マンション高杉(※銀魂でめぞん一刻パロ)


『志村君がやってきた。』


田舎で受験勉強してても、やっぱり駄目みたいです。

志望校、全滅してしまいました…

それでも大学が諦めきれなくて、なんとか親に頼みこんで、1年だけって期限付きで、浪人させてもらえる事になりました。
勝負の1年!今度は後悔したくなくて、僕は上京してちゃんと予備校に通ってじっくり勉強する事にしたのですが…なんでこんなに物価が高いんですか?東京!?
僕…こんな所でちゃんと生活していけるのかなぁ…

とりあえず住む所を探して入った不動産屋さんで、いっちばん安かった所に決める。

『マンション高杉』

決める前に見学に行った時は、マンションって言うよりアパートだよな…って思ったけど、管理人をやっているという老夫婦が感じの良い方達で、この方達の管理する所なら良いかな、って思って決めてしまった。
ちょっとだけ僕のおばあちゃんに似た感じだったんだよね…奥さんが…



そして、今日からいよいよ新生活が始まる。


ここ、マンション高杉から、僕の受験生活の第一歩が始まるんだ!
頑張るぞー!

「こんにちわー、今日からお世話になる志村ですけどー!高杉さーん?」

玄関で管理人さんを呼んでみる。

…あれ…?

おかしいな、確か着いたら呼んでくれ、って言ってたはずなのに…

「ごめんくださーい!志村ですがー!管理人さーん!」





「うるさいね!何だいこんな朝っぱらから!!」

僕がアパートの中に向かって叫んでいると、一番近くの部屋からおばさんが出てきて僕を睨む。な…何か怖そうな人だなぁ…

「あ…すみません、あの、僕今日からこちらでお世話になる志村新八と言いますが…あの、管理人の高杉さんは…」

「管理人さんー?あぁ、そう言えば今日から変わる、とか言ってたねぇ。なんでも孫が代わりに来るらしいよ?じいさん達は楽隠居、ってはしゃいでたっけねぇ…」

「えっ…そうなんですか…?僕の事は何か…」

「あぁ、そう言えば誰か来るとか言ってたっけねぇ。さっき引越し屋が荷物運び込んでたよ。確か5号室だったっけ…鍵は預かってるから渡すよ。あぁ、私は1号室の寺田。寺田綾乃。ダンナと息子と一緒に住んでるよ。」

「寺田さん…ですね。僕は志村新八です。宜しくお願いします。」

「はい、宜しく。最近の若い子にしちゃぁ礼儀正しい良い子だねぇ。」

寺田さんがにっこり笑う。
怖い人かと思ったけど、良い人かも…

寺田さんに鍵を貰って、2階だという5号室に向かう。
へぇ、結構広いんだなぁ…
僕がきょろきょろしながら階段を登って行くと、スーツを着た男の人とすれ違う。
うわ、真面目そうな人だなぁ…

「あの、僕今日からこちらでお世話になる志村新八と申します。宜しくお願いします…」

「武市です…宜しく…」

ぺこりと頭を下げて行ってしまう。
はぁ、寡黙な人だなぁ…でも真面目そうな人だ…

階段を登りきって部屋の番号を見ながら歩いて行くと、パジャマの前をはだけた茶髪の男の人がぼーっと立ってる。
…なんだろ…?ココの住人の人かなぁ…

「あの…こんにちわ、僕今日からこちらでお世話になります志村新八と…」

「…ぎぼじわるい…」

ぎゃぁーっ!吐くの!?この人吐くのっ!?
僕が慌ててトイレに連れて行くと、茶髪の男は盛大に吐いた。

「大丈夫ですか…?」

「すまねぇ…お?アンタ誰でぃ?」

「や、だから!今日からこちらでお世話になる志村新八ですっ!」

「志村君ですかぃ?俺は沖田総悟、6号室でさぁ。よろしくな。」

沖田さん、がニヤリと笑って握手してくる。
…この人酔っ払い…?

「で?誰だったっけ?」

「やっぱりそうかぁぁぁぁぁ!もう知るか!何回言えば良いんだよ、僕はぁぁぁ!!」

「志村君は怒りんぼさんだねィ…たかだか2回じゃねぇか…」

「覚えてんじゃねぇかっ!!何なんだアンタぁぁぁぁぁ!!」

「志村君こそ忘れっぽいねぇ。俺ァ沖田でさぁ。沖田総悟。」

「そんな事聞いてねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

だっ…駄目だ…この人と話してても疲れるだけだ…
荷物の整理も有るし、早くここから立ち去ろう…

「じゃ、僕部屋に戻りますね。」

「おぅ、じゃ、後で。」

…は…?後で、って何だ…?


