暫く行くと、今度は伊東さんが居た。
伊東さんなら知ってるかな…?

「伊東さんこんにちわ。」

「こんにちわ、新八君。」

にっこりと笑って挨拶を返してくれる。
何か嬉しそう…良い事有ったのかな?

「伊東さん、沖田さんがどこに居るかご存じありませんか?」

僕が聞くと、ちょっと考える。

「沖田君…?そう言えばここ数日見ていないな…書類を溜めすぎて、屯所に缶詰になってるんじゃないのかな?」

にっこりと笑顔で教えてくれる。
そっか、屯所か…

「有難う御座います。それじゃ…」

「あぁ、新八君。その前に甘い物でも食べていかないかい?」

伊東さんが笑顔のまま甘味処を指差す。
わ…!甘いモノも美味しそう…だけど…

「ごめんなさい、また今度誘って下さい!」

アレが…今はアレが欲しいんだ…
ぺこりと頭を下げて走ると、伊東さんの肩ががっくりと落ちる。

どうしよう…伊東さんの言うとおり屯所に居るのかな…?
それとも公園に逃げて来てるかな…?
一応、公園も覗いてみよう。


そのまま公園に向かっていると、桂さんとエリザベス先輩がアルバイトをしていた。

「お、新八君ではないか。」

『こんにちわ』

「こんにちわ、桂さん、エリザベス先輩。」

「新八君は良い子だな。おいで、50円あげよう。」

2人がこいこい、と手招きをする。ってか何で50円んんんんん!?

「ごめんなさい、僕今沖田さんを探してて…」

「む?一番隊隊長か?そう言えば最近見かけんな。」

『死んだんじゃね?』

エリザベス先輩が不吉な看板を上げる。

「しっ…死んでませんっ!そんな事言うのやめて下さいっ!!」

僕が怒鳴ると、桂さんが意外そうな顔をする。

「どうした新八君、キレやすい若者になって…腹でも減っているのか?ほら、んまい棒をあげよう。コンポタ味だぞ!」

なんでそんなに誇らしげなんだろ…
折角のんまい棒だけど…でも…

「お気持ちだけ頂きます。僕は…沖田さんに居なくなって欲しくないから、ついカッとなって…怒鳴ってごめんなさい。」


2人にペコリと頭を下げて、走りだす。
…死んでなんか…いないよね…?


公園に着いていつものベンチに駆け寄ると、派手な着物の男の人が、ごろりと寝ころんでいた。
…あれ…?顔に包帯…って、高杉さんっ!?
昼間の公園似合わなっ!!

僕が固まってると、まずい事に目が合ってしまった…

「お?銀時んトコの…」

「こっ…んにちわ…高杉さん…」

まっ…まさか話しかけてくるなんて思わなかった…

「お前…今暇か…?メシ行くぞ…」

「なっ…ごっ…ご飯ですかっ…!?」

何で僕ぅぅぅぅぅぅぅぅ!?

「すっ…すみませんっ!今ちょっと人を探してて…っ…」

「…そうか…」

なんだかしょんぼりしてる気もするけど…
気のせいだよね!
公園には居ないようなので、高杉さんにお別れを言って、屯所に向かった。


屯所に行く途中、坂本さんに会った。
坂本さんは今日も相変わらずで、あっはっはー、と笑ってた。

「どうじゃ?ワシと飯でも食わんかー?」

「こんにちわ、坂本さん。ごめんなさい、今人探しの途中で…」

坂本さんとご飯…きっと凄い豪華なご飯食べれそうだけど…
でも今は…
ぺこりと頭を下げて走り出すと、残念じゃー、又今度なー、と声が掛かる。

「はいっ!今度ぜひ!!」

もう1回頭を下げて、スピードを上げる。
ご飯より今は…アレが食べたい…


屯所に着くと、門の所に山崎さんが居た。

「こんにちわ山崎さん。沖田さんは…」

「あ、こんにちわ新八くーん!え?隊長?ここ何日か局長に泣きつかれて、ちゃんと事務仕事してたハズだけど…缶詰にされて…」

「有難う御座いますっ!」

そっか、屯所に居たんだ…良かった、無事で…
もうすぐ…アレが…

「え?新八君隊長に用事?僕呼んでこようか?」

「いえっ!近藤さんに聞いて逢いに行きますっ!」

「え?ちょっ、新八君!?何で顔赤いの!?ねぇ!?」

山崎さんが何か叫んでるけど気にしない。
近藤さんは…局長室かな…?