我に返って離れようとすぐ前に有る胸板を押すと、一瞬離れたそー君の表情が泣きそうに歪む。
…そんな顔…させたかった訳じゃないのに…でも…このままで良い訳じゃ…
すぐに凄い力で抱きすくめられて離れられないどころかもっとぴったりとくっついてしまう。
唇を吸われたままくちくちと動かれると、なんだか気持ち良く…って!?何考えてんの!?僕ぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!
「んっ…んはっ…そぉくっ…うんんんんっ…!?」
一瞬唇が離れたんで、問い詰めようと口を開くと、その隙間をぬって舌が入り込んでくる…
なっ…こんなの…もう洒落にならないよっ…
なんで…?何でこんな事っ…
あまりの事に驚きすぎて頭がパニックを起こした上、酸欠にもなった僕は身体に力が入らない。
当然頭も働かなくて、もう何も考えられない…
なんで…?どうしてこんな事に…?
そんな言葉が浮かんでばかりで、ロクに抵抗も出来ないでいると、あれよあれよとコトは進んで…
気が付くと、僕はそー君に腕枕なんかされて寝かされていた…
「ちょっ…何っ!?」
がばりと起き上がると、腰に鈍痛が走る。
「…ったぁっ…」
「急に動いたら痛ェってモノの本に書いてありやしたぜ?大丈夫ですかィ?」
そー君がそっと腰をさすってくれるけど…
「イヤ!大丈夫じゃないしっ!なっ…なんでこんな事っ…」
「…最中に何遍も言いやした…俺ァ新にいちゃんが好きなんでィ。愛してまさァ。」
ポッと頬を染めて、照れやすねェ…なんて言いながら可愛く微笑むけど…えぇぇぇぇぇっ!?
「だっ…なっ…そんな…」
「新にいちゃん…俺の事…嫌いですかィ…?」
窺うように言われても…
「そっ…そんな事無いよ?好きだけど…」
「やった!両想いでさァ!!」
一気にぱぁっと笑顔になってぎゅうっと抱き締められる。
なっ…!?
意外と筋肉付いて…って!?何考えてるの僕っ!!
「そういう意味じゃないからっ!弟として、って言うか…っ!!」
「…新にいちゃんえっちしてもイヤって言わなかった…」
「そんな事っ…」
「スゲェ気持ち良さそうだった…」
「なっ…それは…っ…」
…確かに…気持ち良かったけど…でもっ!
「それはっ…突然の事でビックリして…あっという間に…なんか…流された、って言うか…」
「でも…本当に嫌だったら逃げられた筈ですぜ…?新にいちゃんだって男なんだし…」
俯きぎみに上目遣いで僕を見てくるそー君は怒られた後みたいで…
そういう顔されたら…僕が強く出れないって分かっててやってるのかな…?
それに…
抵抗したら…悲しそうな顔したじゃん…
「…逃げたら泣くクセに…」
僕がそう言って、じとりとそー君を見ると、僕を見てニヤリと笑う…えっ…?
「そんなん計画のうちでィ。それぐれェじゃ泣かねェよ。」
憎たらしい顔になってそんな事言ってるけど…触れている手が震えてるじゃないか…
変なトコで強がっちゃって…
「じゃぁ、逃げようかな。もうココ来ないよ?僕。」
「新にいちゃん嘘吐きでさァ!又来るって約束したのに!絶対だって言ったのに!!」
そう叫んで、僕の肩に顔を埋める。
…泣いちゃったかな…?
「こんな事されるなんて思わなかったもん。」
そう言うと、僕の肩にぐりぐりと顔をこすりつける。
「…絶対って言ったのに…」
ぐりぐりしていた顔が止まると、じわりと肩が濡れる。
…あ…泣かせちゃった…?
「…そー君泣かないで?分かったよ、又来るから…」
「…絶対ですかィ…?」
「うん、絶対…今度は何食べたい?」
「…次も新にいちゃんを頂きまさァ。」
スッと上がった顔が、ニヤリと笑ってる…あれ…?
「新にいちゃんは本当に優しいねェ…」
くつくつと笑って、又、ちゅっと口づけられる…
あれ…?えっ…?…嘘泣き…?
「ちょっ…そー君嘘泣きっ…!」
「演技派って言って下せェ。」
ニヤリと笑って言われると、何も言えなくなる。
こんな意地悪そうな顔なのに…なんで心臓ドキドキ言うんだ…
大体、ドキドキとかしてる場合じゃないし!僕っ!!
ちっちゃくて可愛かったのに…いつの間にこんな子になっちゃったんだよっ!?
「やっぱ、優しい所も…全部大好きでィ!」
僕が挙動不審になっていると、にこにこ笑ったそー君がぎゅうっと抱きついてくる。
…こういう顔されたら…弱いんだよ…
イラついてた気分も、どっかに飛んでいっちゃうよ…
あんな事されたのに…嫌な気がしないなんて…
僕は…どうしたいんだろ…この子と…
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