさ。折角俺がメガネ君を迎えに来たっていうのに。」

「団長が日付に拘ってさっさと攫いに来ないからだろ、このスットコドッコイが。」

「えー?だってお返しするのは14日が決まりだってタカスギが言うからさ。」

「そこァちゃんとしないと小煩そうだろ、この坊主…」

いつもは裏路地からしか出てこない3人組…神威さんと阿伏兎さんと高杉さん…も朝っぱらから高速で手を動かしながら笑顔でそう言ってくる。
笑ってるけど怖いよ!この人達!!

「おまんらもしつこいのぅ。お妙さんが認めてくれちゅうのはワシぜよ。なぁ?新八くん。」

アハハハと豪快に笑い、坂本さんも高速で手を動かしながら僕に話しかけてくる。


…何が…?


「えっと…皆さんはこんな時間から、僕の部屋で、僕が寝てるのを覗き込みながら、何やってんスか…?」

「「「「「「じゃんけん」」」」」」

「…そっかじゃんけんか。早過ぎて分からなかった………じゃねぇよ!僕が聞きたいのは何故こんな朝早くから僕の部屋に不法侵入して高速でじゃんけんしてるのか、って事ですっ!!」

突っ込みながら飛び起きると、凄い反射神経で全員が避けやがった…チッ…
その上、何言ってんだコイツ、みたいな顔で見てきやがるよムカつく!
僕、おかしな事言ってないよね!?
こんな状況、普通分からないよね!?

「やだなぁ、新八君ってば寝惚けてる?ホワイトデーのお返しって言ったよね、俺達。」

ニコニコと笑ってるけど良く見たらどこか怖い山崎さんがそう答えてくれると、他の皆さんもうんうんと頷く。
…持ってきてくれたお菓子がかぶったのかな…?
それとも渡す順番とか?一番がどうのって言ってたような気もするし…

「あの…同じお菓子でも僕全然構いませんが…あ、順番がどうのって言うなら全員いっぺんに…」

できるだけ軽い感じで僕が言うと、信じられないって顔で銀さんが近付いてきた…と思ったら坂本さんが襟首を掴んで引き戻した。

「金時〜、おんし何抜け駆けしようとしとるがか。じゃんけんで決める言うたぜよ。」

「そうだよお侍さん。俺がこんな面倒な事してんのに抜け駆けなんてしたら、殺しちゃうヨ?」

…神威さんの目が開いてるんですけど…なんなんだ一体…

「おい坊主、俺が甘ったりぃ菓子なんか…持ってくると思ってんのか…?」

高杉さんがニヤリと笑って僕に言う。
この人も怖ぁっ!!
ホワイトデーだよね!?お菓子以外何が有るって言うんだよっ!?

「あのっ!チョコのお返しって普通お菓子ですよね!?それ以外何が…」

僕が問うと、やっぱり高速でじゃんけんをしながら全員が僕を見てニヤリと笑う。

…え…?何…?

「新ちゃん何言っちゃってんの。他の奴等は勘違いしてっけど〜、俺らは夫婦じゃね?銀さんはモチロン身体でお返しするに決まってんじゃん。」

「はァァァ!?頭湧いたんですかアンタ!?」

元々おかしかったけど、いよいよおかしくなったよ銀さんが!
夫婦って何だ!?
身体で返すって何だ!?

「何言ってんのお侍さん。メガネ君は俺のおヨメさんだヨ?」

「俺は間男で良いぜ?」

「馬鹿主従かァァァ!?何で僕が男の嫁になるんですかっ!それもいきなり愛人付って!!」

ニコニコ笑ってんのに瞳孔が開いてる神威さんも怖いけど、飄々ととんでもない事言う阿伏兎さんも怖いィィィ!!

「俺ァ嫁じゃなくても良いぜ?犯れれば。」

ニヤリと笑う高杉さんもおかしな事言ったァァァ!

「ワシはパトロンでも良いぜよ。地球に来た時しか可愛がってやれんからのう。でもその時はワシ優先じゃきの。」

坂本さんもか!何そのドヤ顔ォォォ!!

…って事は………

「やっぱりもう少し早くにくれば良かったよ…流石にあの人には手こずったからなぁ…もういっそ、俺は皆に調教された後でも良いかなぁ…淫乱になってからの方が楽しめるかも…」

…山崎さんが何か怖い事をブツブツ呟いてる…聞こえない…僕には何も聞こえない…