午後の1発目は二人三脚だ。
僕は当然総悟君とペアを組まされてる…1回も練習に出てきてくれなかったから、ぶっつけだよっ!
もういいや…転ばないでゴール出来れば…でもさぁ、怒られるの僕なんだよね…

「総悟君、1位とは言わないけど、転ばないでゴールしようね…」

「新八は謙虚だなぁ。俺と走るんだ、1位に決まってらぁ!」

総悟君が自信満々に言う。もぅ、この人はなんでこうなんだ…

「…はいはい…練習もしないで1位になれる訳ないでしょうが…」

僕が係の人に渡されたひもで足を縛ろうとすると、総悟君が僕からひもを取り上げる。

「新八ィ、折角ひもで縛る、ってぇのに俺が縛らなくてどうするんでぃ。」

総悟君がにやぁり、と笑う。

ぞくぅっ…

なっ…何だろう…何か寒気が…

「…ってちょっと!痛い痛い痛いっ!!ちょっとキツイよ!!」

「大丈夫、そのうち気持ち良くなりまさぁ。」

僕を見る総悟君の目付きがおかしい!!なんかすっごく嬉しそうだぁ!!!!!
なに?この人S!?ドSなのっ!?
僕が猛抗議してなんとか少し緩めてもらう。もぅ!勘弁してよっ!!
そんなこんなでスタートの順番が回ってくる。

「じゃぁ、せーので内側の足からいくよ?せーの…」

スタートしたと思ったら、すぐに僕が引きずられた。

「ちょっ!総悟君っ!!速い速い!!」

総悟君のスピードは速すぎて、僕は必死に付いて行く。
一歩が大きいよぉ!なんか飛んでるみたいに走ってるよ!僕らっ!!
あー…こんなの昔、テレビで見たな…お城の屋根の上を青い背広の人が黒い帽子の人と走ってたっけ…

気が付くと、僕らは1位でゴールしてた。

ぜっ…ぜーっぜぇーっぜぇーっ…

「そっ…総悟君っ…はっ…速いって…」

「何言ってんでぃ!流石ですぜ、俺についてこられんのは新八だけでさぁ!」

しゃがみこんでぜーぜー言ってる僕の肩を、ぱんぱんと叩いてごきげんな総悟君が僕に合わせてしゃがみこんでくる。

「で?次は何で?」

「そっ…総悟君…やる気になってくれたの?次は…借り物競争…だよっ…」

自分から言ってくれるなんて…良かったぁ!やってみたら楽しかったんだよ、きっと!
えへへー!良かった!!

総悟君が僕の手を掴んで借り物競走の集合場所まで行く。

「総悟君頑張ろうね!僕が持ってるものなら借りに来てね?僕も借りに行くから!」

僕が笑って言うと、総悟君がおう、と言って列に並ぶ。
僕は…トップか。総悟君はアンカーだ。
早速スタートして、紙の置いてある所まで走る。
うーん、僕は何を借りてくれば良いんだろ…紙を広げてみると…

『ドS』

…………

「そーごくぅぅぅぅぅぅぅ――――――ん!!」

僕が叫びながら戻ると、1番後ろから総悟君が慌てて走ってくる。
あっという間に僕の所まで来て、又二人三脚の時の勢いで僕を引っ張って走る…
ひぃぃぃぃーっ、又か!?又飛ぶのか!?僕は!?

息も絶え絶えにゴールして係の生徒に紙を見せると、1発OKで1位だった…そんなに有名なのか?総悟君…

たいして息も乱さずにスタート地点まで戻る総悟君を、ぜーぜー言いながら見送る。
…ちくしょう…もっと鍛えなきゃ…

僕の息が落ち着いてきた頃、総悟君がスタートする。
紙を広げて珍しく驚いた顔をして暫く考える…何だろ…?そんな難しいのかな?
後から来た人達も、皆固まってる。そんな難しい借り物なのかな…?

「新八ィ―――――!」

総悟君が叫んで僕に向かって走ってくると、係の人達がざわめく。
…何だ…?
とりあえず僕も総悟君に向かって走って行く。
僕の手を掴んだ総悟君が、又あのスピードで走る…もぅ良いよ…走るよ…走れば良いんだろ…?
僕らがゴールすると、係の人がニヤリと笑ってマイクを持つ…何…?

「アンカーの借り物は全部共通でーす!お題は『好きな人』!!はい、告白タイムでーす!出来なきゃゴール出来ませんよー?」

へっ…?すきな…ひと…?
ぼふん!!!!
僕の顔は一瞬で真っ赤になった…えっ!?何が!?そっ…総悟君…?

「なっ…なに…?え…?総悟君…?」

「仕方ないだろィ、居ねえんだから。親友でも良いんじゃねぇかと思ったんだよっ!」

総悟君が真っ赤になって言い訳する。
なっ…何だよっ…コッチも照れるよっ…

「ある意味1番恥ずかしい告白です!!これはこれで有りか?おめでとう1等賞!!」

係の人が旗を渡してくる。
えへへ…そうかぁ、親友かぁ…嬉しいなぁ!
…でも…何だろう…ちょっとだけ…ちょっとだけ…残念な気もする…って何考えてんだ!?僕っ!?
僕の頭の中が大変になっていると、総悟君がぎゅ、と手を繋いで来るんで、僕もぎゅうと握り返す。
テントに帰るまでに握力勝負になったけど、何か楽しい!
手を繋いで(?)戻った僕らを見てクラスの皆がざわめく。

「ちょっと新八君っ!何!?沖田君とカップルに…」

青い顔をした山崎君が駆け寄ってくる。

「あ、山崎君。そんな訳ないじゃん!親友なんだってぇ―――!僕らっ。ねー?総悟君?」

僕がからかい口調で言うと、更にぎしりと僕の手を握ってくる。

「新八ィ…」

あはは、総悟君真っ赤だ!って、イテテテテテテ…

「ちょ、痛いって!」

僕も更に力を込めて、又勝負が始まる。

「なんだー、びっくりしたよっ!」

山崎君があはは、と笑うと皆も笑う。

「照れてる総悟なんて珍しいな!」

近藤君が総悟君の頭をぽふぽふと撫でる。

「近藤さん止めてくだせぇ…」

更に総悟君が照れて真っ赤になる…あはは、可愛い!
暫くムカデ競走や綱引きの応援をしてゆっくりする。
ムカデ競走は近藤君・土方君・山崎君・原田君と、うちのクラスのみんなチームがぶっちぎりで1位になった。
綱引きは言わずもがな、神楽ちゃんの大活躍で赤組が勝った。