愛しのキミは・・・



ここ暫く沖田さんを見ていない。
どうしたんだろう?あんなに毎日万事屋に来てたのに…
初めは酷く嫌だったけど、今は…

どうしよう、凄く寂しい。

あんなだけど、一応警察なんだし…僕から逢いになんて行ったら迷惑だよね…
でも…我慢出来ない!
どうしても…どうしても沖田さんに逢いたいよ…


そういえば、銀さんって沖田さんと仲良かったっけ…
今どこに居るかとか分からないかな…?

「銀さん、沖田さんが今どこに居るか知りませんか?」

いつものように、ジャンプを読みながらソファにゴロゴロしている銀さんに聞いてみる。

「何?新八君、沖田君に何か用事?」

「…えっと…」

本当の事言ったら、いやしい、って思われちゃうかな…

「あんなに毎日来てたのに、この所全然来ないんで気になって…」

僕がちょっと照れながら言うと、銀さんが慌てて起き上がる。

「え…?ちょっ、何!?まさか会えなくて寂しいとかじゃないよね!?銀さん浮気は許しませんよ!?」

「…何がですか。寂しい…のかもしれません、僕。どこに居るか知らないなら良いです。僕ちょっと出かけてきますね。」

一言断ってから踵を返すと、銀さんがばたばたと近寄ってきて後ろから抱き締めてくる。
何だよ、お菓子でもねだるつもりなのか?

「だから、浮気は銀さん許さないってば!新ちゃんは銀さんのおく…」

「イヤ、鬱陶しいッスから。さっさと離して下さい。」

僕がビシッと手を撥ね退けると、銀さんがガクッと座り込む。

「新八君酷い〜…」

床にのの字を書いてるよ…
なんかウザいんで放っておいて、向かいのソファに居た神楽ちゃんにも聞いてみる。
そうだよね、喧嘩ばっかりしてるけど、神楽ちゃん実は沖田さんと仲良いし!(多分)
どこに居るかとか分かるかも!!

「神楽ちゃん!沖田さん…」

「知らないアル。」

「や、でも…」

「ドSの居場所なんて知らないアル。公園にでも居るネ。」

あぁ、公園か!有り得る!!

「じゃぁ僕行ってみるね?」

「新八!」

神楽ちゃんが僕を呼びとめる。
僕が振り向くと、神楽ちゃんがニヤリと笑う。
…何かヤな笑顔だなぁ…

「新八、アノ棒が恋しくなったアルカ?」

うわっ…バレてる!ハズかしぃぃぃぃぃ…

「そっ…そんな事…っ…」

「ウソネ。いやらしいヨ、この坊ちゃんは。」

「そっ…そんなんじゃ…っ…」

あぁぁぁぁ…顔の赤みが抑えられないぃぃぃぃぃっ!

「ちょっ、新八君、棒って何ぃぃぃぃぃ!?」

何故か復活した銀さんが反応する。

「代わりにワタシの酢昆布やるネー!」

「やっ…ダメだよっ…アレじゃなきゃ…物足りないんだ…」

「しっ…新八君んんんんんー!?」

銀さんが叫んで駆け寄ってこようとするんで、捕まる前に外に出る。
何か五月蝿そうだし、さっさと公園に行ってみよう。


公園に向かう途中、土方さんに会った。
沖田さんの上司だし、よく一緒に居るよな…聞いてみよう。

「土方さんこんにちわ。」

「おぅ。」

見廻りの途中みたいだったけど、足を止めてくれる。

「お仕事中すみません…あの…沖田さんがどこに居るかご存じありませんか?」

何だろ?思いっきりがっかりしてる…
どんな用だと思ったんだろ?マヨネーズの特売の情報だとでも思ったのかな?

「あー…総悟…?そういやぁここ数日見てねぇな…何か平和だったな…」

…土方さんも知らないのか…

「そうですか…すみませんでした…」

僕ががっかりしながら歩き出すと、腕を掴まれる。
何だろ…?

「今から昼飯食うけど一緒にどうだ?万事屋じゃロクなモン食えねえだろ?」

「あ、いえ、お気持ちだけで…あの、急いでるんで…」

僕が愛想笑いを浮かべて足早にその場を去ると、又がっくりと肩を落としてる。
どうせ土方スペシャルだよね、あんな犬のエサ食べらんないよ。