名門なんかぶっとばせ!
もうすっかりこーれーになった、月いちの江戸行きの日が、きょうだ!
きょうはしんぱちと何してあそぼうかな?
こうえんで、すなあそびとかブランコとか…えほんを読んであげるのもいいな。おれ、えほん読むのうまいから、しんぱちすごくよろこんでくれるもんな!
むこうのともだちとあそぶと…ちゃいなとケンカになるから、しんぱちかなしいかおになるしな…
おれはおとなだから手かげんしてやってるけど、ちゃいながいっつもむきになって、おれにつっかかってくるからなぁ…
おれたちらいばるだから、しんぱちはゆずれないし!あんまりあわないといいな。
きょうは近藤さんはべつの道場に行くから、じてんしゃでおれを送ってくれて、ゆうがたむかえにきてくれるんだ!
おれひとりでも行けるのに、近藤さんはしんぱいしょうだなぁ。
しんぱちのうちについて、しんぱちのちちうえと姐さんにあいさつしてから、しんぱちのへやに行く。
と、しんぱちのへやには、知らないおんなのこがいた。おとこのかっこしてるけど、おんなのこだよな!
「しんぱちー、あそびにきたよ!」
おれがこえをかけると、その子とお絵かきしてたしんぱちが、かおをあげてにこー、とわらう。
「そーくんいらっしゃいませ!きょうはね、きゅうちゃんもいるんだよ!」
しんぱちがその子の手を引っぱって、おれのとこまでつれてきてしょうかいする。
「あのね、きゅうちゃん!そうごくんだよ?」
「おきたそうごです。」
「…ぼくはやぎゅうきゅうべえです。」
ぺこりとあたまを下げて、あいさつすると、むこうもあいさつしてくれる。
やぎゅう…もしかして、アノ、やぎゅうなのかな…?
「きゅうちゃんはね、あねうえのおともだちなの!でもね、ぼくともあそんでくれるんだよ!」
しんぱちがにこにことうれしそうなんで、ちょっとふくざつだ。
「しんぱちぃ、きょうは何してあそぶ?」
「いまね、きゅちゃんとおえかきしてたの!そーくんもおえかきしよ?」
しんぱちがおれ達の手をつかんで、さっきいたところまでつれていく。
「あのねー、きゅうちゃんといぬさんかいてたんだよ?そーくんもいぬさん書いて?」
おっ…お絵かきか…おれ、絵、ってあんまりかいたことないなぁ…
しんぱちがさしだす紙をもらって、くれよんをかりて、いぬをかく。
いぬだから、ちゃいろかな?
おれは、ちゃいろのくれよんで、さかさかといぬをかく。
なんだ、わりとかんたんじゃん!おれってけっこう絵がうまいなぁ!
「できた!」
おれが、じしんまんまんでしんぱちにさしだすと、しんぱちのえがおがかたまる。
「…そーくん…これ…」
とうぜんほめてくれると思ったのに…なんだ?おれの絵、うますぎてびっくりしたのかな?
「…ぼくはこれ、馬だと思う。」
きゅうちゃんがおれの絵を見て、ひくっ、とわらう。
「ぼくはね、ねこさんだとおもうの。」
しんぱちが、おずおずと言う。
なっ…!?おれはいぬをかいたのに!!
ちょうどへやに入ってきた姐さんが、おれの絵を見た。
「あら、近藤さんを描いたの?そうご君上手ね。でも、ゴリラは黒よ?」
姐さんがうふふとわらう。
「ちがうよ!しんぱちがいぬをかけ、って言ったんだ!」
「あら、コレ犬なの?どう見てもゴリラよ。」
「ぼくは馬だと思う。」
「ねこさんだよー!」
みんなが、あはは、とわらった。
なんだよ!どう見てもいぬじゃないかよ!
おれが、むぅ、とふくれると、しんぱちがなきそうなかおでおれのそでをつかむ。
「ごめんね、そーくん。わらっちゃってごめんね?とってもたのしそうなえだよね!ねこさ…いぬさんもわらってるもんね!」
ひっしなかおのしんぱちが、おれのくちにちゅうをする。
姐さんときゅうちゃんはかみになにかかいてたんで見てなかったし、おれはうれしくなってしんぱちにおかえしのちゅうをした。
「だいじょうぶ、おこってないよ?」
おれがえへへとわらうと、しんぱちもえへへとわらう。
「犬はこうだよ!」
「私も犬を描いたわ。犬ってこうよ。」
2人が出した絵は、たしかにいぬだった。
姐さんのはかわいいまんがのいぬで、きゅうちゃんはすごくりあるないぬだ…強そう…
「わあ、ふたりともすごいねー!」
しんぱちが、よろこんで走ってっちゃうけど、いいんだ!少しぐらいしんぱちかしてやるよ!きゅうちゃんがしんぱちにほめられてるけど、きにしない!きにしない!!
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