「さ、近藤さん行きやすか。着替えるのはアッチみたいですぜ?」
「お、そうか!珍しく張り切ってるな、総悟!パチ恵ちゃんに褒めて貰いたいのか?」
そんな事言いながら、2人がスタスタと更衣室に行ってしまう。
姉上…沖田君に何を言ったの…?
「姉上…沖田君に何言ったんですか…?沖田君『銀角』知ってましたよ?あの2人がアノ服着たら…」
「あ、やっぱりはっちゃんもそう思う!?ずっと似てるって思ってたのよーっ!リアル近沖よーっ!!近藤君はワタシが頼めばやってくれると思ってたけど、沖田君が問題だったのよねー!はっちゃんが誑し込んでくれて良かった!」
「…姉上…人聞きの悪い…」
アノ大きな鞄…やっぱりそうだったんだ…
めちゃくちゃ盛り上がってる姉上を放っておいて、お店をセッティングしていると、後ろからぐいっと引っ張られる。
「さ、はっちゃん、私達も行くわよ?」
「へっ…?」
「着替えるのよ。」
にこにこ笑った姉上が、グイグイと私の手を引っ張る。
「いえあのっ!お店…っ!釣銭とか!!」
私が振り返って見ると、おりょうさんと花子さんが、ニコニコ笑って手を振ってる…あれっ…?
「姉上…2人、今日は居無いんじゃ…」
「あら、そんな事言ってないわよ?今日は2人も別スペース取ってるから店番は居ないもの。隣だけど。」
「騙されたァァァァァァァァァ!!!!!」
私が叫んでも、姉上は力が強くって…ズルズルと引きずられて更衣室に連れて行かれた…
でも、『銀角』にはそんな露出の多い娘は居なかった筈だし…着物とか…だよね…?
そんな事を考えて大人しく着いていった先で、私が差し出されたのは小さな布で………
「姉上…?」
「何?ちゃっちゃと着替えてね?」
「イエ、姉上コレ…」
私がその布を受け取って広げると、超ミニスカとタンクトップで…
こんなの着てる娘…居たっけ…?
「凄いでしょ?ふうちゃんの新コスチュームよ!?先週じゃんぷに載ったばっかりだから、きっとはっちゃんが一番乗りよ!」
姉上が得意気に言うけど、コレはちょっと…
「姉上…これは…露出激しすぎますっ!こんなの着れませんっ!!」
私が言うと、姉上が意外そうな顔で私を見る。
「だって、はっちゃん眼鏡っ子だし…」
「理由それだけですかっ!?」
「…巨乳だし…?」
にっこり笑った姉上の目が怖い…
「それに、はっちゃんがソレ着る、って言ったから沖田君が大人しく着替えてくれたんだもの。着せない訳にはいかないわ?」
てきぱきと自分も着替えながら、うふふふふ…と笑う姉上の目が怖い…
「自分じゃ着れない?私が着換えさせた方が良いかしら…?」
「きっ…着ますっ!自分で着ますっ!!」
何とか着替えて、スカートを出来るだけおろしながらお店に戻ると、近藤君と沖田君も着替えて戻ってた。
わ…本当に似合うよ2人とも…本物の近田さんと沖藤さんみたい…
姉上の方を見ると、両手を口に持っていって、叫び出しそうなのをなんとか抑えてる…
2人の方に向き直ると、何か話してるみたいで。
楽しそうに話して笑い合って、沖田君が背伸びして内緒話をしようとしたら、近藤君がちょっと屈んで耳を近付ける。
…と、そこら一帯から、キャァァァァァァァァァ!!!!と、女の子達の叫び声が聞こえる。
当然姉上も叫びまくってた…
あぁ…そう言えば、ここら辺はそういう組み合わせが好きな人達の所だった…
「はっちゃん有難う!はっちゃんが沖田君を連れて来てくれなかったら、こんな光景は見る事が出来なかったわ!!」
姉上が、涙を流しながら私の手を握る…もう片方の手では、デジカメでパシャパシャと2人をうつしてる…
姉上………
私達がお店に戻ると、近藤君が慌てて走ってくる。
「たっ…妙さん、さっきから俺達異様に睨まれてるんですが…周りは皆女子だし…もしかしてココ、男は居ちゃいけないんですか…?」
近藤君が不安そうに姉上に言うと、にっこり笑った姉上が近藤君の手を握る。
「そんな事無いわ。近藤君が素敵だから、皆見つめてるのよ、きっと。」
「すっ…素敵ですか!?俺が!?」
「ええ。ちょっと好きになっちゃいそうです。」
「えぇ―っ!?マジッスか!?マジッスか!?妙さん!!??」
「はい。」
姉上が言うと、近藤君がめちゃくちゃ良い笑顔になる。
………姉上………近藤君、信じちゃいますよ…?
「…パチ恵…あれァ嘘だろィ…?」
いつの間にか私の後ろに来てた沖田君が、はぁっ、と溜息をつく。
「おっ…沖田君、あのね、嘘では…」
私が慌てて振り返ると、沖田君がぐっと肩を掴む。
「俺達ァアレだろィ?BLとかってやつにされてんだろィ?」
わ…沖田君の苦笑なんて初めて見た…
「…ごめんね…?」
「パチ恵が謝る必要はねェよ。近藤さんはどうせ止めても聞かねェし…姐さんに押し切られるだろィ?ま、パチ恵のエロいカッコ見れたから、それで良い事にしてやりまさァ。」
ニヤリと笑って上から下までジロジロ見られるけど…
沖田君も皆のBLな目で見られたんだもん…私も我慢…でも恥ずかしいよぅ…
「おっ…沖田君…もう良いでしょう…?」
私が泣きそうになって言うと、ぎゅっと頭を抱きしめられて耳元で囁かれる。
「なんでィ、パチ恵ブラしてんじゃねェか。本物ァしてねェんだぜ?こう…乳首が…」
「出来ないよっ!皆見てるんだよっ!?」
「皆…?ここいらには男も来るんで…?」
「さぁ…女の子しか来ないと思うけど…」
私が離れようとすると、制服の上着をばさっと私に掛ける。
…何が…?
「コレ、着てなせェ。俺以外の男に、こんなエロいカッコ見せんじゃねェよ。」
えっ…?
キョロキョロと見渡すと、男性スタッフさんが姉上の所に打ち合わせに来てた…
なんか…嬉しいかも…ヤキモチ焼いてくれたのかな…?
私がにこにこ笑って沖田君を見上げると、ぷいっ、と横を向く。
「沖田君…ありがと…」
私が言うと、沖田君が、へぇ――――っくしょい!とくしゃみをする。
あ…
「お?総悟風邪か?コレ着とけ、俺はさっきから何か熱いしな!」
近藤君が、ばさっと自分の上着を沖田君に掛けると、又周りの女子が、キャァァァァァァァァ!!と叫ぶ。
めちゃくちゃビクッとする近藤君と違って、沖田君は何か近藤君に耳打ちしてる…更にキャァァァァ!!と叫ばれてるよ…
コノ人楽しんでるな、皆の反応…
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