連れて行かれた沖田君のお家はとても大きくて…
早速向かったキッチンも、すっごく綺麗で使いやすそうだった。
「おじゃまします…うわ…綺麗…あ、すぐに作っちゃうからね?」
「おう。パチ恵も喰ってくんだろ?」
「え…?私は…」
「やっぱり自分で作った料理は喰えねェようなもんなんだろ…」
そんな事を言いつつ、顔が引きつってる…
「そんな事無いもんっ!沖田君が良いんなら、ご馳走になるもんっ!!」
「んじゃ、ホイ。」
ニヤリと笑って電話を差し出されるんで、そのままそれを借りて家に電話する。
父上が出たんで怒られるかな…?って思ったけど、たまにはゆっくり遊んでおいで、って言ってくれた。
…ごめんなさい…お友達はお友達だけど…男の子で…彼氏なんだ…
ゆっくりはしないから、許してね…?
電話を終えてすぐにキッチンに立つと、傍にやってきた沖田君がエプロンを貸してくれた。
凄いシンプルなエプロンだけど…お姉さんのかな?
「で?手伝う事は?」
「…ご飯炊ける…?」
「おう。」
私が聞くと、ささっとお米を研いで電気窯のスイッチを入れる。
本当は料理出来るんじゃないの…?この人…
その間に下ごしらえをして、どんどん料理を作っていくと、へぇ、と感心したような声が聞こえる。
「パチ恵、本当に料理出来るんだねィ…」
「だから出来るって言ったじゃないっ!もう!!邪魔だからあっち行ってて!」
「へーい。」
私が言ったら、本当に沖田君は何処かに行ってしまった…
…何よ、本当に行く事ないじゃん…寂しいよ…
なんとかご飯を作り終わって、隣の部屋に行くと沖田君は私服に着替えて寝転がってテレビを見ていた。
「ご飯出来たよ?」
「へーい…」
びよん、と立ち上がって台所に向かうと、くんくんと匂いを嗅いでる…
「おぉ、良い匂い…」
そのまま早足でテーブルまで行って、並んでいる料理を見て、又
「おぉ!」
と驚いてくれた。
ちょっと照れるな…
「スゲー、ちゃんとした飯じゃねェですかィ…」
「だから出来るって言ったもんっ!失礼だなぁ、もぅ…」
私が怒る頃には、さっさと椅子に座った沖田君がぱんっ!と手を合わせて頂きます!と言って食べ始めてる…
仕方ないんで私も椅子に座って頂きますを言ってからスプーンを手に取るけど…
どうだろ…?気に入ってくれるかな…?
心配で、そーっと沖田君を見ていると、ぱくりと食べてフリーズしてる…!?
あれ?失敗しちゃった…?
私もぱくりと食べてみると…うん、美味しい。いつも通りちゃんと出来てる…
もう1回沖田君を見てみると、ぎぎぎ…と動き出す…
「…ぎゃふん…」
「…え…?」
「旨ェ!パチ恵本当に料理上手だったんだな!!」
にこにこ笑いながら、凄い勢いでパクパクと食べてくれてる…
良かった…沖田君に美味しい、って言ってもらえるのがこんなに嬉しいなんて思わなかったよ…
残ってたご飯までおかわりで全部食べてくれるなんて…なんか幸せ…
私が食べ終わった頃、後片付けはやりやす、って言ってくれたんでお言葉に甘えて居間でジュースをご馳走になってテレビを見る。
でも…そろそろ帰んなきゃ…
今から帰ったら、家のご飯も作れるかも…
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