僕が少ない荷物の整理も終わって、晩御飯何にしようかと考えてると、部屋の戸がノックされる。

「はーい。」

「志村君、ご飯食べたかい?今からアンタの歓迎会をやろうと思ってるんだけどね?」

あ、寺田さん…
歓迎会なんてしてくれるの!?
わぁ、嬉しい!皆と仲良く出来るかな…?

「有難うございます…!」

僕が笑顔で扉を開けると、大量のアルコールを抱えた寺田さん、武市さん、沖田さんと、白髪の男の人が僕の部屋になだれ込んできた。

「えっ…?ちょっと…!?」

「アンタの歓迎会なんだ、アンタの部屋でやるに決まってるだろ?」

すでに皆お酒を開けて、どんちゃんどんちゃんと飲み始めてる…

「ほらほら、志村君、早く座りなせぇ!俺の隣は開けときやしたぜ?」

沖田さんに手を引かれて、隣に座らされて、紙コップを持たされて、並並とお酒を注がれる。

「はい一気!一気!一気!一気!!」

すぐさま沸き起こる一気コール。

「や、僕未成年なんですけどっ!!」

「なんだいノリが悪いねぇ。固い事言うんじゃないよ。」

「やれ、沖田。」

白髪の人がくいっ、と顎をしゃくる。
と、沖田さんががばり、とお酒をあおって僕に近づいてくる。
…えっ…?何かイヤな予感…
僕が後ずさると、後ろに忍び寄っていた武市さんが、僕を羽交い絞めにする…

って…ちょっ………うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

むちゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ…

僕の嫌な予感通り、沖田さんは口移しで僕にお酒を飲ませた…
畜生…こうなったら飲んでやる…飲んで消毒だ………

「ちょっと!さっきから気になってらんれすけろ!しらがの人!アナタ誰れすかっ!」

「あ?俺?そこの妖怪ババアの息子。銀時だ。」

「ムスコ?えぇぇぇぇぇ!?てららさん、こんなおっきいムスコがいるろ?」

「あら、嬉しい事言ってくれるじゃないさ。そんな若く見えるかねぇ。」

寺田さんは嬉しそうら。
あれ?なんか目の前が変らろ…?なんか…

「ぎぼじわるい…」

「お?ちょっと待て新八ィ!」

誰かが僕を抱えてトイレに運んでくれた。
あぁ、部屋汚さなくてすんだ。助かった…

「すみません、ありがろうごじゃいましゅ…」

「おいおい弱ぇなぁオメェ。もうあそこ戻んな。俺の部屋で寝てなせぇ。」

「あい…」

誰だかわかんないけど助かった…
僕はお言葉に甘えて、その人の部屋で寝させて貰った。









うぅ…眩しい…もぅ朝…?
僕が近くに有った何かにぎゅうっと掴まると、何かに締め付けられる。
えっ!?何!?
慌てて目を開けると、目の前には肉の壁。
なっ…!?何が…!?
目線を上に持って行くと、端正な顔と、茶髪…
目線を下に持って行くと…………何で何も着てないんだ…?僕……

「えっ!?ちょっ!?何!?何がっ!?」

僕がばたばたと暴れて腕の中から逃れて部屋の隅まで避難すると、うーん、と唸って沖田さんが目を覚ます。

「新八ィ…何なんでぃ、その態度は…」

「何って…何で僕はここに…?ってか何で僕、裸なんですかっ!?」

こっ…怖いけど、ここははっきりさせておかなきゃ!!

「何で、って…覚えてないんですかぃ?」

「覚えてませんっ!」

どっ…どうしよう…なんか変な事やっちゃったの!?
沖田さんが、はぁーっ、と溜息をつく。

「昨日…盛大に吐いただろうが、オメェ…後始末はやっといたぜ?(寺田のババアが)」

はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!
やっちゃった…やっちゃったよ僕っ!

「すっ…すみませんすみませんすみません!!ご迷惑おかけしましたぁぁぁぁぁ!!」

僕が半泣きでぺこぺこ誤ると、沖田さんがぽんぽんと頭をなでてくれる。

「無理矢理飲ませた俺達が悪いんでさぁ。謝んねぃ。」

沖田さんが服を貸してくれて、隣の部屋まで送ってくれる。

「今日は無理矢理は飲ませねぇから安心しな。」

「あぁ、ありが…」

今日は…?って、今日も…?
僕がひきつった笑いを浮かべると、沖田さんがニヤリと笑う。

「歓迎会は1週間ぶっ続けですぜぃ?」

楽しみにしてて下せぃ!と言いつつ沖田さんが立ち去る。
イヤ!1週間って!!
そんな…毎晩あんな騒がれたら勉強できないよっ!!

僕はなんとか逃れる方法を考えながら、ちょっとだけ眠ろうと思った。