誘拐大騒動!


買い物の帰り、変なヤツラに絡まれた。

…何だ?コイツら…

間合いを詰めてくる3人に注意を払いつつ、隙を伺う。

「何ですか?僕、忙しいんですけど。」

「貴様、真選組一番隊隊長、沖田総悟の彼女、志村新ぱ…」

「誰が彼女かぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――っ!!!!!」

ついクセで突っ込んだ隙に、背後から殴られて視界が暗くなった。
しまった…こんな所で突っ込みが悪い方へ…
どうしよう、沖田さんに迷惑かけちゃうよ…
そう思いつつも、僕の意識は深い闇に沈み込んでしまった………

 ◆

今の時間新八は買い物に行ってるハズネ。
荷物持ってあげたら、途中のダガシヤで酢コンブ買ってくれるネ!今日もお手伝いして酢コンブ買ってもらうアル!
ワタシはスキップしながら買い物の帰り道を逆に進んで行く。もうそろそろ新八に会うはずネ―!

5mぐらい先にヘンな男たちが居る。何ネ、邪魔ヨアイツら…アレ…?真ん中に居るの新八じゃ…?

「オマエら何してるネ!そのメガネ、離すヨロシ!!」

ワタシが叫んで走り出すと、ソイツらも新八をカツいでものスゴイスピードで走り出す。
ちょ…何ネ!?そのスピード!!
ワタシがイッショウケンメイ追いかけても、追い着くどころかみるみる離される。
たっ…タイヘンネ!!新八がサラワれた!!

ワタシは大急ぎでヨロズヤに帰って、銀ちゃんに向かって叫ぶ。
銀ちゃんもあわてて立ち上がって、どこかへ走り出す。

「銀ちゃんドコ行くネ!?ウチでデンワ待ってるネ!!ミノシロ金ヨーキューされるヨ!!」

銀ちゃんが、めずらしくマジメな顔で振り向く。

「神楽、ウチの子が身代金目当てで誘拐される訳無いだろ。今新八が誘拐されるとしたら、沖田君がらみに決まってんだろが。」

「そうカ!!」

ワタシもナットクしてシンセン組屯所に向かって走る。
チクショー!サド丸っ!!新八かえせー!!

 ◆

あぁ、今日も良い天気だ。絶好のミントン日和だ―!

俺が公園にミントンをしに行こうと屯所の門をくぐると、何処かの子供が手紙を持って立っていた。

「ボク―?どうしたの?真選組に何か用時?」

俺がしゃがみ込んでその男の子に話し掛けると、子供が手に持っていた手紙を俺に渡す。

「沖田ってひとに渡してくれって。」

それだけ言って走っていってしまった…
あれ―?このパターンは…脅迫状とかそうゆうノリだよなぁ…?
俺が慌てて沖田隊長にその手紙を届けると、中を見た隊長が、血相を変えて走り去った。
…何だ…?あんなに慌てた沖田隊長、初めて見たぞ…?
沖田隊長が投げ捨てた手紙を拾って読んでみる。

…うわっ!大変だっ!!!

俺はその手紙を持って、局長と副長のもとへ走った。

 ◆

新八ィ…新八、新八、新八、新八ィ!!!!!

しくじったぜ…俺の恋人なんて危ない位置に居るってぇのに、俺の我侭で皆に言いふらしちまったから…
いっつも出来るだけ近くに居るようにしてたってぇのに、なんだって今日に限って独りにしちまったんでぃ…買い物の帰りに迎えに行くんだった!!新八がイヤだって言ってもずっとストーキングしとくんだった!!
アイツの側にはいつも旦那もチャイナもデカい犬も居ると思って油断してやした…
アイツも、充分強いから…変に安心してやした…

俺のモノになってくれたから…ただ嬉しくて浮かれてやした…大切な奴、俺が守らなくてどうするんでぃ!!

誘拐犯に指定された場所は…港に有る、今は使われていない倉庫…チッ…お約束だぜ…
待ってろよ、新八ィ…今すぐ俺が助けに行きやすゼ!おめぇの王子様、沖田総悟が!!



ぞくぅっ…!!
なっ…何だ…?今、悪寒が…

あ―、しくじったなぁ…あそこで突っ込みさえ入れなきゃ上手く逃げられたのに…
でも、しょうがないよね、僕から突っ込みを取ったらメガネしか残ら…イヤイヤイヤ、自分で何て悲しい事を!僕の存在理由って突っ込みとメガネかよ!!

…って、こんな余裕で居られるのも、誘拐犯がヘッポコな人達だからで…
攘夷志士って言ってはいるけど…緊張感が無いって言うか…手際が悪いって言うか…
まぁ、本当は僕も余裕かましてる場合じゃないんだけどね…相手は隙だらけだけど、ガチガチに縛られてるから抜けられそうもないし…走れないから逃げ切れないしな…その上この人達真剣持ってるし…剣が下手な分、より一層恐いよ…間違って斬られない様に気を付けよう。

沖田さんが来てくれるまで、大人しくしていよう。
あーあ…後で色々言われるんだろうな…ダメガネとかダメガネとかダメガ…
それだけかよっ!?



銀ちゃんと2人、シンセン組屯所まで走る。
ワタシたちが着いた時、ゴリととっしーとジミーが慌ててパトカーに乗り込むトコだった。

「ちょっと待った―!新八の所に行くんだろ?俺達も連れてけ!!」

銀ちゃんが言い終わった時には、ワタシたちもパトカーに乗り込んでた。

「ちょっと―!オマエ達何乗り込んでんのぉ―!?」

とっしーが叫ぶ。ウルセーなぁ。

「良い、トシ。今はとりあえず急ごう。新八君に何か有ったら、お妙さんに殺される…」

ゴリがカタカタとふるえながら、ジミーに急げとシジをだす。
アネゴに何されたネ、ゴリ…

とりあえず、コレに乗っとけば新八のトコに行ける。
でも、アレ…?サド丸が居ない…

「サド丸はど―したネ!アイツのせ―で新八がさらわれたアルヨ!!」

「あ―…沖田隊長は手紙読んですぐに走っていっちゃいましたよ。運転下手なクセに、どっかで事故って無きゃ良いけど…」

ジミーが、説明しながらスゴいスピードでパトカーを走らせる。お―っ、ヤルなジミー。
ワタシがストン、とザセキにすわると、両側で銀ちゃんととっしーがケンカしてた。

「ちょっとちょっと多串君―、君の所のぼっちゃん大変な事してくれちゃったね―?もうウチの子とのお付き合い、考えさせてもらわなきゃねぇ…」

「あぁ?俺はアイツらの付き合いは認めてねーぞ?オメェが認めちまったから、総悟が調子に乗ってんじゃねーの?オトーサン?」

「はぁ?じゃぁお前、新ちゃんのアノ縋るような目でお願いされてみろ!うん、としか言えねぇぞ!?イヤなんて言ったら嫌われんだろうが!それから俺はお兄さんだってーの!!」

「てっ…テメーそんなオイシイ目にあってんのかよ!見てぇなぁオイ!縋るような目!!お願いされてみてぇよ!!じゃあオニイサン、新八を俺にくれ。」

「イヤだね、変態マヨラー」

「んだ!?やるか糖尿!!」

ワタシは又立ち上がって前のザセキに話しかける。

「…席かわるネ、ゴリ…」